犬・猫・ペット入居可の施設特集

介護施設に入居するからといって、長年生活をともにしてきたペットと離れ離れの生活になるのは淋しいもの。昨今ではペットとの生活が高齢者にとって好影響を与えるといった研究も進んでおり、無理に離れて暮らすことはありません。
ここでは、犬・猫・ペットと一緒に入居が可能な施設をご紹介。専用のドッグランがあったり、ペット専用のシャワースペースがあったりと、しっかりとした環境が整っている施設もたくさんありますよ。ただし、吠えたり噛んだりといった問題行動は他の入居者の迷惑になってしまうので、入居前のしつけはしっかりと!
アニマルセラピーはどのような効用があるの?

アニマルセラピーとは、別名「ペット療法」とも呼ばれる動物療法です。動物と触れ合うことで情緒が安定し、心身の健康を向上させる効能があると言われています。
動物との触れ合いが今までと違う環境で暮らすストレスを緩和し、孤独感を軽減した…という報告も。まだまだ研究段階ではありますが、認知症の改善にも効果があるという調査結果も出ています。
そのため、トレーニングやしつけを施された「コンパニオンアニマル」とともにボランティアが施設に訪問し、動物と触れ合える場を設ける「動物介在活動」も活発です。
「ペット不可」となっている老人ホームでも、このような動物をふまえたレクリエーションチームを定期的に招いている所もあり、今注目を集めている施設形態となっています。
小型犬は可、中型犬・大型犬は不可というケースが多い?
大事なペットと一緒に暮らせるペット可の老人ホームですが、すべてのペットに対応しているかどうかは事前の確認が必要です。猫や小型犬は入居OKでも、中型犬や大型犬は不可となっている老人ホームもあります。
大型犬になると鳴き声がうるさい、ほかの住人に迷惑をかける可能性があるなどが理由のよう。お部屋で飼えるかどうかはペットの体の大きさにもよるため、あまりにも大きな犬は入居できない可能性が高いと思った方が良いでしょう。ただし、すべての老人ホームで中型犬・大型犬の入居が断られるかというと、決してそういうわけではありません。
少数派とはいえ、ドッグランなどのペット専用設備がしっかりした老人ホームもあります。大型犬との同居を考えて設計された施設であれば「大型犬だから」という理由で入居を拒否されることはありません。ペット可の老人ホームでも中型犬・大型犬の受け入れ可能かどうかは「情報収集」次第です。
ペットとともに老人ホームへの入居を望むのであれば、早いうちから老人ホームの情報を集め、いざという時にすぐに申し込めるようにしておきましょう。介護が必要になった段階で老人ホームを探すタイミングでは遅いかもしれません。早め早めの行動が大事です。
小型犬 | 中型犬 | 大型犬 |
---|---|---|
ミニチュア・ダックスフンド、トイ・プードル、チワワ、ミニチュア・プードル、マルチーズ、ポメラニアン、パグなど | 柴犬、アメリカン・コッカー・スパニエル、フレンチ・ブルドッグ、チャウチャウなど | ゴールデン・レトリバー、秋田犬、シベリアン・ハスキー、ブルドック、ドーベルマン、コリーなど |
ペット入居可の施設はに入るのが難しい理由
「入居後もペットと一緒に暮らしたい」という人が増えていることに比例し、「ペット入居OK」の老人ホームも徐々に増加しています。しかし、全国的に見てもまだまだ数は少ないのが現状です。
それでも一緒に暮らしている愛犬や愛猫とは離れたくないのもの。早めに「ペットOK」の老人ホームを探しておいて、空室状況などを確認しておくのがベストです。
ペット入居可能な施設ホームは問い合わせが多い
高齢者が歳を重ねるのと一緒に、愛犬や愛猫も歳をとります。「年老いたペットを引き取ってくれる人がいない」といった理由もあり、「老人ホームに入る場合はペットも一緒に!」という人が増えていることは自然とも言えそうです。
実際、老人ホームや地域包括支援センターなどに「ペットと入居できる老人ホームを探している」という問い合わせは増加の一途をたどっています。しかし、ペットと一緒に入居できる老人ホームはまだまだ数が少ないため、空室がない場合が多いのも事実。早めに予約をして、空きが出るのを待つのが現実的なようです。
ペットは入居できない老人ホームがやはり多数を占める
「ペット入居不可」の理由として、「動物アレルギーの入居者や動物が苦手な入居者がいる」が多く挙げられています。また、要介護状態が重くなると、入居者本人が散歩やペットの世話を行うのは困難。その場合、「誰が代わりに世話をするのか?」という問題も出てきます。
さらに、ペットの糞や抜け毛などの始末をするのが難しいとなると、衛生管理も施設のスタッフが行うこととなり、ペットたちの管理・世話を担当するスタッフが必要に。老人ホーム側の人件費問題も出てくるため、「ペット入居OK」と謳う老人ホームが少ないのが現状です。
ペットが入居可能な施設へ入居する前にはルール・規約の確認を!

