訪問介護・デイサービス併設の施設特集
訪問介護・デイサービス併設タイプで介護スタッフが身近にいる安心を

バリアフリーなど高齢者にとって住みやすい環境と安否確認サービス・生活相談サービスのみを提供する「サービス付き高齢者住宅」や、介護サービスは外部サービスを利用することになる「住宅型有料老人ホーム」などには、入居者が介護サービスを利用しやすいように訪問介護やデイサービスを併設する施設があります。住宅内に介護スタッフが待機しているため安心して介護サービスを利用し毎日を過ごせる、訪問介護・デイサービス併設型の施設をここではご紹介します。
訪問介護・デイサービスを併設している老人ホームの特徴は
最近の住宅型有料老人ホームや介護付き高齢者向け住宅では、訪問介護やデイサービス併設対応が増えています。住宅型有料老人ホームや介護付き高齢者向け住宅の入居者は、要支援・要介護認定されている場合に施設に併設された事業所、または外部の居宅サービスを利用することができます。居宅サービスとは訪問介護やデイサービス、訪問看護などのことです。
それでは、訪問介護・デイサービス併設タイプの老人ホームで提供されているサービスはどのようなものなのでしょうか。訪問介護では食事・入浴・排泄・着替え・移動・外出・体位変換の介助、入居者の体を拭いて清潔にする清拭、薬を飲ませる介助(服薬介助)などがあります。ほかにも部屋の清掃や洗濯などの家事援助サービスも。
デイサービスではレクリエーション活動や機能訓練が実施されます。レクリエーション活動では指先を使う手芸やぬり絵、貼り絵、絵手紙作成などが行われ、施設に庭があれば家庭菜園をつくり園芸療法も楽しめます。施設によっては足浴やフットケア、マッサージ、メイクアップセラピー、アロマセラピーなど、認知症の予防や症状緩和にも役立つリハビリをメニューに組みこんだ施設もあり、利用者が飽きないような工夫がされています。訪問介護・デイサービス併設タイプの老人ホームは、つねに介護スタッフがそばにいて見守りをしてくれることがメリットであり安心感につながっています。
以下の表は厚生労働省がまとめた平成25年と平成26年の居宅サービス事業所数です。平成25年と平成26年を比較してみると、訪問介護は1,150か所(3.5%)増、訪問看護ステーションは750か所(10.5%)増、通所介護(デイサービス)は3,533か所(9.3%)増、通所リハビリ(デイケア)は237か所(3.4%)増と、居宅サービス事業所は軒並み増加しています。この流れは今後も継続するとみられ、今後は居宅サービスが主流になっていくと予想されます。
平成25年 | 平成26年 | 増減数(増減率) | |
---|---|---|---|
訪問介護 | 32,761 | 33,911 | 1,150(3.5%) |
訪問入浴介護 | 2,344 | 2,262 | -82(-3.5%) |
訪問看護ステーション | 7,153 | 7,903 | 750(10.5%) |
通所介護 | 38,127 | 41,660 | 3,533(9.3%) |
通所リハビリテーション | 7,047 | 7,284 | 237(3.4%) |
短期入所生活介護 | 9,445 | 10,251 | 806(8.5%) |
短期入所療養介護 | 5,377 | 5,382 | 5(0.1%) |
特定施設入居者生活介護 | 4,197 | 4,452 | 255(6.1%) |
福祉用具貸与 | 7,864 | 7,961 | 97(1.2%) |
特定福祉用具販売 | 7,902 | 8,018 | 116(1.5%) |
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅では居宅サービスを利用するのが一般的
有料老人ホームのなかでも、デイサービスや訪問介護は住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅での利用に限られる、介護付き有料老人ホームでは使えないことになっています。これはどうしてでしょうか?
