大分市は商業施設の多い中核市。天然温泉付きの有料老人ホームも
大分市は、大分県中部に位置しており、大分・宮崎県のある東九州エリアで最大の都市です。
別府湾に面した沿岸部には「うみたまご」という水族館があり、猿で有名な「高崎山」と共に観光スポットとなっています。
昔から観光地として栄えているため、交通アクセスが整っており、鉄道はJR九州の「日豊本線」「豊肥本線」「久大本線」が大分駅を中心に停車します。
大分交通の空港特急バス「エアライナー」が大分市と大分空港を結び、市内のバスは「大分交通」や「亀の井バス」などが路線を運行中です。
大分港からは「フェリーさんふらわあ 」「国道九四フェリー」が出ており、海路も楽しめます。
高速道路は、大分自動車道・東九州自動車道が整備されており、車でもスムーズに大分市へ来られるようになっています。
東九州自動車道を利用した、宮崎からの高速バス「チキチキナンバン号」も誕生。
宮崎市から大分市まで2時間50分で行けるので便利です。
近年、大分駅前のアーケード商店街などの商業エリアを中心に、さまざまな商業施設が建てられ、ショッピング客が大勢訪れる街になりました。
ニュータウンも建設され、人口増加率が伸び続けているのが特徴。
高齢化率は2023年の調査では28.1%であり、全国平均の29.1%よりは低めでした。
しかし推計によると、高齢化率が30%を超える日は近いと予想され、市はさまざまな高齢者福祉事業を展開してシニア世代の生活をフォローしています。
その一環で、高齢者の引きこもり防止対策として「ワンコインバス」というサービスを実施。
これは、満65歳以上の高齢者が一般路線バスを100円で乗車できるサービスです。
市内に限りますが、低料金で移動ができるため気軽に外出ができると好評です。
また、市内には特別養護老人ホームなどさまざまな介護施設が用意されていますが、そのなかには有料老人ホーム・病院・薬局などをそろえたシニアタウンも存在します。
8,500坪の敷地に建てられた老人ホームには介護型と住宅型があり、どちらも入居時の費用は7万円台、月額利用料はそれぞれ10万~20万円といった金額。
両施設とも天然温泉があり、大変人気です。
この珍しいシニアタウンを含めて、大分市の介護施設は満室の場合が多いようです。
しかし、入居の申し込みをしておけば順番に入居できますので、希望する場合は早めに予約をしておくと良いでしょう。
大分市はシニア向けの交通費助成があり、商業施設が多いので買物がしやすい場所。
高齢者の方々にもおすすめの街です。
大分市の高齢化率は28.1%
大分市は隣接する別府市の別府温泉とともに、温泉の多いエリアとしても知られています。
近年、大分駅に「JRおおいたシティ」という複合商業施設が完成し、映画館やレストランなどが充実しました。
総人口は九州全体のなかでも第5位の多さを誇りますが、高齢化は進んでいます。
2023年の総人口は47万9,332人、65歳以上の高齢者人口は13万3,957人、高齢化率は28.1%となっています。
2023年の高齢化率の全国平均は29.1%なので、平均は下回っているものの、4人に1人以上が高齢者となっています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
高齢化率は今後も増加していくとみられ、2025年には30.7%、2050年には36.7%と急上昇する見込みです。
大分市よりも、大分県全体の高齢化率の方が深刻で、2023年33.5%と、すでに全国平均を超えています。
県内でも、大分市は比較的若者が多い街ですが、本格的な高齢化対策が必須といえるでしょう。
大分市では孤独死や老老介護などの問題にも注力
大分市では、65歳以上の高齢者のいる世帯が増えています。
2020年の調査によると全20万9,539世帯のうち4万9,964世帯が高齢者の一人暮らしや高齢夫婦世帯です。これは実に全世帯の5分の1に当たります。この状況をうけ、大分市は孤独死や老老介護などの問題にも目を向けています。
さらに要支援・要介護認定者数も増えており、2010年には1万7,321人でしたが、2024年には2万6,951人と、1万人弱も増加しています。
後期高齢者が一気に増えるため、スムーズに介護保険サービスなどが利用できる環境が必要とされています。
介護度別に見てみると、2024年時点では要介護1の認定者が多く、次いで要支援1の認定者が多いです。
ほかの段階の認定者も年々増加していますので、介護予防を含めた介護保険サービスの普及が必須といえるでしょう。
介護保険サービスは、居宅サービスと施設サービスに分かれています。
訪問介護や訪問看護、訪問栄養指導、デイサービス、通所リハビリテーション、グループホームやケアハウスなどの老人ホームへの入居など、サービス内容は豊富です。
介護保険サービスに限らず、利用できる高齢者向けのサービスは沢山ありますので、地域包括支援センターで聞いてみると良いでしょう。
