キッチン付き居室がある施設特集
自立したライフスタイルを重視するならキッチン付き居室が便利

まだまだ自力で生活はできるけれど一人での暮らしに不安がある方や、趣味の料理を楽しみたい方にとって、入居先のお部屋にキッチンがついているかどうかは大切なポイントです。居室内にキッチンがあれば自炊や趣味の料理、ちょっとしたおやつやお茶の時間なども楽しめます。最近のキッチン付き居室では電気コンロなどを採用し防災にも配慮しているところがほとんど。入居後も自立したライフスタイルを送りたい方にピッタリの、キッチン付居室のある施設をご紹介します。
居室にキッチンあり!自炊も可能な老人ホームとは?
老人ホームに入居すると、食事は施設内で調理されたものが温かいまま、すぐに提供されたり、外部に委託された業者が納入します。基本的に施設に入所すると、入所者自身が朝晩の食事を準備する必要はありません。入所者にとっては「3食準備しなくていいから楽」という意見がある一方、「体が動くうちは、自分で食事の準備をしたい」という意見があるのも事実です。料理はメニュー作成から食材の購入、下ごしらえ、調理、盛り付けとさまざまな工程があり、その過程をこなすことが生活リハビリにもなります。老人ホームが用意したメニューではなく、自分の好きなものが食べたいと考える方もいます。そのような方におすすめなのが「キッチン付き居室」。
居室にキッチンがついていれば、いつでも好きなときに料理ができます。キッチン付の居室の場合、どの施設でも火をつかわないIHクッキングヒーターが採用されています。また大型冷蔵庫が置けるスペースもしっかり確保されているので、食材を居室内に保存しておくのも便利です。リビングに共有の冷蔵庫を設置している老人ホームもありますが、共有の冷蔵庫はなにかと不便。自分の買ってきた食品にいちいち名前を書かなければなりません。ほかの利用者に持っていかれるリスクも。自分専用の冷蔵庫を自由に使えるなら、スーパーで購入した食材をさっと保存可能です。
キッチン付き居室を望むのであれば。軽費老人ホームのB型を探しましょう。経費老人ホームB型は、家庭環境や住環境などにより自宅での生活が困難になった高齢者用の施設です。この経費老人ホームB型の場合自炊ができる方が入居の対象になっていますので、キッチンがついた居室が標準となっています。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は自立している方、また比較的介護度の低い方が入居されていることが多く、キッチン付きの居室が多くなっています。サービス付き高齢者向け住宅の場合、どれくらいの割合でキッチンが設置されているか調査したデータがありますので、ご覧ください。キッチンが設置されているのは全体の52.4%、キッチンなしの居室は47.6%で、キッチン付きの居室の方がやや多くなっています。
あり(52.4%) | |
なし(47.6%) |
サービス付き高齢者向け住宅のキッチンはIHクッキングヒーターが採用されており、ミニキッチンが多く採用されています。家庭用の本格的なキッチンよりも小さめですが、簡単な調理やお湯を沸かすことは十分可能です。体が動くうちは自分で食事を作りたいと希望される方は、キッチン付き居室を選ぶといいですね。
もちろんキッチンの付いた居室に住んだからといって「必ず自炊しなければならない」という決まりはありません。希望すれば1日3食の食事が提供されます。「選択の幅が広がる」という柔軟な発想で、キッチン付き居室を選ぶことです。
みんなの介護で紹介されている老人ホームの数は9,000施設を超えていますが、そのうちキッチン付き居室は約1,673か所。キッチン付きの老人ホームを探すなら、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームを重点的に探すと良いでしょう。
特別養護老人ホームにはキッチンはない!?キッチン付き居室ならやはり民間の老人ホーム
キッチン付きの居室を希望する場合、特養老人ホームではそれが実現するのでしょうか?特養老人ホームの場合、入居希望者がとても多いため、現在、要介護3以上の高齢者でなければ受け入れができない状態です。要介護3では、自炊ができるような状態ではありません。もしキッチンの付いた居室があったとしても利用することができないでしょう。また特養老人ホームの場合、居室内にキッチンは設置されていません。キッチン付きの居室に住みたいのであれば、迷わず民間の老人ホームを選びましょう。
こちらの資料(有料老人ホームの特徴)をご覧ください。有料老人ホームでも「元気な方向け」の施設と「要介護の方向け」の施設では特徴が違います。元気な方向けの居室にはトイレやミニキッチン、お風呂などの設備がついているケースが多くなっています。逆に要介護の方向けの老人ホームでは、居室にお風呂やミニキッチンは設置されておらず、トイレと洗面台、それからベッドとシンプルで介護しやすい室内になっています。
