夜間有人の施設特集
夜間有人の介護施設を選んで緊急時や24時間介護に備えよう

数多くある介護施設の中でも、夜間でもスタッフがいる「夜間有人」であることは、必ずしも法で定められた人員基準ではありません。けれど、介護や緊急時の対応など、夜間でも人がいてくれることは、住まう側にとってはとても大切な安心材料。痰の吸引や、オムツ交換などのトイレ介助に加えて24時間定期的に巡回をして入居者を見守ってくれる場合も多く、24時間介護が必要な方にとっては最低限必要な条件とも言えます。認知症や夜間でも介護が必要な方、健康に不安のある方は夜間有人かどうかが施設選びにおいてとても大切なチェックポイントです。
緊急時や24時間介護に備えた施設選びを
これから老人ホームへの入居を考えている方は、入居一時金や月額利用料などの費用や建物の新しさ、立地以外にも「夜間の職員数」「夜間の介護ケア体制」まで考えた入居先選びをしましょう。
最近は夜間、介護職員が常駐する老人ホームも増えてきましたが、実はサ高住や住宅型有料老人ホームでは、夜間に職員が施設に常駐し入居者への対応をすることが義務付けられていません。そのため夜間の緊急時対応はすべて、警備会社に委託している老人ホームもあります。
このような状態は違法ではないのですが、老人ホームに職員が一人もいない状況で果たして安心して生活することができるでしょうか。入居者によっては夜トイレに行きたいとき、体を起こすことができずに我慢せざるを得ないかもしれません。介護職員によるトイレ介助が受けられない場合は、おむつを利用するしかありません。おむつ交換なども介護職員がいればお願いできますが、警備会社の警備員ではおむつの取り換えはできません。介護職員だからこそできるサービスや対応があります。夜間にそれができない状態に置かれるということは、かなり心細いことです。

