近年、介護施設ではテレビゲームが認知症予防や利用者のADL・QOLの維持のために活用される場面が増えています。
この記事では、介護施設で行われているテレビゲームを使ったレクの効果とメリットについて解説いたします。
テレビゲームをレクに取り入れ身体機能を維持した事例
介護施設では、認知症予防や歩行を含めた日常生活の維持のためにレクリエーションを毎日のように行っていますが、勤務しているスタッフの数が少ないと、思うようにできない場合があります。
私が勤務していた介護施設でも、スタッフが少ないことで困ったことがありました。そこで、簡単にできるテレビゲームを取り入れました。
問題点
- 利用者が体操好き、歌好き、まったり好き、手作業好きなどのグループに分かれている
- 介護度も要支援~要介護までさまざまで、対応するスタッフ1~2人では思うようにレクリエーションが盛り上がらない
使用したゲーム名
- 顔ジャンケン
- ビンゴ
- 野球拳
参加人数:15名
実施時間:月曜~土曜 14:00~15:00
利用者の介護度:要支援~要介護
スタッフ:2名
「コミュニケーションが増えた」など喜びの声
利用者
- 画面を見ながらのレクリエーションは、自然と体が動く
- これまでと違い、男性でも楽しめるゲームができて楽しかった
- 普段あまり話をしない人とテレビゲームを通して話をする機会が増えて良かった
スタッフ
- 担当スタッフが少なくても多くの利用者の支援ができる
- 楽しく体を動かす、頭を働かせることにより認知機能や身体機能が維持できる
- 以前より利用者とのコミュニケーションが増えた
テレビゲームを導入することによって、少ないスタッフ数でも多くの利用者の参加を促し、レクを楽しんでもらうことができたのです。さらに、利用者の認知症予防や歩行などの機能維持に一定の効果もみられました。

テレビゲームが高齢者にもたらす効果
テレビゲームは、高齢者の健康を維持するのにとても良いレクリエーションだといえます。
その効果をまとめると以下のようになります。
- 認知症予防
- テレビやモニターでゲームをすることにより、「新しいルールを記憶する」「左右の指先を使う」「笑う」など、脳に刺激を与えて認知機能の低下予防が期待できる。
- 反射神経を刺激する
- 対戦ゲームやカーゲームなどは、ゲームのキャラクターに合わせて体を動かすので、自然と反射神経が良くなる。
- コミュニケーションが高まる
- 同じゲームを楽しむことにより、顔なじみの人だけでなくあまり親しくなかった人とも会話する機会ができる。施設内では、より人間関係がスムーズになり、メリハリのある毎日が過ごせる。
また、特に介護施設内で行うことによるメリットを挙げてみます。
- ゲーム機の設置が短時間で済む
- 1人の担当者が、多くの利用者を支援できる
- 書類作成の時間ができたり休息時間が確保できるので、スタッフの負担が少なくなる
- バラバラに分かれた高齢者のグルーブを一つにまとめやすい
囲碁、将棋、パズルなどの脳トレ、動物の飼育、車、対戦など種類が多岐にわたり、個人の趣味に合わせやすいのも特徴です。
新しい趣味として長く続けられるうえに、近年は持ち運び可能なゲーム機器も多く、シチュエーションに合わせて楽しめるという点は、高齢者にとってもメリットの多いレクリエーションだといえるでしょう。
最近では、テレビゲームが競技スポーツとして公民館や介護施設でも取り入れられています。愛好者も若い人から高齢者まで幅広く、なかには80歳の高齢プレーヤーもいる素晴らしいスポーツです。
インターネットの環境があれば、ほかの施設とも一緒にプレイできるので、スポーツ大会として運用しているデイサービスセンターもあるほどです。
新型コロナウイルスの影響で外出の機会は減少していますが、テレビゲームは利用者もスタッフも同じ視点で楽しめる新しいレクリエーションとして、高齢者の健康を向上する素晴らしいレクの一つだと思います。
