夫婦入居・二人部屋に対応している施設特集

高齢化が大きな社会問題となっている昨今、老老介護は由々しき問題です。そこでクローズアップされているのが、「二人部屋・夫婦入居可」という施設の条件。「それまでの生活が一変するのは、できれば避けたい」。そうお考えの方も多いでしょう。
そんな方のためにご紹介するのが、夫婦入居・二人部屋に対応している施設の数々。ご夫婦で入居前と変わらない生活が送れるのは何よりの安心と言えるのではないでしょうか?また、リビングと寝室が分かれていたり簡易なキッチンがあったりと、設備面の充実も見逃せません。
現在の世帯構造はどうなっているのか
老人ホームには夫婦で入居が可能な二人部屋という選択肢があります。なので、夫婦のどちらかに介護が必要になっても、別れて暮らすことを選ぶ必要はありません。いつまでも一緒に暮らしたいけれども自宅で暮らすのは難しい、そんな場合は夫婦で老人ホームに入ることを検討してみてはいかがでしょうか。
実際に、現在の日本では夫婦のみの世帯が増加。この事実に比例し、今後は夫婦で老人ホームに入居したいと希望する人が増えるということも予想されています。

ご夫婦で同じ部屋に入居すると、自宅にいるのと同じような生活ができるのでより安心した生活が送れます。夫婦で入居できる可能性がある老人ホームには住宅型有料老人ホームや介護付有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に加え、軽費老人ホームやケアハウスなどがあります。逆に夫婦での入居が難しい施設には特別養護老人ホームや介護老人保健施設などがあります。
夫婦で入れる老人ホームを探す場合は、電話での問い合わせのほか資料請求や施設見学などを通して、夫婦部屋の有無や夫婦で同じ部屋に入れる条件などを確認してください。ミニキッチン付きのお部屋を選べば、二人でちょっとお茶を飲みたいというときに便利。老人ホームのお部屋にはトイレ付きやお風呂付きなどもあるので、費用や場所など他の条件とともによく検討してみる必要があります。
いつまでもパートナーと暮らしたいという願いを叶えてくれる夫婦二人部屋の老人ホーム。需要はますます増えていますが、供給戸数は少なく競争率が高いということもまた現実です。もし老人ホームに夫婦で入りたいという希望がある場合は、早め早めに探し始めることが得策ですね。
夫婦入居時の料金体系は?
夫婦入居可・二人部屋の老人ホームに入りたい場合、やはり気になるのがその料金。一人ずつ別々の個室に入居するよりも、二人部屋に入った方が料金が少なく抑えられることも少なくありません。家賃は一人部屋を単純に2倍した額にはならず、一人部屋の料金に少し上乗せがあるぐらいと考えておくと良いでしょう。
一般的に、老人ホームへの入居にはさまざまな費用が発生します。家賃・管理費・食費・介護費などのほか、入居一時金が必要な老人ホームもあります。もちろん入居一時金が必要ないホーム、またそういうプランがあるホームもありますので、しっかりと比較検討してみてください。
文字通り、家賃は居室や共用施設を利用するための費用で、広さや立地、共用施設の多さなどによってその額が変わります。全額前払いのほか、前払いと月払いを併用するシステム、また全額を月払いするホームもあります。全額前払いの場合は、平均寿命などを考えた年数分前払いするために高額となる場合もありますが、一生涯追加で支払うことはありません。
管理費には、事務管理のための人件費や共用施設の維持管理費、生活支援サービスのための人件費などが含まれます。清掃や買い物代行などの費用が管理費に含まれるかどうかはその老人ホームによって違いますので、よく確認することが必要です。食費には食材費や厨房の人件費・維持費などが含まれます。食事をとらない日があっても毎月一定額負担しなくてはならないホームもありますので、注意しましょう。
そのほか、光熱費やおむつなどの消耗品費、入浴介助費、買い物代行や通院介助などの生活支援サービス費のほか、アクティビティへの参加費などが必要になる場合も。料金についてはどのくらい必要になるのか、事前に計算しておくことが重要です。
夫婦で老人ホームに入居することのメリット

