山陰を代表する都市でありながら、美しい町並みや自然も享受可能

島根県の県庁所在地であり、2018年に中核市に移行したばかりの松江市。
松江城を中心とする城下町の時代から急速に発展したエリアです。
21世紀に入ってからも近隣自治体の吸収合併を繰り返しており、進化がとまる気配はありません。
松江市は、東隣にある鳥取県米子市や境港市と共に、「中海・宍道湖経済圏」を成立させている重要な都市。
山陰地方で勢いのある企業の大半は松江市内に拠点を置いており、松江駅周辺に集中しています。
日常生活のしやすさは申し分なく、その一方で伝統文化や自然の保存状態も優れており、老後を過ごす場所として理想的な環境が作られています。市内の鉄道は、JRと「一畑電車」に二分されています。
JRは山陰本線がメジャーですが、「木次線」も地域によっては盛んに使用されています。
「一畑電車」については、北松江線が多数の駅を設置しており、通勤通学面で大きな貢献をしてきました。
市内の高速道路は「山陰自動車道」と「松江自動車道」のみですが、前者はインターチェンジなどがたくさんあり、乗り入れるのに便利です。
そのほか国道・県道が数十本通っており、車の移動には大変便利です。
市内のバスについては、松江市当局が管轄する路線が数種類あるほか、「一畑バス」「日ノ丸自動車」など民間の会社が運行する路線が用意されており、市内の移動に便利です。
高速バスも、近畿・関東・九州など遠方へ向かう路線が多数用意されています。
市内の人口は、1990年代末までは増加を続けていましたが、今世紀に入ると少しずつ減少傾向に移行してきました。
2010年の調査では、高齢化率24.7%、少子化率13.5%で、県内では比較的緩やかな数字でした。
近年、松江市内の介護施設はかなり多くなっています。
特に、グループホーム・特別養護老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の数が多く、費用も安価なことから入居しやすくなっています。
最近は、ケアハウスや住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホームでも安さでひけをとらない施設が登場しています。
松江市の高齢化率は30.3%を超えている
松江市は、出雲市や雲南市、鳥取県境港市と隣接する都市。
「松江城」「由志園」「松江フォーゲルパーク」や小泉八雲にまつわるスポットなど、観光資源が豊富な街です。
しじみで有名な宍道湖や中海など、水資源に恵まれた街でもあるため、「水の都・松江」として観光にも力を入れています。
「松江水郷祭」では、西日本最大級の湖上花火大会を開催。
市内外から大勢の見物客が訪れる、松江市の名物となっています。
そんな観光資源の豊富な松江市は、2018年に条件をクリアして中核市に昇格。
ますます都市の発展に力を入れています。
総人口は2010年から横ばいであり、2023年には総人口19万7,843人に。高齢者数は5万9,890人で、高齢化率は30.3%を超えました。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
地域別に見てみると、「松東圏域」や「松南第1圏域」には74歳以下で虚弱リスクがある高齢者が比較的多く、「湖南圏域」では少なくなっています。
ちなみに、高齢者のなかで虚弱リスクがある人は75~79歳で増加し、85歳以上は3.5人に1人は虚弱リスクがあるという調査結果が出ました。
松江市では高齢者が増え続け、虚弱リスクが高い人が多いのが現状です。
松江市では、要支援・要介護認定者数の増加を緩やかにするため、介護予防や重度化防止活動などを推進。
高齢者がいつまでも元気に楽しく暮らせる環境づくりに取り組んでいます。
高齢者の約5人に1人が要支援・要介護認定を受けている
松江市の要支援・要介護認定者数は、2010年は8,502人、2015年は1万1,030人、2020年は1万2,132人、2024年には1万1,902人と、増加の一途をたどっています。
65歳以上の第1号被保険者の要支援・要介護認定率も、2010年は17.9%、2015年は19.9%、2023年には19.8%となり、約5人に1人は認定を受けている状況です。

年齢別に見ると、75~79歳あたりから認定率が急激に高くなっており、後期高齢者の認定者数が多くなっています。
松江市では、男女ともに要支援・要介護状態になる原因として、高血圧や脳梗塞などの循環器系の疾患が最多。
その他には、精神や行動の障がい、アルツハイマー病を含む神経系の疾患が多く、「認知症の症状が出だしたため、要支援・要介護認定を受けた」という人が多くなっています。
要介護度別にみると、要支援1・2と認定された理由としては関節症や骨折が多く、手足の痛みや骨折により、ポートが必要になった人が多いです。
一方、要介護1から要介護5までの認定理由は、アルツハイマー病も含めた認知症が上位を占めています。
そのため松江市では、認知症対応デイサービスやグループホームなど、認知症高齢者が気軽に利用できる介護保険サービスを充実させようとしています。
また、在宅介護や、生活支援に支えられながら生活している高齢者が多いため、家事代行や身体介助をおこなう「訪問介護」や、看護師による医療サポートが受けられる「訪問看護」、骨折の原因となる筋力低下を防ぐ「訪問リハビリテーション」などのサービスを普及させています。
予防接種やがん検診が気軽に受けられる環境づくりを推進

