機械浴・特殊浴のある施設特集
介護施設では座ったまま、寝たままでも入浴が可能な機械浴・特殊浴が一般的に

例えば病気の後遺症などで体にマヒがあったり、また寝たきりだったりする場合、介護の現場で大変になるのが入浴です。そこで、介護者の負担を軽減するために導入されているのが、機械浴や特殊浴と呼ばれる、介護に特化した浴室。10年以上前から、ストレッチャーに乗せることで寝たままでも入れる機械浴はありましたが、昨今ではシャワーキャリーに乗ったまま入れる座位式の特殊浴もあり、介護現場における入浴事情は飛躍的に向上しています。ここでは、そうした設備の整った施設をご紹介していきます。
一人で入浴できない高齢者にも安心の特殊浴
老人ホームのホームページやパンフレットには入浴設備の紹介欄があります。そこには「機械浴」「特殊浴」「ストレッチャー浴」「リフト浴」など、さまざまな種類の浴槽が存在しており、あまりにも名称が多いため頭のなかが混乱してしまいます。一体どのように理解すればよいのでしょうか。
「チェアー浴」も「ストレッチャー浴」「リフト浴」も基本的にはすべて「特殊浴」(または機械浴)に分類されます。「この老人ホームには特殊欲が設置されています」という表現が正しいのですが「特殊浴」と言われても利用者はパッとイメージできないことが多いため「座ったまま入浴できるチェアー浴があります」「寝たまま入浴できるストレッチャー浴完備です」と具体的な説明をするために、特殊浴に対してさまざまな呼び方をするようになりました。これが混乱のもとだったのです。けれど特殊浴にはいくつかのタイプがあるのも事実です。
特殊浴(機械浴)には大きく分けて2つのタイプがあります。まずは「座ったまま入浴できる特殊浴」です。座ったまま入浴できる特殊浴にも2つの種類があります。ひとつは「チェアー・イン・バス」。まず利用者を専用の搬送車(チェアー)にのせ、浴槽にある開閉式の扉をあけて浴槽へ移動、そのうえで搬送車を固定します。浴槽の扉を閉めてお湯をはりお風呂を楽しんでもらうタイプのものです。ジェット噴流により、マッサージ効果が期待できるタイプもあります。最近はコンパクトサイズの商品もあり、浴室が狭くても設置できることも。
つぎは「リフト付シャワーキャリー(リフト付き介護浴槽)」です。利用者がリフトに取りつけられた座部(チェアー)に座るとリフトが一定の高さまで上昇、利用者はチェアーに座ったまま旋回して浴槽をまたぎます(縁超え)。利用者の座ったチェアーはその後ゆっくりとお湯をはった浴槽へと下降。利用者が入浴しやすい高さに、しっかりと固定することができます。チェアーを吊り上げたりおろしたりすることで、楽に入浴介助ができるようになっています。
特殊浴にはもうひとつ「寝たまま入浴できる」タイプのものも。まず利用者はストレッチャー(担架)に横になります。そのままストレッチャーが浴槽へとスライドし、浴槽が上昇することで入浴できるタイプ、さらにストレッチャーが下降することで入浴できるタイプもあります。最近はユニットケアの普及で、よりコンパクトで設置しやすい特殊浴が人気となっています。
特殊浴・機械浴のある老人ホーム、そのメリット&デメリットとは?