介護付き有料老人ホームでは、介護保険で利用できる介護サービスをすべて施設内で利用することが法律で決められています。介護保険上のきまりがあるため、介護付き有料老人ホームの入居者がデイサービスや訪問介護などの外部サービスを利用することができないのです。
ところが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者は外部サービスの利用が可能となっています。もし老人ホームに入居後にデイサービスを利用したい場合はケアマネージャーと相談のうえ、ケアプランにデイサービスを入れてもらいましょう。そうすることで外部サービスを利用することができます。最近は老人ホーム内にデイサービスや訪問介護が併設されている施設も増えていますので、わざわざ車などで移動しなくても気軽に外部サービスを利用することができます。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、入居者が自分の好みや体の状態によってさまざまなケアプランを自由に組み立ててもらえるのが魅力です。ただし自由度の高い老人ホームにも注意したい点があります。介護付き有料老人ホームの場合、利用料に介護保険1割負担額が含まれているため、毎月の総支払額が把握しやすいのですが、それ以外の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では毎月の家賃・食費・共益費・寝具リース代・管理費と、介護保険負担額(時間外介護サービス費なども含む)とが分離されており、金額が把握しにくくなっています。
入居時に必要な費用をしっかり説明する業者もいますが、費用面で不安なことがあれば早めに相談しておくとあとでトラブルにならずにすみます。
介護度別に決められている在宅介護サービスの上限額に注意!
要支援や要介護になると利用できる介護サービスですが、毎月好きなだけサービスが利用できるわけではありません。介護度別に利用額の上限がさだめられています。
東京都の場合、要支援1の方の1か月の支給額は49,700円、要支援2では104,000円、要介護1では165,800円、要介護2では194,800円、要介護3では267,500円、要介護4では306,000円、要介護5では358,300円となっています。利用者の介護度が重くなればなるほど、介護保険の支給額上限があがっていきます。支給限度額を超える介護サービスを受けた場合、超過した分は利用者の全額自己負担となります。
ここでは在宅介護の自己負担額の表を掲示しています。訪問介護にかかる費用は「身体介護が中心」なのか「生活援助が中心」なのかで負担額も変わってきます。また利用した時間によっても介護費用が変わります。
たとえば食事・入浴・排泄介助などの身体介助が中心であった場合、1時間以上の利用であれば564単位と決まっています。1単位が10円の地域では5,640円の介護サービスが提供されたことになります。利用者の負担は1割なので、利用者は564円を訪問介護事業者に支払います。訪問介護サービスを月に15回利用したなら、15回×564円なので8,190円が利用者の負担額になります。
通所介護(デイサービス)に関しても費用の決まりがあります。通う施設が小規模型通所介護なのか通常規模型通所介護なのか、施設によって費用に差があります。また要介護ごと、そして利用した時間ごとに費用が異なります。たとえば、小規模型通所介護に要介護1の利用者が7時間以上9時間未満利用した場合は、735単位、1単位を10円とすると7,350円となります。本人の自己負担額は1割なので735円です。もし月に25回利用した場合、利用者本人の自己負担額はその1割である18,375円となるはずです。
ところがこの場合、要介護1で利用できる介護保険の上限は165,800円と決まっているため、デイサービスを25日利用すると183,750円となり上限額をオーバーします。差額の17,950円は全額自己負担となります。この方の場合は介護保険の1割負担額16,580円と超過分の17,950円の34,530円が自己負担額と計算されます。自己負担額を減らすためには、ケアマネと相談のうえ、利用限度額以内におさまるようなケアプランを作成してもらう必要があります。
2015年度版/在宅介護の自己負担額
<訪問介護費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | ||
---|---|---|---|
身体介護が中心である場合 | 20分未満の場合 | 1,650 | 165 |
20分以上30分未満の場合 | 2,450 | 245 | |
30分以上1時間未満の場合 | 3,880 | 388 | |
1時間以上の場合 | 5,640 | 564 | |
生活援助が中心である場合 | 20分以上45分未満の場合 | 1,830 | 183 |
45分以上の場合 | 2,250 | 225 | |
通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合 | 970 | 97 |
<訪問入浴介護費 >
かかる費用(円)*1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
入浴 | 12,340 | 1234 |
<訪問看護費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
指定訪問看護ステーションの場合 | ||
20分未満の場合 | 3,100 | 310 |
30分未満の場合 | 4,630 | 463 |
