ヒト免疫不全ウイルス(HIV)でも入居可能な施設特集
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していても入居できる施設はたくさん

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とは、人間の免疫に大きく関わるリンパ球に感染して、その力を失わせるウイルス。感染後10年ほど続く無症状の状態をヒト免疫不全ウイルス感染症と呼び、症状が出てからは、かの有名なエイズ(後天性免疫不全症候群)と呼ばれます。様々な感染症やがんを引き起こす恐ろしい病気ですが、そもそもHIVウイルスは感染力が弱く、また感染経路の多くが性交渉によるものであることから、高齢者のための介護施設で入居を断られることは少ないようです。
HIVでも老人ホームへの入居は可能!
HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)はAIDSともよばれており、一時期マスコミによって大々的に報道されたため、多くの方々に知られる病気となりました。この病気は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が人間の体内に侵入することによって引き起こされます。
人間の体内には外部から入ってきた細菌や微生物、ウイルスを攻撃する「免疫システム」がそなわっていますが、HIVに感染すると大事な免疫細胞であるリンパ球やマクロファージにHIVが感染し、その力をうばっていきます。免疫力が低下することで、通常では感染することのない病気にかかりやすくなります。免疫力が低下することでいろいろな病気にかかる状態をAIDS(Acquired Immuno-Deficiency Syndrome:後天性免疫不全症候群)とよびます。
つまり、HIVとよばれる人間の免疫力を奪うウイルスに感染した結果、AIDS、後天性免疫不全症候群を発症する、ということになります。
このHIVウイルス、感染経路は特定されています。性交渉や母子感染、輸血によって感染することが判明しています。「HIV感染者数報告数の感染経路別年次推移」をみてみると、もっとも多い感染経路は同性間での性的接触となっており急増しています。では同性愛者だけの問題かといえばそうでもなく、異性間での性的接触もゆるやかに増加しています。
HIVウイルスは性的接触や輸血、母子感染する病気であり、空気感染することは有り得ません。患者と同じ部屋にいるから、また体に触れた、手を握った程度で簡単に感染することもありません。ところがHIVへの正しい知識がないと、患者を意図的に避けたり必要以上に警戒することになり、患者の心を深く傷つけます。
HIVウイルス自体は感染力がとても弱く日常的な接触では感染することはないのですが、HIVを必要以上に恐れる人たちにとっては患者への正しい対応ができないこともあります。HIV患者が老人ホームへの入居を希望する場合は、HIV患者の受け入れが可能な施設、また受け入れ実績があり介護や病気への知識・ノウハウが蓄積された介護施設を選びましょう。
みんなの介護では、HIV患者受け入れ可能な老人ホームが1,370件掲載されています。全体の掲載数が約7,000施設なので、全体の約2割の施設で受け入れが可能となっています。実際に入居を希望されるときは、あらかじめ事前によく相談しておくことが重要ですね。
ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)とは?
ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)とは、前項でも触れましたがこの病気はHIVウイルスに感染することによって発症します。感染経路は同性間・異性間での性交渉や母子感染、輸血、注射器のまわし打ちとなっていますが、感染経路が不明な場合も。HIVは血液や母乳、膣分泌液、精液に多く存在するため、感染をできるだけ防止するにはこれらのものを直接触らないこと、体内に入れないことが重要です。その他、唾液や尿などには、他人を感染させるだけのHIVウイルスは存在しないと言われています。
現在、国内では輸血で提供された血液はすべてHIV検査をおこなっており、厳しくチェックされています。以前のように輸血でHIVに感染する危険性は少なくなっています。母子感染も妊娠中にHIV検査をおこなうことである程度防止できるようになりました。