「ペット入居OK」の老人ホームでは入居後のルールがいろいろと設けられています。ペットが苦手な人や動物アレルギーの人が困らないように、ペットを歩かせて良いエリアが決まっている施設や、「ペットOK」のフロアが限定されている施設も多いようです。
基本的にペットの世話は飼い主である入居者がします。施設スタッフによるサポートの範囲は老人ホームによって違いますので、事前の確認が必要でしょう。
また、「ペット入居OK」と謳っていても、トイレのしつけができていないペットや、あまりに吠える犬、一日中鳴いている猫などは入居が厳しい場合もあるようです。特に噛み癖があり、人に危害を加える可能性が高いペットは入居拒否される可能性も少なくありません。
料金面でも、月額利用料金に加えて「動物管理費」がかかる場合もあり、入居できるペットの大きさや種類が限られていることも。入居前に老人ホームやケアマネージャーに、詳しく聞いておく必要がありそうです。
看取り・終末期・ターミナルケアの対応が可能な施設特集
QOLを重視した医療ケアも万全の施設です

例えば末期がんの患者などは、それ以上の治療を行わないというケースもあるでしょう。そんな時こそ、終末期対応可・ターミナルケアのある施設への入居を考えてみてはいかがでしょう? 「介護・看護に関して24時間体制が整っているか」「すぐに連絡が取れる提携の医療機関があるか」。この2点を確認しておけば、ある程度は施設側の姿勢も見えてくるもの。医療ケアがしっかりとした施設ばかりで、来るべき日までの生活を、どれだけ自分らしく送れるかという“クオリティ・オブ・ライフ”を重視しているため、きっと充実した余生を送れるはずですよ。
看取りに対応した老人ホーム・介護施設は、QOLを重視した介護が特長です
最期を迎えたい場所として一番多かったのが「自宅」の54.6%であるというアンケート結果が、内閣府が全国55歳以上の男女を対象にしておこなった「高齢者の健康に関する意識調査(平成24年度)」によって明らかになりました。ついで「病院などの医療施設」が27.7%、「特別養護老人ホームなどの福祉施設」が4.5%、「高齢者向けのケア付き住宅」が4.1%となっています。多くの方が自宅で最期を迎えたいと望んでいるにも関わらず、実際にその希望がかなえられるケースは少なく、ほとんどの方が病院などの医療施設で亡くなっています。
日本人の死因は悪性新生物(がん)や心疾患、肺炎、脳血管疾患が多くを占めており、全体の約64%もの方々が病気によってこの世を去っています。自宅で安らかな死を迎えたいと願っても医療施設で最期を迎えざるを得ない状況です。
最近は介護福祉施設で最期を迎えたいと望む方が増えています。この背景には「看取り・ターミナルケア対応」の老人ホームが増加していることがあげられます。
平成18年に介護報酬が改定され「看取り加算」が可能になったことから、一部の老人ホームでは看取りの定義やケアの方針をしっかり定めたうえで看取りを希望する入居者を受け入れています。看取り・ターミナルケア対応の老人ホームでは、入居者の人生の質(QOL)を充実させ、より満足できる生活を送ってもらうことを重視しています。看取り可能な老人ホームでは治療を受けても病気回復の見込みがない入居者に対して、穏やかな死を迎えられるようにさまざまな取り組みを行っています。
ある看取り対応の老人ホームでは、入所者の好きな音楽を流したり、栄養摂取に時間をかける、職員が業務の合間にできるだけ本人に語りかけ寂しい思いをさせないなどの配慮を行っています。看取り・ターミナルケアが可能な老人ホームでは看取りのための介護スタッフ研修が定期的に実施され、看取りに対する心構えや必要な措置を学んでいます。看取り期にあらわれる入居者の変化(急変時ふくむ)に適切に対応し、安心して生活してもらうために各老人ホームで努力していますので、安心して利用して頂きたいと思います。
看取り可能な老人ホーム・介護施設で受けることができる介護サポート
看取り可能な施設では、終末期をむかえた入居者に対して手厚い介護がおこなわれます。その具体的な例をあげてご紹介しましょう。
まずはボディケアです。これは安らかな死を迎えるために環境を整えることから始まります。相部屋であれば、家族との面会がしやすい個室に移動することもあります。利用者が過ごしやすいように室温を調整し、お花を飾ったり好きな音楽を流す、好みの絵画を飾るなどして過ごしやすい環境にします。終末期には食事量が減っていく傾向が見られますが、できるだけ好きなメニューを提供し食べやすいようにとろみをつけて時間をかけ、栄養摂取を心がけます。体を清潔にすることも重要です。ただ蒸しタオルで体を拭くだけではなく、できる限りお風呂に入ってもらうことを心がける老人ホームもあります。体がきれいになることで気持ちもさっぱりするものです。ほかにも病気を患った入居者への疼痛緩和のためのマッサージや温シップ、排泄介助などさまざまなものがあります。
