急激な高齢化に伴って、市による高齢者支援も手厚く

門真市は大阪市の北東に位置しており、交通網も発達しており、大阪中央環状線や大阪モノレール線、そして大阪モノレールが通っています。
利便性に富んでおり、大阪市のベッドタウンとしても重要な都市の1つです。
人口の多い都市ですが高齢者の数も多く、高齢化が進んでいます。
1985年には、高齢化率は5.5%でした。
しかし、2023年には総人口約11万人のうち高齢者の数が約3万人となり、高齢化率も29.7%になりました。
門真市の高齢化率は大きく上昇したのです。
高齢者人口の増加に伴い、高齢者のための福祉サービスも徐々に充実してきました。
高齢者の生活支援事業に力を入れ、緊急通報装置の貸出や、電磁調理器や火災報知器などの日常生活用具の給付を行い、さまざまなフォローをしています。
また、生きがい作りの一環として「高齢者憩いの場」を開設しています。
健康相談から楽しいレクリエーションまで、60歳以上の市民なら誰でも無料で利用できるようにしています。
ほかにも65歳以上の高齢者の医療費を助成したり、高齢者が気軽に参加できるウォーキング大会を定期的に実施したりと、福祉サービスの内容が大変豊富な都市です。
門真市の市内には、特別養護老人ホームが全部で7ヵ所あります。
しかし常時100人待ち、という特養も少なくなく、「介護度が重い」「金銭的にも生活が困難」というような状態でない限り、入居は現実的ではありません。
また、特養のような公的介護施設のほかに、サービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホームもあります。
どちらも、月額利用料が13万円程度から入居可能なようです。
しかし、月額利用料とは別に、介護が必要な方は、ヘルパー代やデイサービス代がかかりますので、入居を考えている方は「入居したらどれくらい介護を申し込むのか」そして「全体でいくらくらい費用が必要か」を、担当ケアマネージャーにあらかじめ計算してもらうと良いでしょう。
住宅型とは別に、介護付有料老人ホームも市内に点在しています。
こちらは細やかな介護サービスを提供しているので、介護度が高い方にはおすすめです。
しかし、入居時の頭金が数千万円かかる施設もあるので、施設見学を申し込み、サービス内容と料金の確認だけはしておきましょう。
認知症患者のためのグループホームもありますが、現在どのホームも「空きがあれば入れる」といった状況のようです。
高齢化率は2035年には35%を超える見込み
門真市は、大阪市に隣接しており、大阪市に働きに出ている人も多いため、同市のベッドタウンとして発展を遂げた街です。
交通アクセスとしては、京阪電気鉄道の京阪本線と、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ・旧大阪市営地下鉄)の長堀鶴見緑地線が走行しています。
大阪メトロの門真南駅は、2029年には大阪モノレールとの乗換駅となる予定で、今後、ますます交通アクセスが良くなるでしょう。
中心となる駅は京阪本線の門真市駅で、パナソニックの本社があるため、朝夕の通勤客が多いことから、区間急行が運行中していす。
バスは門真市駅を中心に京阪バスや近鉄バス、コミュニティバスが市内を巡っています。
高速道路としては近畿自動車道が走っており、門真インターチェンジから利用可能です。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
比較的交通アクセスの発達した門真市ですが、国勢調査によると市の総人口は減少しています。
1990年には総人口が14万2,297人でしたが2015年には12万3,576人、2023年には11万7,937人まで減少しました。
年齢別にみると0歳から14歳までの年少人口や、15歳から64歳までの生産年齢人口も減少中です。
一方では65歳以上の高齢者人口は増えており、門真市でも少子高齢化が進行しています。
高齢化率も年々上昇中で、2012年は24.2%でしたが2013年には25.4%、2023年には29.7%となり、4人に1人以上が高齢者という状況になりました。
その後も高齢化率は上昇し続け、2035年には35%まで上昇する見込みで3人に1人が高齢者という状況も迫っています。門真市の高齢化率は深刻なものとなってきています。
要支援・要介護認定率は全国平均よりも低め
門真市では高齢者の中でも75歳以上の後期高齢者が増えており、後期高齢化率が上昇しています。
2012年の後期高齢化率は9.4%でしたが、2013年には10%を超え、2017年には13.8%、2023年には16.8%まで上昇しています。
後期高齢者になると、要支援・要介護認定者が急増することがわかっており、実際、門真市では高齢者の増加とともに、介護保険サービスの要支援・要介護認定者が増えています。