HIVウイルスに感染すると、人間の体内にある免疫システムが大きく破壊されます。外部から体内に入ってくるウイルスや細菌、カビなどの異物に対して、私たちは無力ではありません。体のなかにあるリンパ球やマクロファージ、好中球、樹状細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞などが異物を攻撃。病原菌を食べて消化、または攻撃して消滅させます。この免疫システムのおかげで、私たちは健康をたもつことができるのです。
ところがHIVウイルスは免疫システムを破壊するため、健康な人なら問題のない細菌やウイルスでも病気(カンジダ症・クリプトコッカス症・ニューモシスチス肺炎など)にかかりやすくなります。下痢や体重減少、ひどい寝汗などの症状もでます。現在の医学ではHIVを根本から治療する薬は開発されていないことから、予防が最善の方法といえます。
ではHIVに感染すると、一体どのような症状がみられるのでしょうか?感染初期には、発熱やのどの痛み、関節痛などインフルエンザ様の症状がみられることがあります。感染初期は体内でHIVウイルスがどんどん増殖しています。その後、数年から10年程度のあいだは無症状、なにも症状がでない期間がつづきます。ところが症状が出ないからといって、決して病気が完治したわけではありません。体内ではゆっくりとHIVウイルスが増殖し、免疫機能をむしばんでいきます。この無症状期間はまだAIDS(後天性免疫不全症候群)を発症しているわけではありません。早めに治療をおこない、無症状期間をできるだけ引き延ばすことが重要です。
HIVの根本治療薬は開発されていませんが、無症状期間内に抗HIV薬を使用することにより体内でのHIVウイルスの増殖をできるだけ抑え、普段と変わらない日常生活をおくることができます。一度AIDSを発症すると予後が悪くなります。早め早めの受診・治療をおこなうことが重要なのです。
HIVは早期発見・早期治療が大切ですが、ではHIVへの感染がうたがわれたときに、すぐに検査を受けるべきでしょうか?じつはHIV検査は、感染してすぐにおこなっても正しい結果がでるとは限りません。感染後、通常は4週間後からHIV抗体を検知することができますが、なかには8週間経過しないと正確な結果がでないことも。そのため一度陰性という結果がでても、3週間ほど間をあけてもう一度検査をする方がより正確であると言われています。
HIV検査は保健所や医療機関でも可能ですが、最近は検査キットをおくることによりHIV検査ができる「郵送検査」が支持されています。匿名で検査を受けることができ、結果はネット上でチェックが可能です。できるだけ人に会わずに検査をうけたいときは、郵送検査を受けると良いでしょう。もし検査の結果が陽性だった場合、AIDSを発症する前の段階で治療を受けることを心がけてください。
HIV感染者の老人ホームの受け入れ体制・対応は?
HIV患者の受け入れが可能な老人ホームであれば、受け入れ実績があるため介護・看護のノウハウの蓄積、入所者に対する適切な対応ができます。安心して入所できます。もちろん施設職員は万一のことを考え、ワンケア・ワングローブや手指の消毒など、徹底した衛生管理をおこないます。HIVウィルス自体は感染力のとても弱いものですので、むやみやたらに恐れることはありません。
ところが職員に十分な知識がないと、空気感染するものと勘違いし、入所者をわざと避けたり接触しないように注意するかもしれません。入所者にとってはとても傷つく行動です。嫌な気持ちにならないよう、できるだけHIV感染者の受け入れ可能な施設を選ぶことが必要です。
もしも入所を希望しても拒否された場合、HIVに対する正しい認識を老人ホーム側にもってもらうことも必要です。HIVは空気感染しない、患者の体にさわった程度では感染しないことなどを理解してもらわなければなりません。大変残念ながら、HIVという病気は必要以上に怖がられる面があります。それはすべて正確な情報を知らない、職員の勉強不足であることから起きているようです。医師の診断書を提出し、HIVが怖い病気ではないことを老人ホーム側に伝える努力が必要かもしれません。また、老人ホームの職員側も、つねに病気に対する正しい知識を勉強する、という向上心が必要かもしれませんね。
身元保証人なしでも入れる施設特集

核家族化が進む現代では、「一人暮らしで身寄りがいない」「家族はいるが頼むことができない」といった問題を抱えている高齢者の方も多数。一方で老人ホームでは、ほとんどの施設で身元保証人や身元引受人を必要とする場合が多く「身元保証人がいないと老人ホームへの入居はできない」と考えている方も少なくないのではないでしょうか?
確かに、基本的に老人ホームへの入居には身元保証人が必要ですが、ここでご紹介するのは、それが必要ない施設ばかり。入居後のサポートや身柄の引き受けなどさまざまなサービスがあるのでご安心くださいね。
身元保証に関してのサービスも充実!