ボディケア以外にも入居者へのメンタルケアも行います。終末期は入居者の精神的な苦痛をとりのぞくために、できる限り本人に話しかけ、寂しい思いをさせないようにします。手を握ったりマッサージを行うなどのスキンシップで寄り添うことを重視した介護サービスを提供。また職員同士の連絡を密にして、夜間の急変時にそなえます。
終末期にはメンタルケアだけではなく、入居者への医療ケアも必要です。医師の指導のもと、酸素吸入や点滴、疼痛緩和のための処置などを行います。看護職員は医師や介護スタッフと連携して、入居者の体調変化や容体の急変に対応します。
看取りケアでは本人だけではなく、家族への精神的ケアにも対応しています。この先入居者がどのような経過をたどるのか、現状に対してスタッフがどのように対処していくのかを説明し、看取りへの不安を解消できるように努めます。家族と入居者の面会時間をできるだけ長くとれるように配慮し、最期のときを家族も心穏やかにともに過ごせるように、介護・看護スタッフが24時間体制で介護や見守りを行います。家族としては先の見えない状況で不安や迷いがあるかと思いますが、分からないことがあれば介護スタッフに声をかけ、その都度解消していくことが精神的な安定につながります。
どのように看取りを行うか?老人ホーム・介護施設入居前には同意書への確認を!
看取り・ターミナルケア対応の老人ホームでは、まず入居時に家族に対して「本人の容体が急変したときには救急搬送を行うのか、それとも何もしないのか」ということを確認します。高齢者は急に体調を崩してしまうこともあるため、入居時に家族の看取りに対する気持ちを確認します。
このとき「緊急時に病院搬送してほしい」という要望であれば医療施設での看取りになる可能性が高くなります。看取り対応の老人ホームであっても、こちらを希望して構いません。また「緊急時に病院搬送しないでほしい」ということであれば、老人ホーム内でできることとできないことなどを施設側が説明します。老人ホーム内でできる医療行為には限界があり、積極的に治療することはできません。その点をよく頭にいれ、急変時の対応を決めていきましょう。入居時には「病院搬送しないでほしい」と伝えたとしても、その後、本人や家族の気持ちに変化があれば老人ホーム側は柔軟に対応しますので安心してください。
老人ホームへの入居後、入居者が終末期にあると医師が判断した場合、また食事の量が少なくなる、元気がなくなった頃に老人ホーム側から「看取り看護・介護についての同意書」へのサインを求められることになります。書面で看取りの意志を確認すると、老人ホーム側では医師の指導を仰ぎながら生活相談員や看護師、介護士、管理栄養士、理学療法士などのスタッフと連携し「看取り介護計画書」を作成。この計画書は老人ホームが一方的に作成するものではなく、入居者本人やご家族の意向や要望も反映されます。
一旦作成された看取り介護計画書ですが、入居者本人の健康状態や意思の変化などにより適宜見直しを行うことができます。不安なことや疑問、迷いがあるときは遠慮なく老人ホームの介護スタッフに相談しましょう。
施設への報酬となる「看取り介護加算」と家族の「同意書」の関連とは?
老人ホーム側の報酬となる介護保険での「看取り介護加算」ですが、どのような施設や状況であっても加算がとれるわけではありません。いくつか条件があります。
まず看取りに関する職員研修を行うこと、常勤の看護師を1名配置すること、看護職員と24時間いつでも連絡がとれる体制を整えること。これらの条件は看取りに関する職員教育や看護体制についてのものです。職員が看取りや看護のことについて無知では、安心して家族をあずけることができません。個室、または静養室を設置した老人ホームであることも条件です。多床室だけの老人ホームでは、本人や家族も落ち着きません。
また看取りに関する指針を定め、入居者やその家族に対して指針の内容を事前に十分確認し、同意を得られているかどうかも重要です。老人ホームの看取り方針に同意できた場合「看取り看護・介護についての同意書」へ入居者と家族(身元引受人)がサインをします。この同意書を受領してから4~30日以内は144単位の看取り介護加算となり、死亡日の前日及び前々日は680単位、さらに死亡日は1日につき1,280単位を加算すると介護保険で定められています。つまり介護・看護スタッフの教育や配置が十分であっても「同意書」がなければ看取り介護加算をとることができないのです。
このときの看取り介護加算額に対し、一部が入居者の自費費用となります。自費費用分に対しては事前に老人ホーム側から説明があります。あとで揉めないためにも話の内容をきちんとメモし、わからない部分は遠慮なく質問して頭にいれておきましょう。