30分以上1時間未満の場合 | 8,140 | 814 |
1時間以上1時間30分未満の場合 | 11,170 | 1117 |
病院又は診療所の場合 | ||
20分未満の場合 | 2,620 | 262 |
30分未満の場合 | 3,920 | 392 |
30分以上1時間未満の場合 | 5,670 | 567 |
1時間以上1時間30分未満の場合 | 8,350 | 835 |
<訪問リハビリテーション費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
3,020 | 302 |
<通所介護(デイサービス)費>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | ||
---|---|---|---|
小規模型通所介護費 | |||
3時間以上5時間未満の場合 | 要介護1 | 4,260 | 426 |
要介護2 | 4,880 | 488 | |
要介護3 | 5,520 | 552 | |
要介護4 | 6,140 | 614 | |
要介護5 | 6,780 | 678 | |
5時間以上7時間未満の場合 | 要介護1 | 6,410 | 641 |
要介護2 | 7,570 | 757 | |
要介護3 | 8,740 | 874 | |
要介護4 | 9,900 | 990 | |
要介護5 | 11,070 | 1107 | |
7時間以上9時間未満の場合 | 要介護1 | 7,350 | 735 |
要介護2 | 8,680 | 868 | |
要介護3 | 10,060 | 1006 | |
要介護4 | 11,440 | 1144 | |
要介護5 | 12,810 | 1281 | |
通常規模型通所介護費 | |||
3時間以上5時間未満の場合 | 要介護1 | 3,800 | 380 |
要介護2 | 4,360 | 436 | |
要介護3 | 4,930 | 493 | |
要介護4 | 5,480 | 548 | |
要介護5 | 6,050 | 605 | |
5時間以上7時間未満の場合 | 要介護1 | 5,720 | 572 |
要介護2 | 6,760 | 676 | |
要介護3 | 7,800 | 780 | |
要介護4 | 8,840 | 884 | |
要介護5 | 9,880 | 988 | |
7時間以上9時間未満の場合 | 要介護1 | 6,560 | 656 |
要介護2 | 7,750 | 775 | |
要介護3 | 8,980 | 898 | |
要介護4 | 10,210 | 1021 | |
要介護5 | 11,440 | 1144 |
<通所リハビリテーション(デイケア)>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | ||
---|---|---|---|
通常規模型リハビリテーション費 | |||
1時間以上2時間未満の場合 | 要介護1 | 3,290 | 329 |
要介護2 | 3,580 | 358 | |
要介護3 | 3,880 | 388 | |
要介護4 | 4,170 | 417 | |
要介護5 | 4,480 | 448 | |
2時間以上3時間未満の場合 | 要介護1 | 3,430 | 343 |
要介護2 | 3,980 | 398 | |
要介護3 | 4,550 | 455 | |
要介護4 | 5,100 | 510 | |
要介護5 | 5,660 | 566 | |
3時間以上4時間未満の場合 | 要介護1 | 4,440 | 444 |
要介護2 | 5,200 | 520 | |
要介護3 | 5,960 | 596 | |
要介護4 | 6,730 | 673 | |
要介護5 | 7,490 | 749 | |
4時間以上6時間未満の場合 | 要介護1 | 5,590 | 559 |
要介護2 | 6,660 | 666 | |
要介護3 | 7,720 | 772 | |
要介護4 | 8,780 | 878 | |
要介護5 | 9,840 | 984 | |
6時間以上8時間未満の場合 | 要介護1 | 7,260 | 726 |
要介護2 | 8,750 | 875 | |
要介護3 | 10,220 | 1022 | |
要介護4 | 11,730 | 1173 | |
要介護5 | 13,210 | 1321 |
<短期入所生活介護費(ショートステイ)>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
単独型短期入所生活介護費(Ⅰ)<従来型個室> | ||
要介護1 | 6,200 | 620 |
要介護2 | 6,870 | 687 |
要介護3 | 7,550 | 755 |
要介護4 | 8,220 | 822 |
要介護5 | 8,870 | 887 |
単独型短期入所生活介護費(Ⅱ)<多床室> | ||
要介護1 | 6,400 | 640 |
要介護2 | 7,070 | 707 |
要介護3 | 7,750 | 775 |
要介護4 | 8,420 | 842 |
要介護5 | 9,070 | 907 |
単独型ユニット型短期入所生活介護費(Ⅰ)<ユニット型個室> | ||
要介護1 | 7,180 | 718 |
要介護2 | 7,840 | 784 |
要介護3 | 8,550 | 855 |
要介護4 | 9,210 | 921 |
要介護5 | 9,870 | 987 |
単独型ユニット型短期入所生活介護費(Ⅱ)<ユニット型準個室> | ||
