高齢者が楽しめる観光施設が多いのが魅力の都市
宮崎県の南東部に位置し、県庁所在地である宮崎市。
平坦な土地が大半を占めていますが、南部には鰐塚山地がそびえ立ち、東側は太平洋に面した海岸線が続いています。
こうした立地条件から、独特の気象を生み出しています。
夏は、九州の一地方らしく高温多湿になるものの、ほかの地域と比べると低めの気温になることが多く、比較的しのぎやすいエリアといえます。
冬は晴天が続くことが多く、雪が降る確率がかなり低いなど、高齢者の生活には有利な点が目立ちます。
市の中心部は、商業施設や繁華街、オフィス街などが過去半世紀を通して発展しており、利便性に関しては申し分ありません。
また観光産業にも市全体で力を入れており、フェニックス・シーガイア・リゾートのような広い世代が楽しめる施設から、宮崎温泉や青島温泉のような高齢者に好まれる施設までバラエティ豊かです。
宮崎市の交通事情は、鉄道・道路・空路とあらゆる方向に発達してきました。
鉄道会社はJRのみですが、日豊本線、日南線、宮崎空港線の3線合わせて20以上の駅を設けています。
宮崎空港線は名前からもわかるように空港へ直結しており、空路を利用する方には非常に便利です。
道路事情に関しては、市内で特に重要な役割を引き受けているのは、宮崎自動車道と東九州自動車道でしょう。
インターチェンジやパーキングエリアなど、それぞれ数ヵ所ずつ持っています。
宮崎市は県庁所在地であることから、市内の人口は長らく成長を続けていましたが、21世紀に入ってからは伸び方が落ち、現在は横ばい状態となっています。
人口が減少している都市が多いなか、宮崎市の人口は減少に転じていないことから、少子高齢化の状況は県内のほかの地域と比べると恵まれています。
高齢者施設に関しては、市内では民間・公営を合わせると、すでにかなりの数の施設が建てられています。
地域差はどうしてもあるものの、選択肢に幅があるといってよいでしょう。
民間の施設に限って見ても、建物や敷地の面積が広くゆったりとしたライフスタイルを味わえる施設や、入居一時金・月額使用料ともにリーズナブルな施設など、独自のセールスポイントを持っている施設が見受けられます。
細かくチェックしていけば、理想の施設に出会えるかも知れません。
宮崎市の高齢化率は2023年に28.8%まで上昇
宮崎市は、青島など観光資源に恵まれた街で、プロ野球チームやプロサッカーチームのキャンプ地になるなど人気があります。
観光客が多いのが特徴で、全国的に人口が減る都市が多いなか、宮崎市の人口は横ばい状態となっています。
しかし、ほかの市同様に、高齢者数は増加の一途をたどっています。
1970年の総人口は約25万4,000人、0歳~14歳までの年少人口の割合は24.5%、高齢者数は約1万7,000人、高齢化率は7.0%でした。
1990年の総人口は約34万3,000人、0歳~14歳までの年少人口の割合は20.7%、高齢者数は約3万9,000人、高齢化率11.2%。
1990年代前半までは、5人に1人が子どもという状態でした。
しかし、2010年の総人口は約40万1,000人、0歳~14歳までの年少人口の割合は14.6%、高齢者数は約8万5,000人、高齢化率は21.4%に。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
2015年の総人口は約40万1,000人、0歳~14歳までの年少人口の割合は14.3%、高齢者数は約10万2,000人、高齢化率は25.4%となっており、4人に1人は高齢者という状況になりました。
そして、2023年には高齢化率28.8%。2030年には32.4%、2040年には36.1%、2060年には37.9%まで上昇すると推測されています。
年齢別に見ると、特に75歳以上の後期高齢者が増え続けるようです。
高齢者のいる世帯も増えており、1980年の高齢者がいる世帯数の割合は16.7%。
2000年にその割合は26.6%となり、4世帯に1世帯は高齢者のいる世帯となりました。
そのなかでも、高齢者の独り暮らしや高齢夫婦のみの世帯が増えているのが特徴です。
2020年の高齢者のみの世帯は4万6,222世帯であり、うち高齢者の独り暮らし世帯は2万2,817世帯、高齢夫婦世帯は2万3,405世帯。老老介護や孤独死問題への対処が喫緊の課題となっています。
宮崎県の要支援・要介護認定者数
宮崎市では、年々要支援・要介護認定者が増えています。
2010年時点では1万1,918人でしたが、2015年には1万6,786人、2020年には1万8,512人、2024年で1万9,385人と推移。
なお、2024年時点での利用サービスをみると居宅サービスが73.2%と大半を占めている状況で、次いで地域密着型サービスが14.1%、施設サービスは12.7%。
宮崎市の在宅介護をできるだけ続けながら居宅サービスを利用している状況が浮かび上がってきます。
