個室ありの施設特集

介護施設の入居にあたって、他の入居者を気にせず生活できる個室環境かどうかを重視する方が増えてきています。入居する高齢者一人ひとりの自立にとって、他の人の目を気にすることなく一人になれる環境は大切なもの。
個室には広さだけでなく家具付き、トイレ付き、風呂付きなどさまざまな条件があるので、ご自身のライフスタイルに合った環境を選んで快適な施設ライフとなるよう、このページでは「個室あり」の介護施設をご紹介しています。自分の生活スタイルや身体の症状、介護度などに合わせて、個室のタイプを選ぶと良いでしょう。
居室タイプは主に4種類。それぞれの特徴

老人ホームの居室は主に4つのタイプに分けられ、それぞれに特徴やメリット・デメリットが異なります。ひとつずつみていきましょう。
1つ目は「多床室」。これは相部屋のことで、1部屋に複数人のベッドが並んでいます。メリットとしては、人がそばにいるという安心感を得られる、入居者同士のコミュニケーションがとりやすい、個室に比べて費用が少なくて済むなどがあります。デメリットとしては、別の人とのスペースがカーテンで仕切られているだけなのでプライバシーが守られにくいこと、人間関係でもめごとが起こりやすいことなどが挙げられます。
2つ目は「ユニット型個室」。食堂・キッチン・リビング・浴室などの共有施設を取り囲むようにして個室が配置されており、10人程度を1ユニットとしてそれぞれでケアが行われる体制を敷いています。トイレは個室に付いている場合と共有の場合とがあり、ユニット型個室では比較的新しいケアの形が取り入れられています。メリットは、プライバシーを守りながらも家庭的な雰囲気の中、比較的少人数のユニット内で暮らしていけるという点でしょう。ユニットケアを取り入れていない従来型個室の場合よりも、一人ひとりのペースに合わせたきめ細やかなケアができるという点もメリットです。デメリットとしては、多床室やユニット型準個室などに比べて費用が高くなってしまうということが挙げられます。
3つ目は「従来型個室」。これは上述の”10人程度を1グループとしたユニットケア”が取り入れられて”いない”個室のことです。ベッドはもちろん1部屋に1つだけです。トイレや洗面台は個室に付いている場合もあれば共同という場合もあります。多床室に比べてプライバシーは守られますが、ユニット型個室に比べてケアが行き届きにくいというデメリットがあります。費用は多床室より高く、ユニット型個室に比べて安い場合が多いようです。
4つ目は「ユニット型準個室」。ユニット型個室が完全に壁で仕切られている個室であることに比べ、ユニット型準個室は天井と壁の間にすきまを設けている場合があります。このすきまはもともと多床室だった部屋をユニット型個室に似せて後から壁で区切ったことによって生じるものです。大部屋を改修したものですから、完全にはプライバシーを守れない場合もある一方で、ユニット型個室よりも費用を抑えられるというメリットがあります。
個室がある施設を選ぶメリットとは

個室は相部屋よりも月額利用料などが高めですが、風邪が流行ったときには感染するリスクが低減。「周りの人を気にしなくて良い」「一人でゆっくり寝られる」「自分で好きなように動ける」など、メリットが沢山あるので人気です。
今時の個室は冷暖房完備で、介護ベッドなどが入っており、快適に暮らせる環境が整っています。さらに、老人ホームによってはトイレや洗面台付き、浴室やミニキッチン付きの個室も。入居前とほとんど変わらない生活環境で暮らせるでしょう。
プライバシーを保つことができる
老人ホームへの入居を希望する高齢者は「プライバシーを守り、自室でゆっくり過ごしたい」と考える人は多く、最近の老人ホームは個室完備の所が増えています。
「大部屋では寝られない」という声も少なくはないため、「個室がもらえること」を前提条件として老人ホームを探す人も多数。個室には感染症のリスクが減るといったメリットもあるので、神経質な人やお身体があまり強くない方にもオススメです。
また、それぞれの個室にトイレが付いている所も増えており、家具や電化製品などを好きに持ち込める場合も多いため、入居前と余り変わらない部屋で暮らせることも魅力でしょう。
家族が気兼ねなく訪問できる