要介護1 | 7,180 | 718 |
要介護2 | 7,840 | 784 |
要介護3 | 8,550 | 855 |
要介護4 | 9,210 | 921 |
要介護5 | 9,870 | 987 |
<短期入所療養介護費(ショートステイ)>
かかる費用(円) *1単位10円の 地域の場合 |
単位 | |
---|---|---|
介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅰ)<従来型個室> | ||
要介護1 | 7,500 | 750 |
要介護2 | 7,950 | 795 |
要介護3 | 8,560 | 856 |
要介護4 | 9,080 | 908 |
要介護5 | 9,590 | 959 |
介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅲ)<多床室> | ||
要介護1 | 8,230 | 823 |
要介護2 | 8,710 | 871 |
要介護3 | 9,320 | 932 |
要介護4 | 9,830 | 983 |
要介護5 | 10,360 | 1036 |
ユニット型介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅰ) <ユニット型個室> |
||
要介護1 | 8,290 | 829 |
要介護2 | 8,740 | 874 |
要介護3 | 9,360 | 936 |
要介護4 | 9,890 | 989 |
要介護5 | 10,400 | 1040 |
ユニット型介護老人保健施設短期入所療養介護費(ⅲ) <ユニット型準個室> |
||
要介護1 | 8,290 | 829 |
要介護2 | 8,740 | 874 |
要介護3 | 9,360 | 936 |
要介護4 | 9,890 | 989 |
要介護5 | 10,400 | 1040 |
※上記の表では1単位10円で計算していますが、お住まいの地域によって1単位あたりの単価は変わりますのでご注意ください。
介護付有料老人ホームと比較したときのメリット・デメリットは?
有料老人ホームでも、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅では「外部サービスの利用ができるかどうか」で差がついています。これがメリットになり、また同時にデメリットにもなります。
住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット | |
---|---|
メリット |
・それまで利用していたケアマネージャーやデイサービス、ヘルパーを引き続き利用できる。デイサービスを気に入って利用している場合は、そのサービスを継続して利用できる。 ・介護が必要になった場合、好みの介護サービス事業者を選ぶことも可能。介護保険の上限まで介護サービスを自由に選択できるので、ケアマネージャーと相談しながらデイサービスやデイケア、訪問介護の回数を減らす、増やすなどの組み立てができる。 |
デメリット |
・利用したサービスごとに費用を支払っていくため、介護度が重くなると介護保険の利用限度額を超えてしまい自己負担になることがある。このようなことを防ぐために、利用限度額を超えないようにケアプランを作成してもらうこと。 ・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅のスタッフは介護サービスを行なわないため、トイレ介助や着替え介助などを頼みにくいことがある。介護ケアを受けるためには、日中は必ずデイサービスに行く必要がある。 ・訪問介護サービスを利用することでも介護サービスを受けることができる。 |
安い・低価格の施設特集

昨今、介護施設への入居にあたっての金銭的なハードルは確実に低くなっています。入居一時金が0円、月額利用料10万円台のところもたくさんあり、年金収入がメインとなる高齢者にとっては嬉しい流れですね。
「施設に入居するならできるだけ長く、落ち着いて暮らしたい」、そんな方にとって、月額利用料の低価格・安い施設は理想的と言えるでしょう。
特養には待機者の列…。特養以外の老人ホームが選ばれる3つの理由

現在、特別養護老人ホームには原則的に要介護3以上の高齢者でなければ入居できません。入居希望者が多いため、入居申し込み後に長期間待ち続けるケースが多々発生しています。特養は入居費用が安く終身利用できることが魅力ですが、それゆえ需要に比例して待機が多く、すぐに入居できない点がデメリットになっています。
ところが、昨今の老人ホームは低価格化の波に乗って入居一時金や月額利用料が安めに設定されており、入居しやすくなっています。年金で月額利用料が支払える老人ホームも多く存在しています。
そして入居までの期間が比較的短いことも、特養以外が人気となっている理由。入居条件を満たしていれば、空室状況次第で2週間程度での入居も可能です。特養のように2年、3年と長い待ち時間を必要とせず、入居に時間がかからないのは大きなメリットと言えるでしょう。
また、老人ホームの施設数は特養と比べて多めなので、条件に合う施設を選べるのも嬉しいところ。自分の生活スタイルや心身の状況などを鑑み、より”自分自身にフィットした”施設を探すことができますね。
長い待ち時間を必要とする特養以外の老人ホームを選ぶ理由は「低価格」「即入居可」「施設数の多さ(選択肢の広さ)」の3つ。なお、老人ホームの入居方法や入居条件については各施設により差がありますので、事前の確認が必要です。
年金生活でも入居可能な老人ホームは必ず見つかる!