「宮崎市民一斉ウォーキング」を開催し介護予防を促進
宮崎市は介護予防に力を入れており、栄養指導や体操、ストレッチなどにより、心身機能の維持・向上ができる介護予防を実施。
さらに、社会での居場所や仲間づくりやが、結果的に生きがいとなり介護予防につながるとして、高齢者が集まりやすい場所の確保や、高齢者の外出の支援などをしています。
「宮崎市いきいき健幸体操」は、転倒予防運動・尿失禁予防運動・骨粗鬆症予防運動・認知症予防運動・口腔機能向上運動・持久力向上運動など、さまざまな健康に良い運動が組み込まれています。
実際に、「宮崎市いきいき健幸体操を続けることで元気になった」という高齢者の声も聞かれます。
音楽に合わせて体を動かすなど、楽しく継続できるのがポイントです。
総合型地域スポーツクラブでは、簡単なテニスやバドミントン、バレーなどの運動や、絵手紙教室などが楽しめますし、青島パークゴルフでは、仲間とパークゴルフが楽しめます。
宮崎市社会福祉協議会が窓口となり、「軽ケット」などの高齢者向けスポーツ用具の貸し出しを実施中です。
また、地区別のラジオ体操会は「みんなでラジオ体操をするので続けやすい」と好評です。
筋力向上トレーニング事業では、マシンを使った筋トレや集団体操を行います。
60歳から参加できる会員制の体操教室で、「外出が辛くなくなってきた」といった感想も出ています。
毎年10月には「宮崎市民一斉ウォーキング」が開催され、子どもから高齢者まで誰でも参加可能です。
宮崎市では高齢者だけでなく、ほかの世代も参加できる介護予防事業もあるのが特徴です。
宮崎市独自の地域包括ケアシステム「ぐるみん宮崎」
宮崎市では、地域包括ケアシステム「ぐるみん宮崎」を推進しています。
「ぐるみん宮崎」は、医療、介護、医療介護連携、介護予防、生活支援、住まい、認知症の7つの分野から高齢者をサポートするシステムです。
内容としては、訪問介護や訪問看護の充実、病院と介護事業所の連携、体操教室の実施、ゴミ出し代行や配食サービスなどの実施、介護施設の整備、認知症高齢者サポート体制の整備などを行っています。
地域ぐるみの包括的なケアシステムの構築には、地域住民やNPO団体などの協力が必須のため、宮崎市はさまざまなNPO団体と連携協定を結んでいます。
活動拠点を構え、高齢者の送迎や地域づくり活動などを行うグループ活動を支援することで、地域の活性化にも一役買っています。
また介護支援ボランティア制度事業では、65歳以上の高齢者が老人福祉施設で清掃などの活動補助などを行うことで、ポイントがもらえる制度を実施。
貯まったポイントは換金できるため、やりがいや生きがいになっているのが魅力です。
さらに、ボランティアをすることで「誰かの役にたっている」という感覚を持ち続けることができ、自立した精神が保てると好評です。
このように、宮崎市はさまざまな角度からの高齢者支援を行っています。
今後、2025年になると団塊の世代のがすべて75歳以上となり、後期高齢者が一気に増えます。
宮崎市は超高齢社会の到来に向け、さらなる高齢化対策や介護予防、高齢者福祉サービスなどを充実させるため計画を練り、地域包括ケアシステムを構築中です。
宮崎市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
宮崎市では、高齢者向けの相談窓口も多数用意されています。
宮崎市総合福祉保健センター内の、日常生活自立支援事業「あんしんサポートセンター宮崎」では、認知症などで判断力が低下している人のために、福祉サービスの利用支援やサービスに関する苦情などを受け付けています。
また、金銭や書類の管理代行サービスなどを行い、高齢者の権利を守り、自立した地域生活が送れるように努めています。
金銭や書類、判子などの保管に関する悩みや、虐待などによる権利侵害について相談が可能です。
相談は無料ですが、金銭管理などは有料。
しかし公共料金や医療費の支払いなど、日常的な金銭の出し入れを代行してもらえるのは魅力です。
「総合福祉相談事業」では、福祉に関することや、日常生活で困っていることを相談できます。
外に出られない人を対象に、電話相談も対応。
さらに、弁護士による予約制の法律相談も行っていますので、難しい法的な相談も可能です。
また地域包括支援センターでは、高齢者やそのご家族、地域住民の総合相談窓口となっており、「自分が利用できる介護保険サービスはあるか?」「一人暮らしの親が心配」「介護が辛いので休みたい」「振り込め詐欺かもしれない」「隣のおばあちゃんを最近見かけない」などなど、高齢者に関する相談なら何でも受け付けています。
さらに、「生活福祉資金の貸付事業」では、生活困窮者や高齢者世帯などを対象に、経済的自立を目的とした貸付事業を実施。
「宮崎市自立相談支援センターこれから」でも、経済困窮などで生活に困っている人のサポートをしていますので、「お金がなくて暮らしていけない」といった相談も可能です。