鼻腔・経管栄養の対応が可能な施設特集
万全の医療・看護ケアは絶大な安心感

病気などの理由で口から物を食べられなくなった場合、栄養補給の方法として考えられるのが胃ろう、そして鼻腔・経管栄養です。鼻腔・経管栄養では、自分で引き抜いてしまったり、また胃の中の物が逆流したりと、トラブルが起きやすいという面があります。そのため、受け入れを行なっている施設が少なく、鼻腔・経管栄養でも入居できる施設をお探しの方も多いと思いますが、当サイトでは対応可能な施設を多数ご紹介しています。設備はもちろん医療・看護ケアも万全なので、安心して入居を検討してみてください。
鼻腔・経管栄養でも入居可能な老人ホームは全国にたくさん!
鼻腔・経管栄養とは、口から直接栄養を摂取できなくなった「嚥下障害」のある方に施される医療処置です。嚥下障害が起きる原因は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血、老衰、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの病気により口から食事を食べることができない場合、認知症を発症することで自発的に食事を摂らなくなった場合、口腔内や咽頭、喉頭のガンにより食べ物がとおらない、または痛みを感じることなどが主な原因です。
もしも口からの栄養・水分摂取がスムーズに行われない場合、水分や栄養分不足をまねき衰弱してしまいますし、免疫力が低下して感染症のリスクも高まります。嚥下障害があると喉に食べ物を詰まらせやすく、誤嚥性肺炎や窒息の危険性も上昇します。そこで嚥下障害があっても誤嚥性肺炎や窒息のリスクをできるだけ下げ、安全に栄養分と水分を胃にとどける「鼻腔・経管栄養」という長期栄養管理法が採用されています。これは胃ろうと同じく、栄養分を直接胃におくる方法です。
胃ろうと鼻腔経管栄養の差は、カテーテルをどこから差しこむかの違いになります。胃ろうはお腹の皮膚と胃との間に胃ろうカテーテルを設置し、外部から直接胃の内部へと栄養分を流しこむことが可能です。一方、、鼻腔・経管栄養の場合は鼻から2~3㎜のチューブ(マーゲンチューブ)を胃まで直接差しこみ、そこに栄養剤を流しこむ方法です。この方法であれば喉に食事を詰まらせることもなく、誤嚥性肺炎もある程度防ぐことができます。
チューブは強い胃酸のなかにあっても変質しにくいポリウレタンやシリコン素材のものが中心となっています。チューブは鼻腔から咽頭、食道、胃へと差しこまれ、胃のなかにきちんと到達したかを確認するために、注射器で胃の内容物を引きぬきます。チューブは通常1~2週間で交換となり、負担軽減のために左右の鼻に交互に差します。
鼻腔経管栄養で利用される栄養剤には「半消化態栄養剤」と「消化態栄養剤、成分栄養剤」の2種類があります。半消化態栄養剤はたんぱく質が消化されていないため、胃で消化する必要があります。胃ろうや鼻腔経管栄養で使われるのは芋にこちらのタイプ。「消化態栄養剤、成分栄養剤」はたんぱく質がすでに消化された状態のもので、腸ろうの患者が利用します。栄養剤の形状は医療保険の効く「液体栄養剤(医療品)」と医療保険の効かない「半固形栄養剤(食品)」が分類されます。液体栄養剤の方が安価ですが、栄養剤を流しこむまでに1~2時間と長い時間がかかり、誤嚥性肺炎や下痢、嘔吐などのトラブルが半固形栄養剤にくらべて起こりやすくなっています。半固形栄養剤は食品あつかいで、誤嚥性肺炎や下痢、嘔吐が起こりにくく注入時間も5~15分とかなり短くなっています。医療保険が効かないため高額であることがデメリットです。
鼻腔経管栄養の患者が老人ホームに入居する際は、医療体制をしっかりチェックしましょう。鼻腔・経管栄養のために専用のチューブを差しこむことは医療行為となり、医師や看護師の役割です。医師や看護師が常駐する老人ホームでなければ、鼻腔経管栄養には対応できません。チューブに栄養を流しこむ行為にはとくに制限はありませんが、できるだけ看護師や栄養士が望ましいとされています。「望ましい」とい表現にとどまっているため、介護職員がチューブに栄養剤を流しこんでも違法行為にはなりません。
鼻腔・経管栄養の患者が入居できる老人ホームは全国に多数あります。対応できる施設の状況をチェックしてみましたが、ほとんどが24時間介護士常駐、くわえて日中看護師が常駐している老人ホームばかりです。日中看護師が勤務していれば、チューブの取り換えを看護師が行うことができますので入所者としても安心です。老人ホームによっては、看護師のかわりに介護職員がチューブの取り換えを行っているという指摘もあります。チューブが気管に入ると誤嚥性肺炎の危険もあり一歩間違えれば医療事故にもつながる可能性もあるため、医療体制については入居前にしっかりチェックしておきましょう。
鼻腔経管栄養とは?老人ホーム入居時に何に注意すれば良い?