「食の自立支援事業」一人暮らしの高齢者を支援
大分市の調査によると、介護が必要になった理由として挙げられたのは、主に「老衰による衰弱」「転倒・骨折」「関節の痛み」でした。
そのため、大分市では筋力を維持し、運動能力を向上させる身体的な介護予防を実施しています。
さらに運動だけでなく、高齢者の居場所や生きがいづくりにも積極的に力を入れています。
「外出して活躍することで、自然と介護予防になる」という理念から、老人クラブや地域ふれあいサロン、老人憩いの家、シニア交流プラザといったコミュニケーションが楽しめるグループ活動や施設を支援。
仲間とともにボランティア活動や介護予防活動をすることが、自立の意識を高めることにつながっています。
こういった外出を促進するため、満65歳以上の大分市民なら100円でバスに乗れる「高齢者ワンコインバス事業」を導入し、好評を得ています。
大分市では人材育成にも力を入れており、地域ふれあいサロンや大分健康づくり運動教室などで、介護予防に関わるボランティアの育成を実施。
食生活改善推進員の育成や、認知症サポーターの育成講座も開催しています。
さらに、理学療法士が理学に添ったリハビリテーションを高齢者に指導する「地域リハビリテーション活動」を支援。
「食の自立支援事業」では、一人暮らしの高齢者などを対象に、栄養バランスの取れた食事を配達していますし、75歳以上の安否確認が必要な後期高齢者を対象に、2日に1回のペースで乳酸菌飲料を配達し安否確認を行っています。
「認知症カフェ」設置で介護をする家族のサポートも
大分市では、さまざまな角度から高齢者を守る「地域包括ケアシステム」を構築中です。
運動機能の維持や、通いの場づくりといった「介護予防・重度化防止事業」の推進、保険・医療・福祉サービスの継続的な提供や連携など、地域包括ケアシステムによる高齢者サポートは非常に多彩です。
レクリエーションやボランティア活動などの生きがいづくりも活発で、高齢者の就労支援を行っています。
「住宅改修費支給事業」では、段差の解消工事や洋式トイレへの交換工事、階段の手すり付けなど、自宅で自立した生活や介護生活を維持するための必要な工事費用を一部助成しています。
「介護用品購入費の助成事業」は、在宅介護で常時オムツが必要な人に対しオムツ代の一部を助成しており、利用しやすいサービスです。
「福祉用具購入費用助成事業」では、ポータブルトイレ や入浴用いす、浴槽用手すり、移動用リフトのつり具など、在宅介護に必要な福祉用具の購入費用を一部助成しています。
適用される品目が多いので、チェックしてみると良いでしょう。
「大分あんしん見守りネットサーク」では、認知症高齢者が行方不明になった際、交通機関や企業も含め、地域全体で捜索や保護を行います。
認知症高齢者とその家族を守る事業として、「認知症カフェ」などもあり、介護側の家族がストレスや孤立で苦しまないようサポートしています。
また、一人暮らし高齢者などを対象に、生活支援ホームヘルプサービスも実施。
さまざまなサービスを実施することで、大分市は高齢者の生活を守っています。
大分市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
大分市では、高齢者のさまざまな悩みに対応しています。
あんしんサポートセンター大分では「日常生活自立支援事業」を行っており、「福祉サービスを受けたいけれどどんなものがあるの?」などの疑問に応えています。
センターまで来られない人には、電話相談か訪問相談も可能です。
また、認知症や障がいなどで金銭管理ができない人を対象に、支払いサポートや金銭・貴重品の管理代行サービスを実施。
金銭管理などで困っている人が気軽に相談できる場所となっています。
「やすらぎ生活支援事業」では、「入院するけれど、手続きがよく分からない。
身寄りがいないから頼る人がいない」という人などを対象に、入院や施設への入居サポートを行っています。
サポートは有料ですが、相談は無料です。
大分市自立生活支援センターでは、「生活困窮者自立相談支援事業」を通し、金銭的に困っている人の相談に乗っています。
また、「生活福祉資金貸付事業」では、「どうしても家賃が払えない」といった生活相談が可能です。
さらに、健康診断書の見方や、生活や食習慣の見直し方が分からないという人向けに、大分市保健所健康課などが電話相談を実施しています。
各校区で生活習慣病予防の教室を開催しており、保健師や看護師が老人会などに出向き、お話会を開催してもらえます。
心の健康に関しても、「大分いのちの電話」がさまざまな不安に対応しています。
「県こころとからだの相談支援センター」も、こころの健康づくりや精神保健福祉に関する相談会を開催し、県民の鬱や依存症など心の病に寄り添っています。
そのほか、法律相談や住まいの相談などさまざまな窓口がありますので、まずは区役所に相談してみると良いでしょう。