「年金だけで老人ホームの月額利用料が支払えるかしら」という漠然とした不安をお持ちの方も多くいると思います。ではこの疑問に対して、現実はどうでしょうか?
厚生労働省の「2016年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2016年度の厚生年金の月額平均受給額は約14万6千円、国民年金の平均受給額は約5万5千円となっています。「思ったほど受給額が多くない」「国民年金だけでは生活できない」そんな印象を抱いてしまう方も多いようです。
厚生年金の平均受給額が年々減少しているのも気になるところ。国の借金は毎年膨らんでおり、社会保障費の削減を検討する向きもあることから、年金受給額が減る可能性もゼロではないと言われています。そのため「限られた年金の範囲で入居できる老人ホーム」を探すことが、経済的な不安を軽減する現実的な方法となるでしょう。
厚生年金 | 国民年金 | |
---|---|---|
2012年度 | 14万8,422円 | 5万4,783円 |
2013年度 | 14万5,596円 | 5万4,544円 |
2014年度 | 14万4,886円 | 5万4,414円 |
2015年度 | 14万5,305円 | 5万5,157円 |
2016年度 | 14万5,951円 | 5万5,373円 |
費用面を考えると「やはり特養」という選択肢も出てきますが、希望者が多いことから即入居はかなり難しい状況。その反面、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の方が入居時期や入居条件が緩やかで、入居しやすいのは事実。中には生活保護受給者が入居相談できる施設もあり、決して入居できないわけではありません。
以下では、特に人気となっているケアハウスについて、その詳細をみていくことにしましょう。
「安い」介護施設の代名詞、ケアハウスにはどんな特徴があるのか
ケアハウスは地方自治体が運営する老人ホーム。自治体の助成があるため、入居の費用や月額利用料が安いという魅力があります。
入居対象は「経済的に介護付有料老人ホームなどに入居できない」という高齢者が主となります。入居には条件がありますが、その内容は地域包括支援センターのケアマネージャーなどに詳しく教えてもらうことができます。
施設には居間や食堂などの共同エリアがあり、自室としての個室も完備。ケアハウスによっては夫婦部屋もあるので夫婦での入居も可能です。
また、入居後は安否確認や緊急対応などのサポートが受けられ、介護型のケアハウスであれば介護度が上がっても退去が必要なくなることもポイントです。
ケアハウスにはいくつかの種類がある

ケアハウスは「軽費老人ホームA型・B型」「軽費老人ホームC型(ケアハウス一般型・介護型)」に分けられます。どのケアハウスもサポートを受けながら暮らせる共同生活施設。個室に加えて夫婦部屋もあるため、夫婦で入居できるのも大きなポイントでしょう。
また、浴室や食堂、居間など、居室以外はすべて共同で使用します。スタッフが常駐しており、洗濯などの簡単な生活サポートが受けられるのも魅力です。
特に「軽費老人ホームC型」とも呼ばれているケアハウスには「一般型」と「介護型」があり、どちらも食事の提供、緊急時対応や見守りサービスなどが受けられます。さらに、「介護型」では生活サポートにくわえ、介護サービスや通院の介助、安否確認などのサービスがあるのもポイントです。
都市型軽費老人ホームとは?