鼻腔経管栄養は、病気や老衰のために嚥下障害となり口から栄養が摂取できない方のために、鼻から胃へとチューブを差しこみ、胃に直接栄養剤を流しこむ医療行為です。胃ろうのように外科的手術が必要ないのがメリットです。老人ホームに医師や看護師がいればすぐにチューブを差しこむことができ、栄養補給ができます。
老人ホームへ入居する際には、チューブの管理ができる看護師や医師が施設にきちんと在籍しているかどうか、実際に勤務しているかどうかの確認を行いましょう。看護師がいないにも関わらず、無資格者(介護職員など)がチューブの取り換えを行うのは違法行為となります。もしもチューブが気管に入ったまま栄養剤を流しこむと、誤嚥性肺炎よりもより深刻な「窒息」を引きおこし、重大事故が起きる可能性が非常に高くなります。チューブが確実に胃に到達したかどうかは、注射器で胃の内容物を引きぬいて調べる意外にありません。医療知識のない介護職員が勘でできることではありませんので、入所の際は医療体制の確認を行いましょう。
認知症患者が鼻腔経管栄養を行う場合、その不快感からチューブを引きぬくことがあります。そのため手にミトンの手袋を装着される、また状況によっては身体拘束されることもあります。虐待のように見えるかもしれませんが、入所者を24時間監視することができない以上、本人の安全のためには必要な措置です。面会に来たご家族が拘束されている親族の姿を見るのはつらいものですが、それなりの事情があります。納得できないことがあるときは、職員や施設責任者とよく話し合いを行いましょう。
また、老人ホームへの入所後に注意する点としては「口腔ケアがきちんと行われているかどうか」も重要なチェック項目です。鼻腔経管栄養を行っている方は口から食べ物を摂取できないため、口腔内をマメにケアする必要がないと考えがちですがそれは間違いです。食べ物を噛む必要がないため唾液の分泌が減り、口の中に細菌が繁殖しやすくなっています。さらに嚥下機能の低下で誤嚥を起こしやすくなっており、細菌が唾液とともに気管へと侵入すると誤嚥性肺炎を起こすリスクが高くなります。誤嚥を起こしやすいため、口腔ケア自体も慎重に行う必要があります。
鼻腔経管栄養の患者が老人ホームを選ぶときは、医療体制だけではなく口腔ケアまでしっかり対応してくれる施設を選ぶことが重要です。
鼻腔経管栄養にするメリット・デメリットは?