門真市の要支援・要介護認定者数は2023年には2万409人となり、2万人をこえました。
介護度別にみると要介護1が最も多く、4,381人となっています。
要支援・要介護認定率も年々上昇しており2023年度には、23.2%となりました。
これは、大阪府の平均23.5%より低く、全国平均の19.3%より高くなっています。
門真市は後期高齢者の増加に合わせ、介護予防活動や介護保険サービスの充実を推進しています。
門真市は効率的かつ幅広い支援を行うため、近隣の都市と共同で『くすのき広域連合』を構成し、介護保険サービスの提供を行っています。
増える1人暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯を支える地域包括ケアシステム
門真市では高齢者の生活を支えるべく、地域包括ケアシステムを構築中です。
日常生活圏域別に高齢化の状況を見ると、門真みらい校区などのある「第1圏域」の高齢化率が32.5%と一番高く、次いで大和田校区のある第3圏域や、脇田校区のある第5圏域が高めです。

一方、門真校区のある第2圏域が26.2%で一番低く、地域によって高齢化の格差が出ていることがわかっています。
また、人口の減少とともに一世帯あたりの人員は毎年減っており、1人暮らしの高齢者や 高齢夫婦世帯も大きく増えています。
そのため、家事代行や身体介助といった支援を必要とする世帯が増えており、介護保険サービスの充実が求められています。
実際、介護保険サービスの内訳を見てみると、訪問介護などの「居宅サービス」を利用する人が多く、要介護度別にみても、すべての階級の人が居宅サービスを多く利用しています。
さらに、2012年度から2016年度までのデータを見ると、すべての階級で居宅サービスの利用回数が増えています。
2016年度のデータによると大阪府の平均は下回っていますが、全国平均は上回っており、門真市の居宅サービスの利用者の多さが窺えます。
また、2012年度からスタートした「地域密着型サービス」も利用者が年々増えており、特に2016年度以降は急激に増加中です。
しかし、まだまだ利用者は少なめで全国や大阪府の平均は下回っています。
門真市は介護保険サービスも含めた福祉サービスの内容の周知や、サービスの普及に努め、高齢者が気軽に福祉サービスを利用できる環境づくりに励んでいます。
『いきいき百歳体操』で高齢者の通いの場を提供する介護予防
門真市では、いつまでも笑顔で暮らせるよう、高齢者の自立支援や介護予防、介護状態の重度化防止活動を推進中です。
要介護状態にならないための予防体操の普及に努め、要介護状態の軽減・悪化の防止を目標とし、介護予防体操だけでなく各種健康講座も実施しています。

門真市では、各生活圏域において運動教室や栄養改善指導、認知症予防講座など、さまざまな介護予防教室を開催中です。
普及活動が功を奏し、こうした介護予防活動への参加人数も、徐々に増加しています
地域包括支援センターを中心に、『いきいき百歳体操』や高齢者向けのイベントも実施し、高齢者の通い場を提供しています。
要介護状態の引き金になっている病気や怪我を減らすべく、門真市では『門真市健康増進計画 食育推進計画健康門真21』が策定されました。
高齢者だけでなくすべての市民の健康寿命を向上させようとしています。
市は高齢者向けのがん検診や健康診査、インフルエンザの予防接種を推進しています。
病気の早期発見・早期治療を目指しています。
また、食を通じた健全な心身づくりと、豊かな人間性の形成のために、生活習慣病予防につながる健康教室を実施しています。
運動や食事に加え、歯や口の健康や心の健康にも着目し、口腔機能教室やこころの相談も行っています。
門真市では、いろいろな介護予防活動を実施していますので、気軽に地域包括支援センターに聞いてみると良いでしょう。
『高齢者徘徊SOSネットワーク事業』で認知症の方のサポート体制が構築されている

門真市では、年を重ねても安心して暮らしていけるよう、高齢者の人権の擁護とともに、細やかな相談を実施しています。
各地域に「地域包括支援センター」を設置し、地元に根付いたサポートを行っています。
地域包括支援センターが高齢者の総合相談窓口になっており、介護だけでなくいろいろな福祉サービスや生活に関することまで、幅広い相談が可能です。
また、認知症に関する相談も可能です。
認知症高齢者とその家族が孤立しないよう、「目が離せないので家から出られない」という場合にも、市の職員が赴き、状況を確認しながら相談に乗ってくれます。
認知症により金銭管理やサービスへの申し込み手続きなどが難しくなった人を守るため、成年後見制度を普及させています。
通帳やハンコの管理代行や、各種サービスへの申し込み支援を行っていますので、「最近管理や手続きが難しくなってきた…」という人は、地域包括支援センターに気軽に相談すると良いでしょう。
徘徊高齢者に対応するべく『高齢者徘徊SOSネットワーク事業』を導入しています。
高齢者の居場所がわからくなった際も、素早く相談ができるのが魅力です。
そして、全国的に高齢者虐待が増える中、門真市でも地域包括支援センターを中心に、高齢者虐待についての相談も実施中です。
門真市では「幸せに生きる権利が侵害されている」と感じた際は、すぐに地域包括支援センターに相談できるような体制を整えています。