高齢者がのんびり過ごすためには最適な環境
日本一の米どころとして名高い新潟市。
老人ホームの数を考えてみると、それほど多くはない街のようです。
特に有料老人ホームやグループホームやサービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスといった民間の施設が少なく、入居の選択肢は狭くなっています。
そのため、新潟市での老人ホームの入居を考える際には、第一選択肢が介護保険の施設サービスである特別養護老人ホームと介護老人保健施設ということになるのですが、特に特別養護老人ホームでは入居待機者も多く、すぐに入居できるわけでもないというのが現状のようです。
したがって市は、介護保険事業計画の中で特別養護老人ホームの新設・増床を綿密に計画。
新潟市内には北区、東区、中央区、江南区、秋葉区、南区、西区、西蒲区という8つの区があるのですが、2012~2014年度にかけて、それぞれの区に100人規模の広域型施設を1ヵ所ずつ新設することを決定しました。
さらに、人工透析や胃ろうなど医療依存度の高い高齢者が入居しやすいよう、現状の特別養護老人ホームの増床・整備などが行われることになっています。
今まで入居待機していた人や、体調面に不安のあった人などは、これを機会に新潟市の特別養護老人ホームへの入居を考えてみてはいかがでしょうか。
新潟市は、信濃川と阿賀野川という二大一級河川の下流部に位置しているため、その豊富な水資源を活かした水田や田畑などの農地が盛んです。
市内の農家は1万3,000戸以上にも上り、3万4,100haという耕地面積は全国の市町村でも最も広いもの。
市としても「田園型政令市」を掲げており、発達した都市機能と農業機能を融合した将来像が描かれています。
市の中心部は確かに商業ビルが立ち並ぶ近代的な様相で、少し離れればのどかな田園風景が広がる穏やかな都市。
冬場の風雪が厳しいのは立地的に致し方ありませんが、体調管理に気をつけさえすれば問題なし。
高齢者がほのぼのと暮らしていくには最適な環境です。
前期高齢者は減少、後期高齢者は増加の見込み
新潟市は、2012年の81万1,386人をピークに年々総人口が減少しており、2023年時点では77万3,914人に。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
その一方で、徐々に増加していくのが高齢者人口です。
2010年時は18万7,371人でしたが、2023年時点では23万3,988人にまで増加。
高齢化率もそれに合わせて上昇し、2010年に23.2%だったものが2023年には30.2%にまで上昇しています。
要介護認定を受けている方の中のなかで「要介護2」が最も多い
新潟市における介護保険の要介護認定者は、介護保険制度が施行された2000年以降、年々増え続けています。
2010年時は3万1,585人でしたが、その後毎年1,500人以上増加し続けており、2024年時点で4万6,447人にまで増加しました。
新潟市内で要支援1~2、要介護1~5の認定を受けている人のうち、最も割合として多いのが「要支援2」。
2024年では8,150人の方が該当しています。
その次に多いのが、特養の入居基準である「要介護1」の7,899人。
以下多い順に挙げていくと、「要介護2」(7,770人)、「要介護3」(7,023人)、「要支援1」(5,742人)、「要介護4」(5,681人)、「要介護5」(4,182人)となります。
要介護認定者数の増加を受けて、介護サービス利用者数も年々増加。
2010年時点では2万9,545人でしたが、2024年には4万1,808人に増加しました。
介護予防の講演、教室などの支援を推進
新潟市では介護保険制度の改正により、2017年4月から「介護予防・日常生活支援総合事業」をスタートさせました。
この事業は「介護予防」と日常生活の自立支援のための「総合事業」からなり、このうち総合事業については、各市区町村が地域内の実情に合った独自の自立支援事業を行うことができます。
新潟市では高齢者向けにまず「基本チェックリスト」を配布し、生活機能や栄養状態、口腔機能や認知機能、こころの健康状態などに対する質問に、「はい」又は「いいえ」で答えてもらいます。
