月額利用料が15万円以下のサービス付き高齢者向け住宅も
姫路市は、兵庫県の南西部にある都市です。
三大荒神興の一つである「灘のけんか祭り」など播州の秋祭りが有名で、開催時期には国内外からの観光客で賑わいます。
姫路市の人口は2013年に総人口が約52万人となり、高齢者人口は約12万人、高齢化率は23.7%でした。
その後、2023年には総人口52万8,459人、高齢者人口14万3,733人、高齢化率27.2%と人口は横ばいですが、高齢者は増加しているため高齢化が進んでいます。
このペースで今後10年、20年と上昇し続けると、やはり深刻な高齢化問題に直面するでしょう。
そういった状況のなか、姫路市は高齢者のための福祉を充実させています。
高齢者優待制度があり、公共施設が無料で利用できるサービスだけでなく、バスや電車、船舶の優待制度もあります。
また「生きがいデイサービス」という、高齢者が気軽に参加して昼食などが食べられるサービスを実施しています。
料金が安く利用しやすいのが特徴です。
また市の介護保険課が、特別養護老人ホームからグループホーム(認知症高齢者ホーム)まで、さまざまな介護用施設の空き室状況を把握し、一覧表を作成しています。
これは全国的にも非常に珍しく、姫路市の介護や高齢者福祉に対する熱意の表れといえるでしょう。
市の介護保険課のページを見れば、どの施設がどれくらいの待ち状況なのか、一目でわかるようになっています。
介護施設の料金は、介護度によってさまざまですが、サービス付き高齢者住宅であれば、月額利用料15万円以下の施設もあります。
経済状態や介護度に合わせて、比較検討してみると良いでしょう。
しかし満床状態の施設が多く、特に特別養護老人ホームなどは待ち人数を考えると、よほど介護度が重くない限りすぐの入居は難しい状況です。
先に希望を出しておいて、順番待ちの間は、一般企業が経営しているサービス付き高齢者住宅や介護付き有料老人ホームを上手に使っていきましょう。
入居待ちで自宅介護をしている時期も、介護付き有料老人ホームのデイサービスや小規模多機能型居宅介護は通所が可能です。
そういったサービスを活用しながら自宅介護を行う方法もあります。
またそのような方々のために、市が在宅高齢者介護手当(月額1万500円)の支給を行っています。
施設入居や詳しい介護方法などについては、介護保険課の相談係や地域包括支援センターのケアマネージャーに遠慮せず聞きましょう。
具体的なアドバイスがもらえ、無理のない介護計画をたてることができます。
姫路市の高齢化率は2035年には30%に到達する見込み
姫路市は、2006年に周辺4町と合併し拡大しました。
商工業が盛んな街で、2023年の調査では人口52万8,459人と兵庫県内第2位の人口を誇ります。
世界文化遺産「姫路城」などの観光スポットがあることでも有名です。
しかし、総人口や子どもの数は減少傾向で、高齢者数は増加傾向にあり、少子高齢化が進む街のひとつです。
2006年の0歳~14歳までの年少人口は8万4,471人、65歳~74歳までの前期高齢者の人口は5万8,357人、75歳以上の後期高齢者人口は4万4,256人で、高齢化率は18.8%でした。
2023年の年少人口は6万7,411人、高齢者数は14万3,733人で、高齢化率は27.2%。
2023年の高齢化率は、全国平均の29.0%を下回っていますが着実に高齢化は進んでいます。
4人に1人以上は高齢者という状況です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
さらに、高齢化率は2035年には31.3%、2040年には34.5%まで上昇すると推測されています。
2025年には団塊の世代がすべて75歳を超えるいわゆる「2025年問題」を目前にし、姫路市は高齢者の介護予防や健康維持事業に力を入れています。
姫路市は、超高齢社会および長寿社会の中で、地域包括ケアシステムなどを構築することで、高齢者が自分らしく健康的に暮らせる環境を整えようとしています。
高齢化から介護保険サービス利用は毎年増加
姫路市では、高齢者人口の増加にともなって、要介護認定者の数も年々増加しています。
2012年には約2万5,000人だった認定者数は、2016年には約2万9,000人、2024年には3万3,601人と3万人を超えています
高齢者がいる世帯は徐々に増えており、特に高齢者の一人暮らしや、夫婦ともに65歳以上という高齢夫婦世帯が増加。
そのため、高齢者の孤立化や老老介護も問題となっています。
グループホームの増設などで施設サービスが充実してきたおかげで、在宅寝たきり高齢者や、在宅認知症高齢者は減ってきていますが、一人暮らしの高齢者は年々増えているのが現状。
姫路市では見守りや声かけなどを強化し、安否確認を積極的に行っています。
姫路市では、自宅での自立した生活の維持や老老介護の軽減のためにも、介護保険サービスを普及させています。
居宅サービスは内容が豊富で、家事代行や身体介護をしてもらえる訪問介護、看護士による医療ケアが受けられる訪問看護、介護ベッドなどが借りられる日常生活用具給付、理学療法士が訪問してリハビリを指導してくれる訪問リハビリテーションなどがあります。
さらに、レクリエーションや入浴、食事などができるデイサービス(通所介護)や、器具を使って本格的なリハビリができる通所リハビリテーションなどを併用している人が多いです。
