こんにちは。
訪問リハビリブログ「リハウルフ」管理者の杉浦良介です。
何らかの病気により障害を患って、リハビリで少しずつ体が元気になってきても、完治せず、なかなか前向きになれない方も多いのではないでしょうか?
今回は、そのような方に向けた「回復の促し方」についてお話をさせていただきます。
心と体をセットで考えていくことが大切
入院中からリハビリを見守っていたご家族からすれば、在宅で介護をする中で「何でもっとリハビリをやらないの?」と、疑問に感じてしまうこともあるのではないでしょうか?
バリバリ仕事をしていた人が、急に脳梗塞がで体が不自由になった場合で考えてみましょう。
リハビリを通して、体がある程度元気になったとしても、「完全に元通りにはなっていない」状態の場合、ご本人の気持ち(心)が前向きにならないのは当然のことだと思います。
現在、脳梗塞などを発症すると、急性期病院に数日または数週間入院した後、回復期病院で数ヵ月入院して退院するような流れになっています。
今まで健康な体で、仕事や趣味を好きなようにできていた生活が急変することは、障害を患ったご本人にとってとてもつらいことだと思います。
- トイレに行くまでに、こんなに時間がかかるのか
- ご飯を食べるのがこんなに大変なのか
- 家族に手伝ってもらわないと生活できないのかな
- こんなこともできなくなってしまったのか…
「リハビリをすれば身体機能が回復するかもしれない」ということは理解できていても、たった数ヵ月では気持ちがついていかないこともあるのです。
回復のために「もっと運動しよう!」「もっと頑張って!」と、ただただ促すのではなく、心と体をセットで考えていくことが必要です。
障害受容のプロセスを理解しよう
ご家族の方は、「障害受容のプロセス」の存在を知っておくことで、障害を患ったご本人の理解者になれるかもしれません。
ここでは障害受容のプロセスの例を紹介します。
有名な障害受容のプロセスの分類に「コーンの分類」というものがあります。
このプロセスは、突然の身体障害(後天性障害)を患った方の障害受容の過程を示しています。
【コーンの分類】
- 1.ショック
- 大きな混乱により、事態を理解できていない
- 2.回復への期待
- 障害がなくなり、すぐに治ると思っている
- 3.非嘆
- 希望を失い、無気力で回復意欲を失っている
- 4.防衛
- 「これまでと何も変わらない」と思いながら、それまでに行っていたことに執着する
- 5.適応
- 障害は「人と違う部分」であるだけで、悪いものではないと受容する
このように、障害を受容するためには、5つのプロセスを踏むと言われています。
ご家族からすれば、リハビリをして、どんどん回復して欲しいという気持ちがあるかと思いますが、「今は5つのプロセスのこの時期だから、あんまり無理はさせちゃダメかな?」と、考えることも大切なのかもしれません。
ご本人の1番近くにいるご家族だからこそ、障害を患ったご本人の理解者になってあげられるかが大切です。
小さな成功体験の積み重ねが、心身の回復につながる
身体機能の回復と心の回復をセットで考えるために、良い方法を1つ紹介します。
それは「小さな成功体験をつくること」です。
より良い生活に向けて回復していくためには、目標設定が大切です。
最初から大きな目標を立てるのではなく、小さな目標をクリアしていくことで、それが自信となって、最終的な目標達成につながります。
- 階段を登れるようになるために、まずは1日1段ずつクリアしていく
- 補助なしで歩けるようになるために、まずは杖を使用する
- 遠くのスーパーに行けるようになるために、まずは近くのお店に行ってみる
- ゴルフができるようになるために、まずは芝生で安定した歩行を獲得する
「できた!」という達成感を得ることで、心(気持ち)が前向きになります。
小さな成功体験を積み重ねることで、「これができたのだから、もっと違うこともできるのではないだろうか?」と挑戦心が湧き、リハビリなどに対しても前向きに取り組めるという好循環をつくることができます。
「もっと回復してほしい!」という、ご家族の皆さんの気持ちは、ご本人も一緒のはずです。
しかし、状態によっては心がついていかないこともあるのです。
まずは、障害受容のプロセスを理解し、小さな成功体験を積み重ねていくことが、より良い生活への近道かもしれませんね!