東京都心部などでは、徐々に高齢者が増加しています。しかし、都市部は介護施設の料金が高く、施設へ入居できない高齢者が増えているのも事実です。そこで近年ではこの状況に対応するべく、地域を限定した「都市型軽費老人ホーム」という種類の施設が増えています。
一般的なケアハウスと大きく違うのは、居室の面積と職員の配置基準が緩和されていること。都市型軽費老人ホームの方が部屋が狭く、また定員数も20人以下と決まっています。
さらに、都市型軽費老人ホームは入居一時金が不要です。収入認定などによる減免後は、人にもよりますが、本人負担額が10万円から12万円程度。都市部としてはかなり安めです。
ケアハウスの料金・費用の概要と目安
ケアハウスの料金はタイプによって違います。軽費老人ホームA型には食事がつく一方で介護サービスはなく、月額利用料は6~17万円ほど。軽費老人ホームB型には食事と介護サービスはなく、生活サポートのみで月額利用料が3~4万円と安く抑えられます。
要介護の方も入居できるケアハウス一般型は食事がつくことから6~17万円ほどの利用料。介護型のケアハウスは介護サービスが含まれるため、月額利用料は6~20万円と高めですが、介護付有料老人ホームに比べると低価格で介護サポートが受けられるのは魅力的です。
この基本料金に加えておむつ代やおやつ代などが加算されますので、一人ひとり総費用は違いますが、概ね他の介護施設より安価で抑えることができるでしょう。
ケアハウスへの入居条件
軽費老人ホームA型・B型は自立型なので、介護が必要な高齢者は入居ができません。またA型は食事提供がありますが、B型はありません。そのため後者は「自炊ができる」というのが入居条件となります。
一般型は、介護が不要な人や軽度の人(要介護2まで)が入居可能。年齢は60歳以上の高齢者または夫婦のどちらか一方が60歳以上であることが条件です。
また、介護型のケアハウスの入居条件は要介護度1以上で65歳以上。介護が必要な人も入居できますが、収入や「近親者のサポートが難しい」といった諸々の条件がありますので、ケアマネージャーなどに詳細を聞いてみると良いでしょう。
月額費用は入居者の介護状況で変わる

介護型と違い、一般型のケアハウスには介護士が常駐していませんので、訪問介護などの外部サービスを受けながら生活することになります。その分、費用もかかるため、最終的な額は少々高めになるかも知れません。
また、介護型のケアハウスは月額利用料として居住費や食費、日用品費などに加え、介護サービス費を負担。介護度が重い人はおむつ代などが加算されるなど、介護度によって月額利用料が変わっていくわけです。
収入によっては費用が減額される場合もある
ケアハウスは、低所得者が優遇されるシステムです。本人あるいは扶養義務のある家族の年収などを考慮し、料金が減額されます。東京都にあるケアハウスの例をあげると、収入が年間150万円以下という入居者の場合で減額措置の適用となり、費用は毎月7万円ほどになります。
しかし、収入が年間310万円を超えると、費用は毎月15万円超となる場合もあるなど、収入によって大きく変動します。地域包括支援センターなどのケアマネージャーに確認することで大まかに計算してもらえるので、入居時にどれくらいのお金が必要かを事前に計算しておくと良いでしょう。
ケアハウスが低価格である理由
一般的な有料老人ホームは民間企業が運営しているのに対し、ケアハウスは自治体や社会福祉法人といった公的機関が運営しています。
そのため、自治体からの助成によって入居者の費用が抑えられることに加え、国や市町村から助成される場合もあります。低収入の人には減額措置も適用されるため、毎月の費用がさらに安くなる可能性もあるようです。
また、高額介護サービス費による料金の補助が受けられる人もいます。介護サービスの自己負担額の上限を超えた場合、超えた分を払い戻してもらえるため、世帯によっては還付金の分、費用が安くなります。
自治体からの補助金が出る

地方自治体や社会福祉法人が運営するケアハウスは「軽費老人ホーム」とも呼ばれており、その名の通り費用が安いという何よりの特徴を持っています。上述した通り、自治体からの補助金のおかげで毎月の費用が安く押さえられるのです。
補助金には高額介護サービス費の還付金や、施設での生活サポートの提供に必要な費用(職員の給料など)の補助金が含まれます。そのため、ケアハウスは一般の介護施設よりも費用が安いのです。
高額介護サービス費による補助を受けることも可能
「高額介護サービス費」は、支払った介護サービスの利用料が自己負担額の上限を上回った際に、介護保険から上回った分を払い戻す制度です。
上限額は収入などによって違います。例えば世帯全員が住民税非課税で、さらに本人が老齢福祉年金の受給者の場合は、世帯の上限額が2万4,600円、個人の上限額が1万5,000円です。
ケアハウスは大きな家にみんなで住んでいるようなイメージ。「一人では寂しいから、みんなでご飯を食べられて嬉しい」といった感想もあり、一般の介護施設に入れない高齢者の拠り所となっているようです。