老人ホームに入居しても夫婦で離ればなれにならず、一緒にいられるのは大きな魅力です。ホームによっては、夫婦どちらかが要介護状態なら入居できる夫婦部屋もあり、「私だけ入居したら自宅に残された主人が心配…」といった悩みも解決するでしょう。
特に夫婦部屋の場合、ベッドを2つ並べて置ける広さがあるため、空間が広めで閉塞感がないのもポイント。しかも老人ホームによっては別々に入居するより家賃が安く済むこともあります。
しかし、夫婦部屋のある老人ホームは数が少ないため、入居したくても順番待ちになることが多いのは気をつけるべきポイントでしょう。夫婦それぞれに個室を借りて、同じ老人ホームで暮らすことも可能ですので、夫婦入居を希望している人は個室も視野に入れながら検討することも一考かもしれませんね。
夫婦で入居すれば「自宅に残された方の食事が心配」といった悩みも解決し、介護付きの老人ホームであれば、いわゆる老老介護の問題に悩む必要もありません。夫婦部屋は一人部屋よりも広めで、浴室やトイレ、洗面台などを完備している場合も多く、中にはマンションに良く似た造りの部屋も。
加えてIH調理器が備わったミニキッチンがある部屋も多く、夫婦で好きなようにお茶やコーヒーを入れて楽しむことができます。ホームによっては外出が自由ですので、料理の好きな人は材料を買ってきて、気軽に料理が楽しめるのもメリットでしょう。
体験入居可の施設特集
実際に生活することでわかることがある!?

「百聞は一見にしかず」。介護施設への入居では、この言葉がぴったり当てはまります。施設見学のみならず、できれば実際に何日か生活をしてみることで、施設の雰囲気や食事の内容、レクリエーション、設備、スタッフの対応など、短時間の見学ではわからないようなことも、実際に生活をしてみることで見えてきます。
多数の体験入居可の施設をご紹介しているので、気になる施設が見つかったらまずはコンタクトを取って、体験入居を申し込んでみてください。利用者が重視するポイントをあらかじめ書きだしておいて、体験入居時に確認しておきましょう。
体験入居にはたくさんのメリットあり!実際に生活することでわかることがある!?