最近は夜間に地震も頻発していますし、場所や天候によっては洪水や津波などの被害に遭う可能性があります。切迫した状況にあったとき警備会社の警備員を呼び対応してもらうことになりますが、果たして間に合うでしょうか。老人ホームにつねに介護職員が常駐していることには、大きな安心感があります。入居先を選ぶときには「夜間有人であるかどうか」をきちんと確認すると良いでしょう。
夜間の人員配置については、契約前に口頭で説明される「重要事項説明書」をチェックすることです。「夜勤を行う看護・介護職員の人数」について明記されていますので、夜勤スタッフの有無や人数をここで確認できます。もしもわからないことや疑問点があれば、契約前に納得できるまで聞きましょう。しっかり説明を受けることがトラブル回避になります。
住宅型有料老人ホームやサ高住における夜間対応の実態とは
ここでは住宅型有料老人ホームやサ高住での夜間対応についてみてみましょう。住宅型有料老人ホームやサ高住では、夜間、介護職員がどれくらいの割合で配置されているのでしょうか。サ高住では全体の81.6%が夜勤のみ、または夜勤と宿直の職員を配置しています。住宅型有料老人ホームでは、全体の97.9%の施設で夜勤のみ、または夜勤と宿直の職員を配置していました。
| 夜勤のみ(50.6%) | |
| 夜勤と宿直(10.7%) | |
| 宿直のみ(20.4%) | |
| なし(16.8%) | |
| 不明(1.6%) |
| 夜勤のみ(60.5%) | |
| 夜勤と宿直(17.4%) | |
| 宿直のみ(17.1%) | |
| なし(3.8%) | |
| 不明(1.3%) |
このデータをみるとサ高住や住宅型有料老人ホームでは、夜間、介護職員を配置するのが主流になっていることがわかります。とくに住宅型有料老人ホームでは、ほとんどの施設で介護職員が配置されています。夜間の緊急時に老人ホームに職員が誰もいない状況では、入居者側も安心して眠れません。利用者が積極的に夜間有人の老人ホームを選ぶ傾向が強まれば、サ高住の夜勤職員や宿直の割合も高くなっていくと予想されます。入居者にとっては喜ばしい変化です。
サ高住や住宅型老人ホームの夜間職員配置以外にも、日中はどのような職員が常駐しているのでしょうか。サ高住の場合は日中配置される職員数は1名がもっとも多く30.4%、つぎが3名の19.8%、そして2名の18.8%となります。サ高住ではケアの専門家が日中施設に常駐することになっていますが、どのような有資格者が安否確認や生活相談サービスを行っているのでしょうか。もっとも多いのがヘルパー2級以上となっており、ついで介護福祉士、ケアマネージャーとなっています。
住宅型有料老人ホームの場合は日中の職員配置は1名がもっとも多く24.3%となっており、つぎが10名の20.1%、そして2名の18.2%へと続きます。全体的に住宅型有料老人ホームの方が、サ高住よりも多めの人員配置になっています。住宅型有料老人ホームに配置されている有資格者はサ高住と同じでヘルパー2級以上、介護福祉士、ケアマネージャーとなっています。
老人ホームを運営する法人の違いで夜間の人員体制が異なる!?
サ高住や住宅型有料老人ホームでの夜間対応の実態をみてみましたが、じつはこの夜間対応、老人ホームを運営する法人が変わると人員体制が変わってくるのです。この実態を知れば、運営法人についてもしっかりチェックする必要があるとお気づきになるでしょう。
まずサ高住ですが、「不動産・建設業」が運営母体の場合、職員不在の割合が16.8%と高めになっていますが、夜勤職員の配置が58.7%ともっとも高くなっています。「医療法人」では職員が夜間常駐しない割合が12.8%と低めで、宿直のみの割合が28.4%と高めになっています。「社会福祉法人」も夜間職員不在の割合が11.1%かなり低く、宿直のみが34.9%ともっとも高くなっています。社会福祉法人は宿直職員を置くことで対応している例が多いようです。
注目してほしいのはNPO法人です。夜間職員が常駐していない割合が76.4%ともっとも高く、夜間人員配置されている老人ホームはわずか20%です。NPO法人が運営するサ高住の場合、夜間職員や宿直が配置されているのかどうか事前に確認しないと、入居後に「夜間は職員が不在です。なにかあったら警備会社の警備員を呼んでください」と言われる可能性が高くなります。要注意です。
住宅型有料老人ホームの場合は夜間に職員が常駐する割合が全体をみてもかなり高く、運営法人別のデータを見てもそれほど大きな差はありません。しいて言えば「不動産・建設業」と「社会福祉法人」が運営母体になっている住宅型有料老人ホームは、夜間職員を常駐させない割合が若干高くなっています。もし入居したい住宅型有料老人ホームの運営法人が「不動産・建設業」「社会福祉法人」であった場合は、夜間体制をしっかり確認する方が無難でしょう。
老人ホームの運営法人によって、夜間の人員体制に差があります。夜間有人の老人ホームに入居を希望するなら、運営母体まできちんと確認する方が良いようです。
日中から夜間、夜間から日中まで職員が行っている情報共有の方法
サ高住や住宅型有料老人ホームの職員は、一体どうやって情報共有を行っているのでしょうか。まずはサ高住の場合で確認してみましょう。「情報共有を行うためもミーティングの実施(申し送りのぞく)」と「申し送りの実施」は80%以上の施設で行われており、「連絡ノートやパソコンを使った情報共有システムの活用」は68.6%と、約7割のサ高住で情報共有システムが活用されています。
| 情報共有を行うためのミーティングの実施(申し送り除く)(82.9%) | |
| 連絡ノートやパソコンを使った情報共有システムの活用(68.6%) | |
| 申し送りの実施(82.2%) | |
| その他(0.6%) | |
| 実施していない(0.5%) | |
| 無回答(1.7%) |
住宅型有料老人ホームの場合、「情報共有を行うためもミーティングの実施(申し送りのぞく)」と「申し送りの実施」は約90%の施設で実施されており、「連絡ノートやパソコンを使った情報共有システムの活用」は71.6%と、こちらも7割程度の施設で情報共有システムが活用されています。
| 情報共有を行うためのミーティングの実施(申し送り除く)(90.5%) | |
| 連絡ノートやパソコンを使った情報共有システムの活用(71.6%) | |
| 申し送りの実施(86.5%) | |
| その他(2.2%) | |
| 実施していない(0.3%) | |
| 無回答(1.1%) |
調査の結果をみるとミーティングや申し送りはほとんどの施設で行われており、職員同士の情報共有や入居者の状況把握などに気を配っていることがわかります。パソコンを使った情報共有システムも活用されていることから、今後はさらにIT化がさらにすすむものと思われます。
ただ介護業界は紙を使った書類作成の歴史が深く根付いており、すべての書類を一気にIT化するのはむずかしい面もあります。IT化に抵抗のある職員も少なくないでしょう。それでも現状のままでは事務作業にかかる時間をカットすることができません。IT化により情報共有がしやすくなり、情報の処理も格段にスピードアップすれば事務処理や介護業務の効率化につながります。
介護職員の労働環境は必ずしも良いと言えない現状があるため、IT化によって素早い情報共有や注意喚起、勤務シフトの確認、業務連絡の一括化などが実現すれば職員の手間が省け、労働時間単色にも貢献するものと期待されています。
事務処理もIT化で一括して処理できれば経費の削減にもなり、浮いた経費を介護職員の給与へスライドさせることもできます。介護施設でのIT化は職員の給与アップをもたらす可能性があり、今後さらにIT化の流れが加速するものを思われます。
生活保護受給者でも入れる施設特集