家族が入居者のタオルなどを洗濯して持ってくることは良くあることであり、老人ホームを選ぶ際は「家族が遠慮なく訪問できる環境が整っているかどうか?」も重要でしょう。
個室であれば他の入居者に気兼ねしなくて済むので、長めに滞在し、入居者の話し相手になることも可能です。さらに、おむつ交換も臭いなどを気にせず行うことができ、相部屋と違い、交換されている姿を人に見られずにすみます。
トイレ付きの場合は夜も安心
トイレ付きの個室は夜中にトイレに行きやすいのもメリット。トイレが近い人やトイレが長い人は、共同トイレだと遠慮してしまうことがありますので、気兼ねなくトイレに行けることは重要なポイントとなるようです。
最近ではお風呂やシャワーが付いている所もありますが、要介護状態の人が一人で入浴するのは危険を伴うことも。そのため「入浴は家族が訪問しているとき」というようにルールを決めると良いですね。
個室にトイレなどが備わっているのは便利ですが、「認知症の度合いや介護度に合わせて部屋を選ぶ」と心に留めておくことも大切です。
喫煙スペースありの施設特集
館内に喫煙スペースを設けて、喫煙者と非喫煙者が共存できる環境づくりが進行中

喫煙スペースの有無というのは、実は介護施設を選ぶ際に大きなポイントとなるかもしれません。というのも、激動の高度経済成長期を生き抜いてきた現在の高齢者には喫煙者が多く、一方で、健康のために禁煙した人も多く、その両者が快適に暮らすために必要不可欠なスペースだから。ひと昔前であれば“フリースモーキング”も一般的でしたが、禁煙が声高に叫ばれる昨今では、館内に喫煙スペースを設け、タバコを吸う人と吸わない人とが共存できる環境づくりが進んでいます。そこでここでは、館内での喫煙がOKという介護施設をご紹介していきます。
愛煙家の高齢者のための環境も整っている
喫煙愛好家の方々にとって、最近はとくに肩身のせまい思いをすることが多いのではないでしょうか?
日本ではタバコによる受動喫煙のリスクを避けるために「健康増進法」が成立、以後、公共の場では確実に禁煙が広がり、レストランや喫茶店でも分煙がすすんでいます。公共の場だけではなく、自宅でも家族に気を遣ってベランダや玄関先でひとりタバコを吸う「ホタル族」の姿も多々みられます。このホタル族に対してもマンション住民から「受動喫煙の危険がある」という厳しい意見もあり、気軽にタバコが吸えない状況です。さらに追いうちをかけるようにタバコの価格自体も少しずつ上昇しており、喫煙愛好家にとっては安心してタバコが吸えない状況になっています。
公共の場だけではなく、老人ホームでも禁煙スペースと喫煙スペースを設ける「分煙」がすすんでいます。居室では喫煙可能であっても、共有スペースでは喫煙禁止の老人ホームがある一方、居室も共有スペースも全面禁煙となっており、施設の決まった場所に喫煙スペースを設置していることも。施設内ではなく施設外に排気設備つきのコンテナハウスを設置し、そこを喫煙スペースにしているケースもあります。喫煙愛好家にとってタバコは趣味や楽しみのひとつ。入居を希望する老人ホームでどこまで喫煙できるのかを確認しておきましょう。
認知症を発症している入居者の場合、火の取り扱いにはとくに厳しい管理が必要です。老人ホームによってはライターやタバコを施設職員があずかり、好きなときに喫煙できないようにしていることも。認知症の場合どのような行動をとるのかわからないこともあり、原則として自由に喫煙することはできません。老人ホームへの入所時には喫煙スペースの有無だけではなく、認知症の状況などもきちんと職員に伝える必要がありますね。
非喫煙者の場合、できるだけ禁煙スペースの広い老人ホームを選ぶことが重要です。喫煙者の多い老人ホームでは、居室や共有スペースにタバコの臭いが感じられることも。タバコの臭いは壁紙やカーテン、ソファーの生地などに移りやすく、いつまでも残ります。タバコの臭いが苦手な方は「全館禁煙の老人ホーム」または「きちんと分煙された老人ホーム」を選ぶことで快適な生活をおくることが可能です。
みんなの介護に掲載されている約7,000施設のうち、喫煙スペースありの老人ホームは約2,600施設。全体のうちの約4割の老人ホームに喫煙スペースがあります。喫煙愛好家の方は喫煙スペースが設置された老人ホームを選びましょう。
60歳以上男性の4人に1人は喫煙者!?