老人ホームへの入居にはかなりの費用がかかります。入居一時金に数百万円、数千万円かかる老人ホームもありますし、引っ越しの費用や入居にかかる雑費、毎月かかる月額利用料などを考えると、決して安いものではありません。入居後に「見学時のイメージとは違っていた」「騙された気分だ」と後悔しても遅いのです。
老人ホームの入居にあたっては、施設から資料をもらったり見学したりと、事前に十分検討されると思います。けれど数時間程度の見学と資料だけでは、老人ホームの実態は見えません。実際に入居してみないと、その施設の真の姿は何もわからないのです。
もし具体的に入居を検討している老人ホームがあるのなら、見学はもちろんですが、体験入居をお願いしてみましょう。体験入居可能な老人ホームで、問い合わせた時期に空室があれば可能です。1泊2日から1週間、長いところでは1ヵ月間の体験入居ができますが、1週間程度の老人ホームが多いようです。
ひとつ注意していただきたいことは費用です。体験入居には介護保険が適用されません。
身体介護や生活介護のサービスをうけた場合、1泊2食付きで費用は5,000円から2万円程度必要になります。1週間入居する場合は、あらかじめどれだけの金額がかかるか聞いておきましょう。後日高額な費用を請求されてもめた…ということにならないよう、くれぐれもご注意ください。体験入居時に健康診断書が必要な場合もあるため、費用だけではなく、必要な書類や持ちこめる日用品などについてもチェックしておきましょう。
体験入居には多くのメリットがあります。施設見学は日中おこなうことが多く、夜間の老人ホームの雰囲気はなかなかつかめないものです。静かな環境かと思ったら、意外と外の音が施設に響く、他の入居者が夜中に騒ぐ、職員の見回りの回数が少ないなど、実際に住んでみてわかることも多いもの。
食事の内容も、短時間の見学時には確認できないこともありますが、体験入居ならその心配はありません。
体験入居時にチェックしたい6つのポイント
体験入居時にチェックしたいポイントをわかりやすく説明していきます。体験入居時に、ぜひ参考にしてください。
- 食事の量やメニュー
- 居室の広さや日当たり
- 立地や設備
- 入居者やスタッフの人柄、人間関係
- 日常生活におけるサービス
- レクリエーション
食事の量やメニュー
老人ホームでは「食事」が大きな楽しみになります。そこで、実際に施設で提供される食事を味わってみましょう。食事の量が多すぎる、少なすぎるときは調整してもらえるかを確認することはもちろん、メニューがワンパターンではないか、病気や嚥下状態によって食事の内容を「制限食」や「形状食」に変えてもらえるかもチェックしましょう。入居者からの要望に素早く応えられない老人ホームでは、入居後もなにかと不自由することになります。
居室の広さや日当たり
これも実際に住んでみないとわからない部分です。見学した部屋は南向きで日当たりが良かったのに、体験入居で住んでみた部屋は西向きで西日がとてもキツかった、というお話も聞きます。西日が強いと夏場はつらいもの。どのような対応をしてもらえるのか、事前に聞いておくと良いでしょう。
立地や設備
静かな環境で住みやすいと思っても、夜間は入居者や介護スタッフの声が室内に響く施設かもしれません。夜間も交通量が多く、車の音が気になることも。老人ホームは生活の場なので、施設の周囲の道路が狭くて散歩がしにくい、坂道が多くて歩きにくい、近所に憩いの場や公園がない、コンビニやスーパーが遠いなどの環境ではやはりマイナスです。施設の中でチェックしたい部分は、廊下の広さや手すりの有無、共有施設の利用状況など。施設全体が臭いと感じるなら、その施設は衛生管理が徹底できていないのかもしれません。
入居者やスタッフの人柄、人間関係
住みやすさに大きく影響する部分が、他の入居者・スタッフの人柄や人間関係です。体験入居では実際に施設職員の介護ケアを受けられるので、丁寧に対応してもらえるかどうかをチェックしましょう。また、他の入居者と実際に接してみて初めてわかることもあります。あいさつしても素っ気ない、派閥ができている、食堂で席の取りあいが起こる、仲の悪い入居者がいるなど、人間関係が良くない老人ホームでは、気持ち良く生活することができません。
日常生活におけるサービス
部屋の掃除や入浴、洗濯などの日常生活にかかわるものを指します。入浴の回数は週に2回というのが一般的ですが、施設によっては3回実施しているところもあります。入浴は食事と同じく、老人ホームでの楽しみのひとつ。入浴の回数を重視される方は体験入居でお風呂の入り心地、回数をしっかりチェックしましょう。施設によっては天然温泉や人工温泉に入れるケースも。入居後の癒し、楽しみとなる部分なのでよく確認したいですね。
レクリエーション
レクリエーションは、実際にレクに参加してみて、その内容や回数を確認しましょう。老人ホームのなかには「レクは毎日」と謳いながら、実際は週に2~3回しか活動していないことも。HPで謳われている内容が本当なのかどうか、事前に確認しておきましょう。
体験入居時に持参するもの
体験入居では、「タオルなどは持参してください」と言われることが一般的。体験入居の日数は、老人ホームや申込者によって違いますが、長期滞在ではないので新しく買い揃える必要はありません。使い慣れた物を持って行きましょう。
1泊や2泊程度なら、寝間着などは貸してもらえる場合も。体験入居をする前に、老人ホームに持参する物を確認しておくと安心です。
必ず持参するもの
- 衣類(衣服、寝間着、下着、靴下などを宿泊日数分)
- 洗面セット(タオル、洗顔用の石鹸、歯ブラシ、コップ、入れ歯ケースなど)
- 靴(室内履き、外履き)
必要に応じて持参するもの
- 薬(病院からの薬や個人的に飲んでいるビタミン剤など)
- 健康保険証(後期高齢者手帳なども)
- 介護保険証
- 介護用具(杖、車イス)
- 入浴用品(シャンプーやリンスなど)
- 介護・看護サマリー(医療手帳などがある人は持参)
- 消耗品(入れ歯洗い洗浄剤やおむつなどを宿泊日数分)
発作止めのニトログリセリンや、ぜんそく止めの薬などは介護スタッフや看護士に伝えておきましょう。ホームによってはスタッフが預かる場合もあります。
体験入居中に注意したいこと