特殊浴(機械浴)にはいくつかメリット、デメリットがあります。まずはメリットからみてみましょう。
寝たきりの重介護者の場合、特殊浴が登場するまでは介護職員が利用者を浴槽まで移動させ、抱きかかえて入浴させていました。力のいる作業なので、介護職員の負担はとても重いものだったことは想像に難くありません。昭和39年当時、入浴介護浴槽は存在しましたが外国製で浴槽も浅く、シャワーですませるものばかり。
日本人は「肩までお湯に浸かりたい」と希望している方も多く、その願いを叶えるために日本製の特殊浴の開発が始まりました。開発は約1年という迅速なスピードで終了し、昭和40年に国内初の入浴介護浴槽が誕生。その後さまざまなメーカーから特殊浴槽が発売され、なんども改良をかさねて今日に至っています。
特殊浴槽のメリットは、利用者がゆったりと温かいお湯につかってリラックスできることでしょう。シャワー浴は体を清潔にすることはできても、温熱効果や水圧効果などお風呂に入ることで得られる健康効果はあまり期待できません。冷え症や血行不良の高齢者が温かいお湯に体をひたせば、温熱効果で血管が拡張し血行が促進され、新陳代謝も高まります。
介護職員の負担軽減も特殊浴槽の大きなメリットです。特殊浴槽登場前は、介護職員の力で利用者をお風呂に入れていました。筋力や体力のある男性職員でなければなかなかできないことです。ところが今はボタン一つで自動的に利用者をお風呂に入れることができ、女性職員数名でも十分対応できるようになっています。
良いことづくめのように思える特殊浴ですが、デメリットもあります。
機械によって自動的に利用者をお風呂にいれるため、人によっては恐怖感を覚えることも。リフトが上下に動く、旋回する、浴槽が上下に動くなど、通常のお風呂とは違う動きで不安になりやすくなります。とくにリフトは吊りあげられますので「途中でリフトが落ちたらどうしよう」とハラハラして気持ちも落ちつきません。バブルジェット機能が搭載されたお風呂は気持ちが良い反面、ジェット水流が発生するときの大きな音を怖がる方もいます。機械浴に慣れていない利用者に対しては職員がまめに声かけをして、不安にならないように配慮する必要があります。
ストレッチャー横になったまま入浴する場合は、利用者にとっては恥ずかしいものです。移動の際には毛布やタオルをかける、また入浴中もできるだけ本人の羞恥心をあおらないよう注意しなければなりません。
老人ホーム選び、お風呂のチェックポイントを伝授!
老人ホームでのお風呂選びには、どのような点を重視すればいいのでしょうか。まず見学する時間ですが、できるだけお昼に行くのが望ましいと言われています。お風呂は午前中に使用されることもありますし、午後や夕方は入所者の入浴のためにフル稼働しています。ところがお昼の時間帯は利用者が全員食堂にあつまって昼食をとっていますので、お風呂を利用していることはほとんどありません。利用者のいない浴室や脱衣所であれば、かなり自由に見学できます。お風呂をチェックしたいなら、見学する時間帯を選びましょう。
老人ホームのお風呂をチェックするときは、まずは脱衣所から。冬場はヒートショック軽減のためにファンヒーターやエアコンで脱衣所を温めますが、もしも脱衣所にエアコンや扇風機などが一切設置されていない場合、脱衣所の温度管理はどのようになされているのか職員にきいて確認しておきましょう。ヒートショックへの対策がなされていない老人ホームでは、管理体制に疑問が生じます。
さらに脱衣所の床もチェックし、水にぬれて滑らないかどうかを確認しましょう。浴室と脱衣所との間に段差がある、脱衣所や浴室に手すりがないなど、安全を確保できない老人ホームであればほかの設備にも不備がある可能性大です。
浴室は湿気がとても多い場所なので、掃除をしないとすぐにカビが生えます。不潔にならないよう、入居者の入浴が終わったあとは換気をして掃除を行います。掃除がきちんと行き届いていない老人ホームは、壁にカビが生えている可能性があります。天井に映えたカビからは胞子が降ってくるため、衛生面からも良くありません。排水溝に髪の毛がからまっている(排水状態が良くない)老人ホームは、衛生管理や掃除が徹底していない可能性が高く要注意です。
入浴施設の掃除にはそれなりの手間と時間がかかりますが、そこまで人手が回せない施設は「ギリギリの職員数で運営している」可能性があります。職員の定着率が悪い職場は、職場環境が劣悪であったり人間関係がギスギスしていることも。職員が定着しない質の悪い老人ホームでは、入所しても先が心配です。入浴施設の掃除が行き届いていない老人ホームに対して、即入居を決めるのは避けましょう。
即入居可・空室有りの施設特集
入居をお急ぎの方はこちらです!

世の中にはこれだけ数多くの介護施設があっても、理想の施設を見つけるのが難しいだけでなく、そもそも空き室があるかどうかという問題もあります。一方で、「退院が迫っている」「急に認知症が進行した」といった理由から、すぐにでも施設に入居したいと考えている方も多いでしょう。施設選びのポイントは、「即入居可・空き室あり」だからといって決して焦らないこと。そのアピールにすぐに飛びつくのではなく、あくまでじっくりと検討して、その上で理想の施設に空き室があれば、その時点で即入居…という流れがベストと言えるでしょう。
「みんなの介護」には最新の空室情報が載っています!