嚥下障害のある高齢者にとって、鼻腔経管栄養による栄養摂取は命をつなぐ重要な医療行為です。ただしこの鼻腔経管栄養についてはメリットとデメリットがあり、必ずしも良い面ばかりとは限りません。以下にメリットとデメリットをまとめてありますので、ご参考にしてください。
鼻腔経管栄養のメリットは内視鏡を使用した手術などの必要がなく、介護施設内で医師や看護師が栄養をおくるチューブを鼻腔から食道、胃へと差しこむだけで処置が終わることです。外科的手術が必要ないので入院や手術の必要がありません。鼻腔経管栄養の必要がなくなれば、チューブを引きぬくことですぐに止めることができます。また患者が間違ってチューブを引きぬいたとしても命に関わることはありません。腸管には免疫システムに関わる機能がありますが、胃に栄養がおくられることで免疫機能が正常に維持できるのもメリットです。
一見良いことだけのように感じられる鼻腔経管栄養ですが、デメリットもあります。鼻腔から胃までチューブが通してあるので違和感があり、チューブの取り換え時にはのどを刺激されることで起きる吐き気や痛みなどで、大きな苦痛を感じることがあります。また交換時にはチューブの先で鼻の粘膜を傷つけるリスクもあります。喉にチューブがあるため嚥下訓練ができず、口から食事を摂ることも一切できません。チューブが細いため、誤って気管に入ることもあり窒息の危険もあります。さらに喉や食道、胃に悪性腫瘍があると鼻腔経管栄養治療自体がむずかしくなります。チューブが汚染されると誤嚥性肺炎のリスクも高まります。このようにデメリットも存在するため、鼻腔経管栄養で不快感を覚える方、誤嚥性肺炎を防ぎたい方には胃ろうをすすめる老人ホームもあります。
最終的にどのような医療行為を選択するかは本人の意思や家族の意向、本人の身体状況、経済的な状況などを総合的にみて判断する必要があるでしょう。最近は胃ろう造設の患者が増えていますが、鼻腔経管栄養よりも安全で身体的な負担が少ないことがその理由かもしれません。
鼻腔経管栄養をしている認知症患者を介護するときの注意点
認知症は脳を侵される病気です。脳神経細胞のネットワークがさまざまな要因で脱落、また脳神経細胞自体もダメージを受けることで複数の障害があらわれます。大事な用事を忘れる(記憶障害)、体をうまくうごかせなくなる(失行)、言葉が出てこない(失語)、家事や仕事ができなくなる(実行機能障害)、時間や場所、人物を正しく認識できない(見当識障害)、物事を理解して正しく判断することが困難、自分の意思で決断できない(理解・判断力障害)などの症状により、日常生活に支障をきたすようになります。人によって病気の進行には差異がありますが、急に症状が悪化することがあるため注意が必要です。発症原因は「加齢」や「遺伝」が関連していると言われていますが、詳しいことはまだ良く分かっていません。
認知症患者の場合、理解力・判断力の低下から鼻腔に差しこまれたチューブの意味が理解できず、意図的に引きぬく可能性が高くなります。体のなかに異物(チューブ)が入っているため不愉快な気分になり、苦痛を感じることはある意味自然なことかもしれません。不快感を解消するために、自力でチューブを抜くことは容易に想像できます。ところが、それでは栄養補給ができずに衰弱してしまいまう危険性も。患者本人がチューブを完全に引きぬくことができず中途半端な場所でとまってしまうと、誤嚥性肺炎や窒息の原因になります。そのため動きの激しい認知症患者に対しては、手にミトンの手袋をはめて指の動きを奪う、または身体拘束でチューブに触れないような処置をとることもあります。
これら身体拘束は、老人ホームの判断で勝手に行うことはありません。事前に老人ホーム側から家族に説明があります。自由を奪われてつらい状況ですが、本人の命をつなぐためには必要な措置です。喉に異物感があり本人が嫌がるときは、胃ろう造設という方法もあります。ただこちらも、胃ろうカテーテルを指で取りはずすトラブルも起きています。認知症患者の場合は、ほかの入所者よりもさらにきめ細かいケアと見守りが必要です。