元気な方向けのホームの特徴 | 要介護の方向けのホームの特徴 | |
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ホームの規模 | 50室以上の比較的大規模なところが多い | 50室未満の小規模なところが多い |
居室設備 | 居室にトイレやお風呂、ミニキッチン等がついたマンションのような造りの居室が多い。居室環境重視。 | 居室にトイレ、洗面台等がつき、ベッドを1台配置できる位のスペースのワンルーム形式の部屋が多い。介護しやすい居室。 |
共用施設 | 食堂、大浴場、ラウンジ、図書室、トレーニングルーム等 | 食堂、浴室、リハビリスペース等 |
アクティビティのメニュ一例 | 音楽コンサート、バスツアー、ビリヤード、ダーツ、マージャン、卓球、書道、絵画、ダンス、介護予防体操等 | ドライブ、散歩、リハビリ体操、映画鑑賞、カラオケ、園芸、音楽療法等 |
入居時の年齢 | 入居時の年齢 ご自分で選択して入居する方が多く、75歳前後が多い傾向にある。 | ご家族が選択する場合が多い。 ご本人は要介護認定を受けており、80歳を超えての入居が多い傾向にある。 |
居室の住み替え | 居室の住み替え 介護サービスが必要になったら、介護の方向けの居室に住み替えるホームもある。 | 基本的には、入居時の居室で介護サービスを受けるが、要介護の状態により、居室を住み替えることもある。 |
民間の老人ホームのなかでも、住宅型有料老人ホームは自立した高齢者を受けいれており、キッチン付き居室が多い傾向です。要介護状態になっても、外部サービスを利用することで施設に住み続けることは可能です。自立しているあいだ、介護度がそれほど高くないうちは自炊をしたいという方は住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を選ぶと良いでしょう。
住宅型有料老人ホームの場合は居室内にキッチンが設置された老人ホームがあるほか、共用施設としてカラオケの設備や麻雀卓、アトリエ、図書室、庭園(園芸可能)、機能訓練室、理美容室、ゲストルーム、売店などの設備が設置されていることも。自立した高齢者が多いということで、必要な設備がかなり充実しています。特養老人ホームとはこの点(施設の充実度)が違います。
ただし施設が豪華で充実しているほど、月額利用料金や入居一時金が高額になります。入居時には費用について十分に検討しましょう。キッチン付き居室になると費用が割高になる可能性があります。
高齢者には認知症予防としても料理が効果的!
認知症高齢者にはさまざまな「療法」があります。畑や庭で作物をつくる、土をいじることが脳を活性化するということで園芸療法がおこなわれている老人ホームもありますし、歌をうたうことで口腔ケアと認知症予防、進行防止になるということで「音楽療法」をおこなう施設も。認知症の方向けの両方は数え上げればキリがありませんが、そのなかでも「料理療法」というものがあることをご存じでしょうか?
料理をすることは生活リハビリとなり、認知症の方の脳を活性化させて認知症にともなう症状を緩和させる、進行をゆるやかにする効果があります。料理はとくに女性にとって日常的におこなうものであり、馴染みのある動作です。火を使うことから「危険だ」という理由で料理をさせないと、生活のハリが失われてしまいます。
料理をつくることは、そう単純な作業ではありません。メニューを考えて必要な食材を購入し、野菜の皮をむく、お肉食べやすい大きさに切る、魚をおろす、下味をつけるなどの手順を経て鍋やフライパンでの調理、味付け、盛り付けとその工程は複雑です。これらの工程を頭のなかで順番に考えながらスムーズにこなすためには、脳をフルに使わければなりません。調理は頭で考えるだけではなく、実際に手を動かすもの。指先の感覚に対する適度な刺激は、無意識のうちに脳を活性化させます。
出来あがった料理を家族と一緒に食べ「美味しい」と言ってもらえると、やはり料理をつくった者としては嬉しいものです。認知症になったからと言って料理をさせないのではなく、できるだけ家族や介護職員が見守りをするなかで、できる作業をしてもらうのが理想です。
グループホームと呼ばれる認知症高齢者向けの施設では、入所者にできる範囲で料理の手伝いをしてもらうそうです。「このお味噌汁は私がつくりました」「この煮物の野菜は、私が下ごしらえしました」与えられた役割をきちんと果たすことで、認知症によって失った自信を回復させることができます。
料理は脳を活性化させ、認知症予防になります。自立している方や認知症を発症していない方も、積極的に料理をつくることが「認知症予防」につながります。キッチン付き居室は、認知症予防のための料理療法が実践できる場です。十分に活用しましょう。