退院や急な家族の事情などで急いで施設入居を考えている場合、すぐに入居できる空室のある施設を見つけることが入居の近道です。
空室があれば契約もスムーズ、空きを待つ時間が短縮できるので、入居を急いでいる方にとっては空室の有無はとても大切なチェックポイントとなります。
最新の空室状況などが随時更新される「みんなの介護」では、すぐに入居したいという方が空室のある施設の中から希望する入居条件や入居費用を絞り込み、見つけることができます。
お部屋の様子など、写真を見ながら候補を絞り、問い合わせをすれば入居したい施設探しも簡単です。検索の際には新着・更新順に並び変えることで、最新の空室状況がわかりますので、確実といえるでしょう。
即入居をご希望の場合は、入居時の負担が小さいサービス付き高齢者向け住宅や住宅型・介護付き有料老人ホームがオススメ。こうした施設は、入居時費用が0円もしくは敷金のみの施設も多くありますので、金銭的負担も少なく安心です。
特養の待機中に一時的に入居というのもひとつの手
費用も比較的安く入居できる特別養護老人ホームは、高齢化に伴う需要の増加によってすぐには入れない「待機が必要な施設」となっています。
2015年度の介護保険制度改正により、特養への入居には要介護度3以上という入居条件が加えられたものの、依然として都市部を中心に入居までの期間、不安な時間を過ごしている入居希望者が多いのが現状です。厚生労働省が発表している報告では、2014年3月時点での特別養護老人ホーム待機者人数はおよそ52万人。政府が介護離職防止のために特別養護老人ホームの整備に向けて動きを進めているとはいえ、慢性的な人材不足によりベッドの空きはあっても、ケアをする人がいないという理由から入居者を受け入れられない施設も増えています。
特別養護老人ホームに入居するには、まず「診断情報提供書」や「健康診断書」などの書類とともに待機者として登録をすることが必要です。その後、施設や地域、申し込まれる方の状況によりけりですが数ヶ月から半年、場合によっては1年以上の待機期間があることもしばしば。
入居にあたっては申し込み順ではなく、入居希望者の介護度や認知症の症状、家族の介護負担、居住環境などを総合的に判断して、必要があると判断された人から入居します。2015年度の改正により「とりあえず特養に申し込みをする」という人が減っていることが期待はできますが、いつ入れるかはっきりとわからない特養入居までの待機期間は不安なもの。特養待機中の家族の介護負担や生活環境を改善するためにも、登録後一時的に民間の有料老人ホームなどに入居することも考えておくといいでしょう。
最近では、特養待機者のニーズに応える形で、負担が少なく短期入居ができる施設であれば入居までの期間安心して生活することができます。有料老人ホーム以外では、訪問介護を利用する形で介護ケアが受けられるサービス付き高齢者向け住宅も選択肢の一つ。賃貸借契約により一般のアパートのように入居することができますので、介護ケアが受けられるのであれば短期入居や期間限定の入居として考えてもいい選択肢です。
探し方のポイントとしては「入居時費用が安いこと」「年金受給と少しの負担で入居できる有料老人ホームを探すこと」。特養の待機期間中の過ごし方として、介護を必要とするご本人と、家族にとって一番いい方法を考える際には、ぜひ有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などへの入居も視野に入れてみましょう。
空室があっても入居までの期間は2週間くらいが一般的!?