松江市の調査によると、市民が罹患した病気の種類としては、循環器系の疾患が最多。
その次に消化器系の疾患や筋骨格及び結合組織の疾患が多く、全体の7割が生活習慣病という状況です。
松江市では生活習慣病予防の講座や運動教室を実施し、病気の予防に努めています。
病気や怪我が要支援・要介護状態になる原因となっていますので、松江市では、高齢者向けの健康診査やがん検診、インフルエンザなどの予防接種を普及させ、高齢者がもっと気軽に検診などを受けられるような環境づくりを推進しています。
また、筋骨格及び結合組織の疾患も要支援・要介護状態になる原因となっており、「老化による筋力低下で動けなくなった」「転倒による骨折で要介護になった」という高齢者が多いのが現状です。
松江市は訪問介護などの生活支援サービスの普及に努め、さらに介護予防運動を推進しています。
さらに、松江市の調査によると、運動器機能の機能低下リスクがある人は、75~79歳は5人に1人、80~84歳で3人に1人、85歳以上は2人に1人となっています。
年齢が上がるにつれ運動機能が低下し、介護予防が必要となる人が増えることがわかっています。
松江市では、通所リハビリテーションなどで本格的な機能訓練が受けられ、デイサービスでは楽しく体が動かせるレクリエーションを実施しています。
外出は自然と運動になるうえに、閉じこもりや孤立化の防止にもつながります。
松江市は高齢者の外出支援を推進し、交通手段の確保もサポートしています。
認知症高齢者とその家族のフォローも手厚く行っている

松江市では、地域包括ケアシテムの構築に向けた取り組みを行っています。
特に団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年を目途に、福祉サービスの充実化を急いでいます。
高齢者の一人暮らしの割合をエリアごとにみると、「中央圏域」で一番多く、少ないのは「松南第2圏域」です。
この二つの圏域を比較すると約2倍の差があり、松江市では、エリアに合わせた高齢化対策や福祉サービスが実施できるように考慮しています。
高齢者の増加にともない、医療や介護を必要とする一人暮らしの高齢者も増加。
そのため、高齢者医療の充実や、在宅医療の推進、医療と介護の連携の強化、介護サービスの充実などを通して、一人暮らしの高齢者の生活を支援しています。
また、認知症高齢者も年々増えており、認知症対策を行い、認知症高齢者とその家族をフォローしています。
そして、高齢者が快適に暮らしていけるよう、バリアフリー化工事の費用助成や、サービス付き高齢者向け住宅など高齢者の住まいの増設などを実施。
いつまでも現役で過ごせるよう、健康づくりと介護予防も推進しています。
そのほか、緊急時にSOSが発信できる福祉電話の貸与やオムツの支給、高齢者相談などさまざまな生活支援サービスを実施しています。
松江市の福祉サービス運営適正化委員会とは?

松江市では、高齢者のあらゆる悩みに対応できるよう、相談窓口を設置しています。
健康長寿課の健康長寿係では、市の高齢者サービスに関する質問や相談を受け付けています。
「ヘルパーさんの作る料理がどうしても口に合わない」といった悩みも相談可能です。
健康長寿課の地域包括ケア推進係では、高齢者虐待に関する相談に対応。
「隣のおばあちゃんが虐待されているかもしれない」「権利が侵害されている気がする」などの相談ができます。
介護保険課の給付係では、介護保険サービスの利用についての悩みや、サービスを提供している事業所への苦情が申請できます。
「訪問看護の人の看護の仕方が納得できない」などの相談が可能です。
「要介護認定を受けて、サービスを受けたい」という人はこちらで認定の申請ができますし、要介護認定に関する不満なども聞いてもらえます。
基本的に、地域包括支援センターが高齢者に関する悩みごと相談、介護予防に関する案内などを実施しています。
高齢者本人以外でも、ご家族や親族、地域の人も相談できるのが魅力です。
そのほか、保健福祉総合センターでは一般健康相談を実施しており、健康に関することなら何でも相談可能。
松江保健所では、精神的な病や心の不調、引きこもりなどメンタルの悩みが打ち明けられます。
医師による相談日もあるため、専門的なアドバイスももらえるでしょう。
島根県立心と体の相談センターでも、心の悩みに対応しており、アルコール依存症なども相談できます。