このチェックリストを実施して介護予防の取り組みが必要となる「事業対象者」と認められることで、訪問型や通所型の各種介護予防サービスを利用できます。
チェックリストのパンフレット、サービス利用の流れなどについては地域包括支援センターで入手できるほか、新潟市のホームページからダウンロードすることもできます。
その他、新潟市が独自に行っている介護予防関連の各事業としては、「幸齢ますます元気教室」(運動器および口腔機能の向上、栄養改善指導を行う教室)や「楽らく脳力アップ塾」(認知症予防への取り組み)があります。
また、デイサービスや特養などの各福祉施設で手伝いを行い、その活動の見返りとして1ポイント100円分のスタンプをもらう、「にいがたし元気力アップ・サポーター制度」など、介護予防に関する各種講演会、教室、健康づくり支援等が行われています。
新潟市の地域包括ケアシステムでは在宅・医療介護連携を推進
新潟市では「安心して暮らせる長寿社会の実現」という理念の下、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと生活し続けられるための「地域包括ケアシステム」構築が行われています。
行政の側が介護サービスの基盤整備や充実化を図るだけでなく、地域社会・市民レベルでお互いに支え合えるシステムを作り、高齢者の生活を支えていこうとするわけです。
新潟市の地域包括ケアは、基本的な方向性とその下にある5つの基本目標を基礎として成り立っています。
基本的な方向は、「健康でいきいきと生活する」「地域で安全な暮らしを続ける」「安心して暮らせる環境を確保する」の3つ。
この方向性の下に基本目標があり、
- 医療:在宅医療、介護分野との連携、認知症施策の推進
- 介護:介護保険サービスの充実
- 予防:介護予防、健康づくり、社会参加づくりの推進
- 住まい:住み替え先となる住まい・施設の基盤整備
- 生活支援:各種市による生活支援サービスの充実
の5つがそれぞれ挙げられています。
地域包括ケアシステムの構築は2015年の介護保険制度改正時に具体的に盛り込まれ、地域包括ケアシステムの構築のための地域支援事業の充実化(在宅・医療介護連携の推進、認知症施策の推進は2018年4月までに行う)が進められました。
また、全国一律の予防給付を自治体が取り組む地域支援事業に移行する(新潟市では年4月から実施)ことの規定をうけ、新潟市も介護、医療、生活支援、介護予防に力を注いでいます。
新潟市高齢者あんしん相談センターとは?
新潟市では、高齢者や障がい者の方に相談、サポートを行うための福祉総合センター事業が展開されており、そのうち高齢者関連のあらゆる相談を受け付けてくれる施設として、「新潟市高齢者安心相談センター」があります。
同センターは、高齢者が住み慣れた土地でいきいきと生活でき、介護が必要になっても自宅で生活し続けられるように、高齢者を総合的に支援することを目的とした機関。
高齢者向けの福祉サービスの情報を収集し、市内の高齢者に提供するというのが主な任務です。
相談内容として受け付けるのは、高齢者が日常生活で直面し得るあらゆる問題に関するもの。
在宅介護のことや生きがいや健康づくりに関すること、または認知症に関することや成年後見制度、買い物支援に関すること等さまざまです。
相談方法は、市内2ヵ所ある高齢者あんしん相談センターに直接来館する(新潟市総合福祉会館の1階と西区役所健康センター棟1階にセンターがあります)、もしくは電話をするという方法。
相談に掛かる費用は全て無料な上、話した内容・秘密は当然ですが固く厳守。
事前に予約する必要もないので、気軽にいつでも連絡することができます。
高齢者の相談先としては、市内各所に設置されている地域包括支援センターもあります。
地域包括支援センターは、社会福祉士、主任介護支援専門員、保健師・看護師など多様な専門家が常駐し、要介護認定の申請をはじめ専門知識が必要な問題を幅広く取り扱ってくれます。
一方、高齢者あんしん相談センターは「気軽に何でも相談できる」という点が魅力で、日常生活の中での些細な問題、不安を相談するにはちょうど良い機関と言えます。