「介護施設に入りたいけれど、身元保証人がいないから…」と悩んでいる人もいるでしょう。しかし、今は身元保証人の代わりとなるシステムが確立されていますので、地域包括支援センターや社会福祉協議会で相談してみると良いでしょう。
老人ホームによっては成年後見制度などに基づき、法定代理人を定めることを入居条件にしています。法定代理人とは、認知症などで判断能力が低下した人の代わりに、代理人が月額利用料の支払いや、通帳などの財産管理を行うシステムです。
判断能力がある人も「月額利用料の支払いなどが理解しづらくて辛い」といった場合、任意後見人を定められます。このような後見人は、身上監護(依頼人が幸せに暮らせているかどうか状況を把握する業務)や、福祉サービスの手続きサポートなども行うため、入居後も依頼人は安心して暮らせます。
依頼人の連絡窓口にもなるので、施設で何かあったときも後見人に連絡が行くシステムです。老人ホームが、「身元保証人がいない場合は後見人を付けること」を条件としているのはこのようなサポートがあるからです。
後見人に必要な報酬はどのくらい?
成年後見制度を利用する方法
成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申し立てることになります。地域包括支援センターや社会福祉協議会などが相談窓口となっており、申し立てのサポートをしてくれますので、まずはこれらの機関に相談をしてみると良いでしょう。
ちなみに身元保証人は一般市民や一般社団法人、NPO法人などさまざまですが、自分で選ぶのではなく、社会福祉協議会などが選定するので安心です。最近は身元保証会社も出てきており、身元保証人がいない人のために、保証代行を行っています。しかも身元保証にオプションとして、生活支援サービスや死後の事務支援サービスが付けられるので便利です。
後見人に必要な報酬はどのくらい?
後見人を頼む際に老人ホームに入居後のことや、亡くなった後のことなども取り決めますので、危篤状態などの緊急時にも本人の意向が尊重されます。認知症などで判断能力が低下した際も安心です。
しかし、「後見人って高いんじゃないの?」と心配する人もいるでしょう。確かに、後見人に金銭管理などの代行サービスを頼むと料金が発生します。サービスにもよりますが毎月数千円といった程度で、そこまで高額ではありません。
後見人は身元の保証はできませんが、老人ホームの月額利用料の支払い代行などをしてもらえるので、老人ホーム側としても安心。金銭のことでトラブルを起こさずにすむため、老人ホームと信頼関係もしっかりと築けるでしょう。
後見人に必要な報酬はどのくらい?
身元保証会社にかかる費用
身元保証会社を利用する場合は、申し込むサービスの量によって金額が違います。生活支援や死後の手続きなど、代行サービスを沢山申し込んだ場合、生涯で支払う金額が数百万円になる場合も。
しかし、身元保証会社は少々費用がかかる場合もありますが、身元保証をしてもらえるので頼もしい存在です。「30年間生きた場合で、どれくらい支払うのか?」といった長期利用の計算をしておきましょう。
身元保証会社の選び方
身元保証会社に身元保証を頼んでおけば安心ですが、「どの会社が良いのかわからない」という人も多いと思います。こういった契約は内容が難しく、支払う料金も預託金や月額利用料などさまざまです。
一人での契約は少々厳しいかもしれませんので、家族などに同行を頼み、一緒に契約内容を理解してもらいましょう。こういったサービスの申し込みに関しても、地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談可能です。
ちなみに預託金は一般的に依頼した本人の葬儀代などに使いますが、予め「預託金などは何に使うのか?」といった詳細をしっかりと聞いておくと良いでしょう。
後見人と身元保証会社の違いは?
成年後見人と身元保証会社の違いは、成年後見人は依頼主の身元保証人にはなれませんが、身元保証会社は身元保証が行えることです。成年後見人は公的な立場なので、料金も法外になることはありません。一方、身元保証会社は一般会社なので、料金は会社によって違いますし、サービスによっては少々料金が高くなるでしょう。
しかし、こういった制度を利用すれば、身元保証人がいなくても老人ホームに入居できます。ちなみに老人ホームによって身元保証に関するルールが違います。見学時などに確認しておくと安心です。