急いで入居先を探している方にとって、気になるのが老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居までに最短でどのくらいかかるか、という問題です。
施設に空室があり、介護度や保証人など審査に問題がなくスムーズに入居まで進んだとしても、入居するまでの期間は一般的に2週間程度かかります。空室がない場合には、空きが出るまでの期間を待たなければいけませんから、更に時間がかかってしまうのは、想像がつくことですよね。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居するまでの大まかな流れは次の通り。
- 1.問い合わせ
- 2.見学・相談
- 3.入居申し込み
- 4.必要書類提出
- 5.面談
- 6.審査
- 7.体験入居
- 8.正式に契約・入居
書類などを準備し、スムーズに入居までたどり着けたとしても、どうしても2週間はかかってしまいます。また、失敗しない施設選びをしたい場合には、体験入居や見学、直接担当者と顔を合わせての相談などは必須です。
例えば見学をする際には、見学時間によって把握できる施設の様子はさまざま。お昼どきなら食事風景を見られますし、昼過ぎならレクリエーションの様子をチェックすることができる可能性もあります。皆さんの中で重視したいポイントに合わせて見学時間を考え、気になる場合には何度か足を運ぶことで納得のいく施設選びができるのです。
また、入居申し込みをした後に提出する書類には、「健康診断書」や「診断情報提供書」が必要です。これらは、病院に予約して健康診断を受けたり、主治医に記入を依頼する必要がありますので、準備にはそれなりの時間がかかります。場合によっては施設側で急ぎの人の対応として、施設のかかりつけ医が担当してくれることもありますので、すぐに入居したい場合には、その旨を伝えるといいでしょう。
入居してから「イメージと違った…」「こんなはずではなかった…」と思うようなことにならないようにするためには、最後に契約数前にできれば体験入居をしたいところ。体験入居は、見学だけではわからない施設の様子を体験できますし、入居されるご本人とあっている施設かどうか、職員の対応はどうか、などをチェックすることができます。
こうした流れを経て無事に入居に至るわけですから、最短でも2週間程度必要なことがわかるのではないでしょうか。空室があったとしても入居までにかかる期間は一般的に2週間程度ということを頭に入れて、入居までのスケジュールを考えましょう。
入居手続きの流れの基本は7つのステップ
空室のある施設を見つけ、実際に入居手続きを始めるにあたって、必要な手順は次の7ステップとなります。
資料請求・問い合わせ | サイトから気になる施設を見つけたら、気軽に資料請求してみましょう。 みんなの介護からは、見学予約もできますので、お急ぎの方は見学も予約し、実際にご自身の目で確かめてみましょう。 |
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見学・相談 | こだわり条件や、立地などを加味してきになる施設を見つけたら、見学や実際に施設担当者へ相談をします。 見学予約は早めの予約がオススメです。施設見学はスケジュールを調整するのに時間がかかる場合もありますので、余裕を持って申し込むようにしましょう。 |
面談 | 見学、体験入居などを経て契約に進む場合には、施設担当者などとの面談が行われます。 面談は普段の生活の様子や介護度、ケアの方針などを決定する大切なステップです。直接施設に本人が行くことが難しい場合には、病院や自宅まで担当者が足を運んでくれることとなります。 |
必要書類提出 | 施設に入居する場合、「健康診断書」などの書類提出が必要です。健康診断書の取得には2週間以上時間がかかることもありますので、準備は早めに進めておきましょう。 |
審査 | 保証人や介護度などをもとに、面談の内容を受けた審査が行われます。身体状況や金銭面の確約などについてが主に検討されます。 身元保証人の精査についてはこの段階で行われることとなります。身元保証人がいない方は、民間の保証会社などを利用することも可能です。 |
体験入居 | 見学の結果、入居を前向きに検討する場合には、できる限り体験入居をすることがオススメです。 見学ではわからなかったスタッフのサービす対応や施設の様子、ご入居される方に雰囲気があっているかなどを実際に確かめられます。 また、空室がないと体験入居が難しい場合もありますので、空室の有無などもチェックしておくといいでしょう。 |
契約・ご入居 | 体験入居や書類提出、審査などを経て、無事に入居先の施設が決まったら、正式に契約を結びます。 契約にあたっては、しっかりと重要事項説明書に目を通し、サービス内容や支払い内容の内訳などをチェックしましょう。 |
書類などを準備する時間、体験入居や見学日の調整などを考えると最短でも2~3週間はかかる資料請求から入居までの期間。スムーズに入居をするためにも、大まかに入居までの流れを頭に入れておきましょう。
ここまで見てきたように、入居先候補を見つけてから実際に入居するまでには意外とたくさんのことをしなければいけません。
最短でも2週間から3週間、一般的に1ヶ月~2ヶ月はかかります。空室がない場合には、さらに時間がかかることが考えられますので、早めに準備を進めることがスムーズな入居のポイントでう。