日本たばこ産業株式会社(JT)が調査した「2016年全国たばこ喫煙者率調査・年代別喫煙者率」のグラフによると、喫煙者が一番多いのは40代の男性で38.2%とかなり高い数値です。40代男性のじつに3人に1人が喫煙愛好者となっています。
では60代以上の高齢者の場合はどうでしょうか。喫煙者率(男性)は22.0%、女性は5.7%であることが判明しています。この結果から、60歳以上の男性の約4人に1人は喫煙者と考えてもよい状況です。喫煙愛好家の数は予想以上に多いことがわかります。
健康増進法施行により公共施設での禁煙、分煙がかなりすすんでいますが、潜在的な喫煙者数が多いため、都市部の一部公共施設では喫煙化エリア外でタバコを吸う例もあり「禁煙部分にまでタバコの煙が流れてくる」とトラブルになることも。くれぐれもマナーを守って楽しんでもらいたいものです。
また、10年以上の喫煙歴のある60歳以上の高齢者のうち、じつに97%もの方に「「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の疑いがあるとも言われています。COPDは、タバコなど有害な煙を長期間吸いこむことで発症する、炎症をともなう呼吸器の病気の総称です。気管支炎や肺気腫もCOPDの一種です。この病気の最大の原因は喫煙で、禁煙すれば病気の発症をおさえることができます。
病気の症状としては歩行時や階段の昇り降りで息切れがする労作時呼吸困難や、せき、たん、喘息など。
治療の基本は当然禁煙ですが、禁煙以外にも気管支拡張薬の使用(吸入薬)、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種、呼吸リハビリテーションの実施などで症状をやわらげ、病気の進行をおさえます。もし血中の酸素濃度が低くなってしまった場合は、在宅酸素療法をおこなうことも。症状が改善せず呼吸不全がつづく場合は小型の人工呼吸器やマスクを着用したり、症例によっては肺の切除をおこなうことも。甘くみるとこわいCOPD、禁煙を心がけることで病気の発症や進行をある程度おさえることができます。
ニコチン依存はCOPDだけではなく、うつ病やうつ病様症状をも引きおこすことが指摘されています。「健康のためにも禁煙を」という言葉にはきちんとした裏付けがあるのですね。いつまでも元気に暮らせるよう、できるだけ禁煙を心がけましょう。
喫煙可の老人ホームは少ない!?その理由とは?
健康増進法(受動喫煙防止法)施行後、禁煙や分煙に配慮した老人ホームが増えています。
老人ホームは宿泊のための施設ではなく「生活の場」であるため、個人の嗜好や趣味、楽しみを老人ホーム側が制限することはできません。ところがタバコは受動喫煙によるリスクや害が指摘されており、タバコを吸うことで同じ部屋にいる入所者の健康を害する可能性があります。老人ホームで分煙や禁煙がなされていない場合、非喫煙者であってもタバコの煙を吸いこむ可能性はゼロではありません。受動喫煙により心筋梗塞や狭心症で死亡する可能性が1.3~2.7倍に跳ねあがることが指摘されていますし、心臓の病気だけではなく、気管支炎の悪化、脳卒中、動脈硬化などの原因になるといわれています。
このような背景があり、非喫煙者から老人ホームへ「分煙、喫煙」の要望が寄せられるようになりました。本人の意思とは関係なく受動喫煙のリスクにさらされるのは、やはり迷惑なものですね。老人ホーム側としては非喫煙者の意見や健康増進法施行の影響を考慮して、入居者の喫煙を全部、または一部制限していることが多くなっています。これが喫煙可の老人ホームが少なくなっている理由です。
社会的には「禁煙」への流れが主流となっていますが、そうは言っても長年楽しんできたタバコをある日急にやめるのはむずかしいもの。とある老人ホームでは施設内に喫煙スペースをもうけ、喫煙愛好者にはそのスペース内でタバコを楽しんでもらえるように配慮しています。喫煙スペースは完全に密閉されているうえに分煙装置が設置されており、スペース内の煙が施設内に流出する心配は一切ありません。入所者のなかには「食後の一服がないと、やっていられない」と感じる方もいます。施設職員や面会者のなかにも喫煙愛好者がいるため、喫煙スペースを設置するケースも多いようです。
密閉された喫煙スペースや分煙装置を施設内に設置出来ない場合は、施設外に専用のスペースをつくり、そちらで喫煙してもらうケースもあります。この場合、施設内は完全禁煙となるため、非喫煙者にとってはこちらの方が好ましいでしょう。
老人ホームを選ぶときには、施設内が完全禁煙なのか、施設内に喫煙スペースがあるのかを確認することをおすすめします。喫煙可の老人ホームは少なくなっていますが、現状の喫煙者数を考えれば今すぐに老人ホーム内の完全禁煙は実現しにくいと考えられます。探せば喫煙可の老人ホームは必ずあります。