また、要支援・要介護認定者がよく利用している施設サービスとしては、特別養護老人ホームやケアハウス、グループホームといった介護施設が挙げられます。
地域包括支援センターのケアマネージャーに相談すると、必要な介護保険サービスを紹介してくれます。
介護度によって、介護保険に適用される利用回数などが決まっていますが、サービスの利用条件や詳細について、ケアマネージャーが詳しく説明してくれるでしょう。
生涯現役ガンバルンバ体操で介護予防を推進
姫路市では、さまざまな介護予防事業を実施しています。
体調不良が重症化してしまう高齢者が多いので、姫路市ではマッサージなどの施術料金助成事業を行い、健康維持のサポートを行っています。
筋力低下による転倒、骨折などを防ぐ目的で開発された「生涯現役ガンバルンバ体操」では、ルンバのリズムに乗って歌いながら楽しく体が動かせます。
椅子に座って行うこともでき、身体の状態に合わせて行えるのが魅力。
関節や筋肉を効果的に動かせるため、柔軟性や筋力アップ、バランスアップ、脳の活性化につながります。
生涯現役推進室に希望を出せば、体操の方法がわかるDVDやCDが無料でもらえますし、体操の普及活動をしている「ガンバルンバ体操ひろめ隊」が、デイサービスなどに訪問して一緒に体操してくれる場合もあります。
また、保健センターや地域包括支援センターが行っている「いきいき百歳体操」では、ウェイトを使った筋力運動を行い、筋力アップを目指しています。
姫路市保健所が、体操に使うDVDやウェイトの貸出しを行っており、公民館や趣味サークルなどで実施されています。
週1~2回開催されるので、生活にリズムができるのがポイント。
「続けていたら日常生活が楽になった」という人も多いです。
そして、「高齢者の健康づくり」「歯周疾患、お口の手入れ」「栄養バランス、食生活のポイント」など、健康に役立つ勉強ができる、健康教室を開催。
保健所健康課に希望を出せば、出前講座を開催してもらえます。
さらに、引きこもりや寝たきりを防止するために、高齢者の外出促進も実施。
高齢者向けの生涯学習講座やイベントを開催しています。
「ふるさと・ひめじプラン2020」を展開している
姫路市では、包括的に高齢者をケアするため、介護、医療、住まい、そして介護予防・生活支援を柱とし、それぞれの視点から高齢者福祉サービスを実施しています。
また、さまざまな福祉事業の連携や、情報共有にも力を入れています。
介護家族支援事業では、高齢者だけでなく介護する家族をサポートするため、相談会などを開催しています。
サービス付き高齢者向け住宅など、高齢者向けの住まいを整備。
認知症高齢者が増えている姫路市では、グループホームなどの認知症対応の施設も増設中です。
また、健康診断や予防接種、健康体操などを通し、高齢者の健康維持・向上にも一役買っています。
介護予防につながる「生きがいづくり」にも目を向けており、高齢者の活動の場である「老人クラブ」や、地域のボランティア活動などを支援しています。
一人暮らしの高齢者が増えるなか、生活支援のニーズは高まっています。
姫路市では、自宅で生活している高齢者が快適に暮らせるよう、さまざまなサービスを提供。
自宅内の段差解消のための高齢者住宅改造助成、お弁当の配布および安否確認を行う一人暮らし老人給食サービス事業、入浴補助を行う一人暮らし老人入浴サービス事業などを展開しています。
姫路市は、総合計画「ふるさと・ひめじプラン2020」や、高齢者保健福祉計画、地域福祉計画などの福祉関連の計画を実行し、高齢者が暮らしやすい社会を構築中です。
姫路市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
姫路市では、高齢者のための相談窓口を設置しています。
姫路市社会福祉協議会による総合的な相談窓口「福祉総合相談」では、高齢者や介護をしている家族を対象に、介護や福祉サービスだけでなく困りごとなら何でも相談できます。
流れとしては、フリーダイヤルにまずは電話で予約。
その後職員が自宅へ訪問し、問題内容を詳しく聞きます。
そして社協支部活動保健福祉サービスと連携し、解決に向けたアドバイスや支援を行います。
例えば「一人暮らしだが腰を痛めてしまい、買物などに困っている」といった場合、社協職員が訪問して介護保険の申請などを支援。
家事援助サービスが利用できるようになる、といった流れです。
「諸事情で一緒に暮らせていないが、今年88歳になる一人暮らしの母が心配」といった相談も可能なので、気軽に話してみると良いでしょう。
また地域包括支援センターでは、高齢者の身近な相談に対応しています。
「体力に自信がない」「外出が億劫になってきた」などの小さな悩みも相談できます。
ご家族や地域の住民も利用可能で、「最近、父のもの忘れがちょっと酷くなってきた」といった心配ごとも相談できます。
虐待や振り込め詐欺被害、認知症による徘徊などの深刻な悩みごとの相談も可能で、状況に応じて専門機関やスタッフを紹介してもらえるなど、具体的なアドバイスや支援を受けられます。
「姫路市生活困窮者自立相談支援事業」では、「生活費に困っている」といった、金銭的な悩みを相談できます。
専門の相談員が他の専門機関と連携しながら解決策を考えてくれるので、困っている人は遠慮なく相談すると良いでしょう。