「老人ホームに入居したいけど、どこがいいのかな?」と悩みますよね。『案ずるより産むが易し』という言葉通り、頭で悩むよりも、体験入居をしてみたほうが早いです。
体験入居でそのホームが気に入れば、入居先が決まることになります。体験入居中に「実際の費用はどれくらいか?」「夜中や緊急時の対応は?家族も呼び出されるのか?」「病院への通院の際は、本当に付き添いがあるのか?」といった生活に直結することを、聞いておくことをお忘れなく。
体験入居中は老人ホームのルールをしっかりと守り、マナーを大事にしましょう。実際に生活することで、ホームの雰囲気や周りの人の動き、スタッフさんの対応の良さなども見えてくるはずです。さらに、体験入居は「食事が自分の口にあっているか?」「ベッドやトイレなどは綺麗か?」といった細かな確認ができるチャンスでもあるので、しっかりとチェックしておきたいところです。
体験入居が決まった後、ご家族にもすることがあります。それが、面会です。「車で面会に行くつもりだか駐車場はあるのか?」「面会時間は長くて、気軽に行けそうか?」といった確認をしておくと安心です。
見学と体験入居の違い

見学では、スタッフの説明とともに施設の設備を見て回ります。食堂や居室などが見せてもらえますし、大体の費用の説明などもしてもらえるでしょう。
一方、体験入居では実際に他の入居者と一緒に生活します。スタッフも体験入居者を特別扱いせず、「同じ施設に暮らす仲間」といった感じで接することが多いのが特徴です。
見学はしやすいため、複数の施設を見て回れると思います。しかし、体験入居は見学と気軽さが違うため、老人ホームに入居した人の中には「いろいろ見学した中で、一番良さそうな施設だけ体験入居してみた」という人も少なくありません。『見学は比較のため、体験入居は最終確認のための機会』とも言えます。
また、体験入居は「家族と毎日会えない」といった新しい環境に慣れるための第一歩でもあります。ご自身、また家族の希望をすり合わせたり、施設側の意見やアドバイスなども聞けたりする貴重な時間です。
体験入居では、「ルールが守れるか?」というのも重要なチェックポイント。体験入居の間に問題行動を起こすと、入居し辛くなることもあります。他の入居者のプライベートを侵害しないことも大切です。
入居後のトラブルを招かないためにも体験入居が大事!
有料老人ホームの数が増えるにしたがって、老人ホームの入居・退去にまつわるトラブルも増えています。
国民生活センターに寄せられた「有料老人ホームに関する相談件数の年度別推移」によると、2005年は255件だったものが2010年には369件にまで増えています。超高齢社会を背景にこれからも有料老人ホームの数は右肩上がりで増加していくと予測されますので、相談件数もそれに比例し増えていく可能性大です。

では契約購入金額別にみたデータをご覧ください。トラブルが多いのは契約金額1,000万円以上5,000万円以下となっており、次に100万円以上500万円未満、そして500万円以上1,000万円未満と続きます。契約金額1,000万円以上5,000万円以下という金額は、決して安いものではありません。高額だからこそトラブルへと発展してしまうのでしょう。
では具体的な相談内容はどうなっているのでしょうか。「相談内容別分類ごとの相談件数」を見てみると、契約・解除に関するトラブルが突出しており1,663件となっています。具体的には退去時に入居一時金として支払った費用の返還に関すること(思ったよりも返還される金額が少なかったなど)、原状回復費用や月額利用料の清算に関するものが多くなっています。

このデータをみると一度老人ホームに入居するとかなりの費用がかかり、気軽に老人ホームを移動することが難しいことがわかります。「ああ、しまった」と思っても一度支払った入居一時金が全額戻ってくることはありませんので、金銭トラブルに発展することも。できるだけ後悔のない老人ホーム探しをしたいものです。
利用者の経済面や介護・医療ケアに適した老人ホームを選ぶためには、やはり体験入居が欠かせません。あらかじめ老人ホームの生活を体験しておくと、本人も納得して入居できます。国民生活センターに老人ホームの契約・解除に関する相談が多く寄せられていることから、入居前には施設スタッフからよく説明を聞き、入居一時金の金額や返還のきまり、月額利用料の精算や原状回復に必要な費用などをくわしく聞き、納得してから正式な契約をおこないましょう。