気管切開の対応が可能な施設特集
経験豊富な看護スタッフが常駐

気管に穴を開けた後、カニューレと呼ばれる器具によって呼吸やたんの排出を可能にするのが気管切開。細菌の感染を防ぐためには定期的なカニューレの交換が必要で、そのために、気管切開を行なっている人を受け入れている施設では、24時間看護など医療ケアや看護サービスが充実している場合がほとんどです。このページでご紹介している受け入れの実績が豊富な施設では逆に、24時間看護サービスが行われていたり、経験豊富な医療スタッフが働いていたりするため、安心して理想の入居先を見つけてください。
気管切開の方の老人ホーム入居は簡単じゃない?
気管切開とは、気道閉塞の予防や呼吸不全の呼吸管理、痰や唾液が気管内にたまって窒息を起こす恐れがあるときは気管切開をおこないます。気管切開は気道とその上部の皮膚を切開し、その切れ間から気管カニューレと呼ばれる管を挿入し、気道の確保や痰の吸引をおこなう医療行為です。医療行為ですので、患者への対応は医師や看護師しかできません。
気管カニューレは衛生面を考えて約2週間に1度程度の頻度で取り換えますが、これは一般的には医師の仕事です。このため気管切開をおこなった患者が介護施設に入居するときは、介護施設に医師や看護師が24時間常駐している老人ホーム、または医療機関に併設された老人ホームのように医療ケアがしっかりしている介護施設でなければ受け入れ不可能です。このような現実があるため、気管切開をおこなった方の老人ホームの入所はかなりむずかしいのが現状です。
それを裏付けるデータがあります。こちらの「医療処置が必要な入居者の受け入れ割合」をご覧ください。有料老人ホームにおける気管切開患者の受け入れ割合は約12%。かなり低い割合です。どうしても介護施設に入所したいという場合は、お住まいのエリアだけではなく少し地域を広げて探す必要があるでしょう。介護施設の仲介をしてくれるサービスを上手に利用したり、ケアマネージャーなどから情報を得るなどして介護施設を探しましょう。
ペースメーカー(72%) | |
ストマ(60%) | |
尿バルーン(52%) | |
在宅酸素(51%) | |
胃ろう(41%) | |
じょくそう(40%) | |
人工透析(33%) | |
インスリン(26%) | |
たん吸引(18%) | |
鼻腔経管(14%) | |
気管切開(12%) | |
IVH(10%) | |
ALS(5%) |
気管切開とは?そのメリット・デメリットについて
先ほど、気管切開をおこなう目的について簡単にご説明しました。ここでは気管切開のメリットとデメリットについてご説明しています。
まず気管切開をおこなう理由ですが、先ほども少し説明したとおり気道閉塞の予防のため、呼吸不全時の呼吸管理、たんや唾液などの吸引のためといったものがあげられます。気道閉塞の予防とは、喉頭や咽頭部の炎症や喉頭狭窄など、さまざまな原因により気管内が閉塞する危険性が高まったとき、または完全に閉塞したときに気管を切開して直接気道を確保します。
また呼吸不全時の呼吸管理は、肺炎や敗血症、多発性外傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病気によって呼吸不全となったとき、呼吸の確保を目的として気管切開がおこなわれます。病気の治療によっては気管カニューレが長期間留置するケースも。たんや唾液など、気管内にたまる分泌物を吸引するケースは、意識障害や重症筋無力症などの病気によって自力でたんや唾液を排出できないときとき、気管切開によって貯留物の吸引・排出をおこないます。
この貯留物の吸引は介護職員でも可能ですが、気管カニューレの取り替えや患者の全身状態の管理、緊急時の対応などは医師や看護師でなければできません。そのため気管カニューレの患者は、一般的に医療体制のしっかりした介護施設でなければ受け入れができない状況です。
では気管切開のメリット・デメリットについてみてみましょう。気管切開を受ける患者は多く、安全性の高い医療行為ですがやはり欠点もあります。気管切開のメリットは気管内吸引が容易であること、気管カニューレの挿入・固定が容易であること、患者の侵襲が少ない、口から食事がとれる、患者の口腔ケアが可能、場合によっては声が出せる、チューブの事故抜管が少ないなど。
気管内挿管による気道確保や人工呼吸が長期化した場合 | 長期間口や鼻から気管に感を通した状態になっていると管によって身体の組織が圧迫されてしまいます。壊死や潰瘍といった危険性があります。また、長期間同じ管を使用していると痰や分泌物が管自体につまってしまい、清潔感も損なわれるので定期的に管を交換する必要があります。この管を入れる操作というのは高度な技術が必要ですし、危険を伴います。また、患者への負担も大きいです。ですから、気管切開をしたほうがいいということになります。 |
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気管内挿管では分泌物の吸引が困難な場合 | 口や鼻から長いチューブを使って吸引するのは実際とても困難であり、特に身体が弱っている患者にとって痰が出しにくい状態です。気管切開をすることで直接気管に穴を開けることで吸引が楽になります。 |
上気道閉塞の場合 | のどの病気で口や鼻から気管内挿管が困難となってしまった場合、気道を確保するために気管切開という手段になります。 |
体外式人工呼吸器や在宅人工呼吸を継続するのが困難な場合 | 呼吸不全が進行すると体外式人工呼吸器(CR)や在宅人工呼吸(NIPPV)では対処不能となってしまいます。そのため、代わりとして気管内挿管や気管切開による人工呼吸法をとることとなり、長い時間がかかることになるなら特に気管内挿管では限界となります。 |
デメリットは気管切開手術におけるリスクです。気管切開は安全性が確立されていますが、手術中の出血や感染などのリスクはゼロではありません。また手術後も創部からの感染や創部、気管内の出血、気胸、低酸素症、肺炎、自然抜去などの合併症やリスクもあります。これらのリスクを最小にするため日々の患者の観察や、急変時の対応が欠かせません。気管カニューレはチューブの事故抜管が少ないと言われていますが、患者が勝手に管を抜いてしまう事故も起きています。認知症患者の場合は、とくに注意して観察する必要があります。