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第38回

唾液は介護予防のカギ?知っておきたい高齢者の唾液分泌量を保つ方法

最終更新日時 2022/10/20
#介護予防
目 次

「唾液が減ってきた」「口が渇くようになった」と感じる高齢の方も多いのではないでしょうか。

唾液が大切であると聞いたことがあっても、具体的にどのような役割を果たしているかは、あまり知られていません。

そこで今回は、唾液の基本的な機能、高齢者の唾液の特徴、唾液を保つ日常生活についてお伝えします。

唾液の基本的な機能について

唾液は3大唾液腺といわれる、耳下腺、顎下腺、舌下腺と、口の中の粘膜にある小唾液腺から、1日1~1.5リットルほど分泌されています。

よく唾液分泌を促すために耳の前あたりを刺激すると良いといわれることがあります。これは耳下腺を圧迫することで、一時的に唾液分泌を増やすもので、持続的に唾液分泌が増えるわけではありません。

なぜなら唾液腺に流れる血液の量が、唾液を分泌する速度に影響しているからです。

そのため、唾液を分泌するためには、手足の筋肉を動かすのと同様に、多くのエネルギーや酸素を必要とします。

また、唾液は99%以上が水ですが、体に大切なIgA、重炭酸塩、ムチン、アミラーゼなど、さまざまな成分を含んでいます。

IgA
唾液に含まれる菌が増えるのを抑制する物質で、乳酸菌などの善玉菌といわれる良い菌を阻害せずに、多くの悪い菌を除去してくれます。また、腸内環境を整える働きもしています。
重炭酸塩
酸性・アルカリ性の程度を一定に保つように働く物質です。食べ物を食べた後は口の中は酸性になりやすく、酸性になるとむし歯ができやすくなります。そのため、中性に戻す重炭酸塩の働きは重要になります。
アミラーゼ
糖をデンプンに分解する消化酵素です。口の中に入れた食べ物を飲み込みやすくしてくれています。
ムチン
唾液中のネバネバした成分です。食物をやわらかくするだけでなく、食道の粘膜表面に付着して、食べ物の通りを滑らかにする潤滑油のような働きもしています。

唾液には、こうした体に大切な成分が含まれており、食べる行為や感染予防など、多くの働きを担っています。

唾液には大切な成分が含まれている

唾液が減るのは加齢ではなく、病気や薬の影響が大きい

のどが渇いて夜中に目が覚める、クラッカーなど渇いた食品が食べにくいという症状により、年をとって唾液が減ってきたと感じる高齢者は意外と多くいらっしゃいます。

実際に、唾液をつくる細胞が加齢とともに萎縮するという考えもありますが、一般的に加齢による影響では唾液分泌量の低下は起こりにくいとされています。

実は、高齢者が「唾液が減った」と感じるのは、さまざまな病気と、それらの疾患のための薬の使用によっての二次的な影響が生じているものだと考えられています。

例えば、胃の痛みを止める作用のある抗コリン剤や、喘息などに使用される抗ヒスタミン剤には、「口が渇く」という副作用が起こりやすくなっています。

唾液を保つための3つのポイント

口の中でおいしいと感じる

唾液は、口の中で食べ物に水分を与える潤滑液のような働きをして、飲み込みやすくしています。

味覚からの刺激により、咀嚼中に多くの唾液が分泌されます。口の中に食べ物が入り、舌にある味蕾という部位で味覚を感じたときや、噛んで歯ごたえを感じたときに反射的に唾液は分泌されるからです。

また、酸っぱいものや甘いもの、おいしいと感じる食べ物でも無条件に唾液が出てきます。

そのため、少しでも噛んで、おいしいと感じながら食べることが、日常生活の中で唾液を保つために大切になるのです。

また、食べた物が食道や胃に送られると、それ自体が刺激となり、さらに唾液が分泌されてきます。

まずは、しっかりと噛んでおいしく食べることを意識しましょう。

口に入る前からおいしさを感じる

唾液は食べ物を口に入れたときだけでなく、食事のときの環境や、お腹がすいたと感じることでも刺激を受けて分泌されます。

そのため、食事の際には、リラックスした環境がとても大切です。

食事介助で早く食べないといけないような緊張感があると、食べる前からストレスで唾液分泌が悪くなり、口が渇いた状態になってしまうことも。

また、食べる前からおいしいと感じるには、今まで食べておいしかった記憶を想起したり、食べ物の臭いや見た目で、おいしい食べ物を連想する必要があります。

その人の嗜好や、今までの食生活を考えて食事を摂ってもらうこともポイントです。

加えて、ある程度運動をして、空腹状態にすることも意識しておくと良いでしょう。

寝る前の口腔ケア

分泌時の唾液は、ほぼ無菌の状態です。その後、フィルム状になり口の中をめぐって、口の中の汚れ、細菌などが唾液のフィルム内に広がり、やがてそれらを飲み込みます。

これを何度も繰り返しながら、口の中の汚れは徐々に薄くなっていきます。しかし、寝ている間はほとんど唾液は分泌されていないとされています。

そのため、夜間には口の中の自浄作用が低下し、細菌が増えやすくなって、プラーク(歯垢)もつきやすくなります。

口の中の汚れを防ぐには、寝る前に口の中を十分にきれいにしておくことが大切です。

寝る前の口腔ケアを大切に!

高齢者がこまめに水分を摂っていたら注意が必要

「のどが渇いた」と感じたとき、水分をゴクゴクと飲む場合とこまめに飲む場合があります。

ゴクゴクと飲む場合は脱水でのどが渇いている傾向がありますが、こまめに飲む場合は唾液の分泌が悪いために口が渇いていると考えられます。

このような状態が続く場合は、糖尿尿や自己免疫疾患などの病気、薬の影響の場合もあるので、かかりつけ医などに相談しましょう。

唾液は、私たちが健康に過ごすためのさまざまな機能を持っています。日常的に、唾液の状態を意識して生活しましょう。

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