生活保護を受けている人でも入居できる介護施設はあり、介護付有料老人ホームなども、最近は生活保護者を受け入れる所が増えてきした。
「入居できても利用料が払えないのでは?」と心配する人もいると思いますが、入居後も住宅扶助や生活扶助などの保護費が受けられるので、施設の月額利用料が保護費や年金収入内で収まれば、毎月の支払いも可能です。
さらに、自治体や介護施設によっては減額措置をとってくれる所もあります。そういった情報は生活保護担当のケースワーカーや地域包括支援センターのケアマネージャーが持っていることが多いので、入居の相談をしてみると良いでしょう。
費用負担の上限額はどのくらいか
費用の上限金額はその人の収入などによって違うため、一概には言えません。生活保護者が介護施設に入居する場合は、住宅扶助などの保護費と、年金収入で費用をまかないます。
毎月もらえる年金額も人によって違いますので、生活保護を受けている人は、市町村の生活保護担当者やケースワーカーなどに自分の費用上限額を計算してもらうと良いでしょう。
生活保護を受けている人は介護保険サービスの利用料が免除されますので、実際に負担する費用は安く抑えられることが多いようです。
年金受給額と老後の費用
年金の受給額は平均どのくらい?
定年退職後の年金受給額は、厚生年金や国民年金を納付した額によって決まります。2016年の厚生労働省の調査によると、大学卒業後すぐに就職してから60歳の退職まで厚生年金を納付し続けた人の場合、年金の平均受給額は、国民年金が毎月5万5,000円ほど、厚生年金が毎月14万5,000円ほど。すなわち毎月20万円ほど年金をもらえる計算です。
しかしこれは一般的な金額であり、もらえる年金は納付していた年数にもより、ずっと自営業を営んでいた人は国民年金のみの給付となります。さらに、障害年金をもらっている人は国民年金を受給できませんので、人によって毎月の年金受給額には差が発生します。区役所の年金課などに行けば概算をしてもらえますので、自分の受給額を教えてもらうと良いでしょう。
老後にはどのくらいのお金が必要か

総務省の資料によると、老後に必要なお金は退職前の生活費の7割ほどとなるようです。例えば月20万使っていた人は、退職後は14万円ほどで生活している人が多い、という統計が出ているのです。
すなわち、年収500万円もらっていた人が60歳で定年退職し、90歳まで生きた場合、500万円×0.7=350万円が1年間の費用となります。月に換算すると、毎月約29万2,000円。一概には言えませんが、毎月の年金額は20万円程度ですので、年金だけではやや現実的とは言えなさそうです。
年金と老人ホーム入居
価格が安い老人ホームは競争が激しい
一般的な有料老人ホームの月額利用料は6万円~20万円程度。厚生年金をしっかりと納付した人なら年金を20万円程度もらえますので、何とか支払える金額ですが、国民年金のみ受給している人は厳しいでしょう。
今の日本では、厚生年金をあまりもらえていない人、国民年金だけの人が多いという現状。さらに、もらえる額も徐々に下がっており、年金だけで老人ホームに入居するのは難しいのも事実です。そのため、ケアハウスのような低価格の施設の競争率がますます激しくなっています。
年金のみでの老人ホーム利用は可能?
年金だけでは厳しいといっても、退職後に年金以外の収入がある人はあまりいないでしょう。年金だけで老人ホームに入居するためには、ケアハウス(軽費老人ホーム)のような格安の施設を選ぶか、生活保護を利用します。生活保護が適用されると月額利用料の中の家賃や介護保険サービス代などが控除されますので、老人ホームでの生活も現実的となります。
一方で、おむつ代などの日用品の費用や、病気の際の病院代などは別途かかるため、年金の収入のみで老人ホームへの入居を考えている人は、しっかりと必要な費用額を計算した上で入居を考える必要がありそうです。
生活保護受給者が老人ホームを探すときに注意するポイント

生活保護の受給金額は、市区町村の家賃相場や物価、世帯人数や収入などによって変わるため、一人ひとり違います。そのため、あくまで一般的な話になりますが、一人暮らしの方の場合、家賃扶助と生活扶助を合わせると、月額は概ね8万2,000円~12万9,000円程度。
特に市町村によって生活保護の扶助額の上限が違いますので、お住まいの場所と違う市町村で老人ホームを探す場合は、上限などを確認しておきましょう。万が一、老人ホームの入居を決めた後にもらえる保護金の限度額が違っていたら、入居を断念せざるを得ないといったケースも存在するようです。
一般的には都心部の方が毎月の費用は高く、郊外や山間部の老人ホームの方が格安な場合が多いです。生活保護受給者が入居できそうな老人ホームを探す場合、都心から離れたエリアで探した方が、入居先が見つかる可能性が高まります。
最近はホームページなどに「生活保護OK」と明記している老人ホームも増えました。書いていない場合も、地域包括支援センターのケアマネージャーに相談することは一考でしょう。





