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第42回

介護は家族に頼らない!キーパーソンとして果たすべき役割とは?

最終更新日時 2020/09/02
#親の介護 #介護保険サービス
こんにちは。ケアマネの小川風子です。今回は「介護における家族の役割と、家族介護はしなくも良い理由」についてお話させていただければと思います。

こんにちは。ケアマネの小川風子です。今回は「介護における家族の役割と、家族介護をしなくても良い理由」についてお話させていただければと思います。

介護はプロに外注するもの

私が居宅のケアマネとして働いてきた10年間、ずっと同じ事業所で勤務しています。そして、その事業所は私が生まれ育った地域(以下、地元)にあるので、ほかの地域の実情についてはあまり詳しくありません。私の地元は都会ではないけど田舎でもなく、それなりに人口の多いところです。昔はともかく、今は二世帯・三世帯同居というのはほとんど見かけません。仕事でかかわる高齢者やその近所の高齢者もほとんどが独居、もしくは夫婦のみで暮らしております。

そういった地域で暮らし、働いている私からすると「介護というのは介護保険を使ってプロが行うもの」という意識が強く、介護における家族の立ち位置は「大事なところだけ登場してもらうもの」と思っています。

ところが、ネットで日本中の方から介護相談を受けるようになり、その意識がメジャーではない地域もあるということを知りました。

繰り返しになりますが、私の持論は「介護はプロに外注する」というもの。このスタンスでずっとケアマネの仕事をしていますし、私の地元ではそれがスタンダードな形になっています。ただし、「キーパーソン」という形で必ず家族にはその介護にかかわってもらわないといけません。

まずは緊急連絡先とキーパーソンを決めよう

前述しましたとおり、家族に率先して介護をしてもらう必要はありません。しかし、介護保険サービスを利用する場合はまず「緊急連絡先」と「キーパーソン」を決めていただく必要があります。

緊急連絡先は文字通り、何かあったときに連絡する場所のことですが、ここでいう「キーパーソン」とは、介護保険の手続きやケアプランについて決定権を持つ人のことを指します。緊急連絡先とキーパーソンは同じ人の場合もあるし、違う場合もありますね。

なぜキーパーソンを決めるのかというと、介護保険のサービスはすべて契約に基づいて行うからです。新しいサービスを始めるときはそういった契約の内容を確認し、たくさんの書類に記入をしなくてはいけません。そしてサービス開始後も、要所で何かを決定したり、判断することが求められます。ところが、介護保険の特性上、利用者の皆さん全員が自分の判断でできるわけではありません。サービス開始時は、自分できちんと判断や手続きができた方も、年月が経つと難しくなり、誰かの支援が必要になる場合もあります。そういった際に登場していただくのがキーパーソンです。

原則は家族が行います(家族がいない場合は、後見人がなる場合もあります)。もちろん判断能力に問題のない場合は、ご本人がすべてを決められることもあります。とはいえ「キーパーソンを自身にする」という設定はしませんので、本人の次のキーパーソンとして別の方を指名していただきます。

家族がキーパーソンとなることで家族支援になる

身体介護が必要であれば介護サービスを頼ろう

次に、私が「家族介護」ではなく「介護サービス」を勧める理由を説明いたします。冒頭でご説明した通り、私が働いている地域では同居をしている利用者さんはほとんどいません。介護が必要になったら、一般的には介護サービスの導入を検討します。

ただ、ご夫婦で生活されている方は少なからずおりますので、その場合は配偶者に「どれほどの介護力があるのか」、聞き取りをします。配偶者の健康状態や家事能力に問題がなければ、生活援助の導入は難しいからです。もし問題がなければ家事は配偶者にお任せすることが多々あります。

しかし頻回なおむつ交換や入浴介助といった、身体介護が発生する状況であれば、介護サービスの利用をお勧めします。金銭的な問題や本人の拒否、こだわり、もっと言えば世間体から介護サービスの導入を渋られることもあるのですが、「家族が介護をして共倒れになったり、そこから関係が悪くなる方が後々につらいですよ」と説得します。

家事以外の介護については、まず介護サービスを利用するケアプランを提案します。同居の場合も対応は同じです。もし利用者が独居で、キーパーソンを含む家族が離れて暮らしている場合でも、家族の介護力をあてにすることはほとんどありません。通院の場合は介護保険の利用が難しいのでお願いすることはありますが、基本的にはそれだけです。「それだけ?」と思うかもしれませんが、それだけでも十分生活ができるように介護保険はつくられています。

もし「配偶者や家族に介護をしてもらいたい、そうするべき」と思っている利用者がいましたら、「家族は介護をするための人ではない」「介護を無理して行えば、家族関係が悪化する可能性が高い」と説得。これはケアマネの大切な役割だと思っています。

介護サービスを導入していれば家族介護はしなくても良い

家族が介護をしていない要介護5の事例

それでも介護保険にあまり詳しくない方だと、介護サービスだけで在宅生活を送るのは難しいと思われるかもしれません。しかし、実際に私が担当した利用者で、要介護5で「寝たきり」の状態でありながら、介護サービスを使って一人暮らしをされている方が2人いらっしゃいました。

本人の様子や状態にもよりますが、日々の生活支援はヘルパーに自宅へ来てもらい、入浴はデイサービス。医療は居宅療養管理指導で医師や薬剤師が訪問し、疾患によっては医療保険で訪問看護を使っていました。このあたりを上手に組み合わせれば、在宅生活は可能です。

ご家族は週に1回ほど様子を見にきて、掃除や洗濯、買いものをすることはあっても、主だっての介護をすることはありません。要介護5の方でもそうなので、基本的に状態にあった正しい要介護度が出ていれば、介護保険のみでの生活は可能といえます(急に状態が変わって介護度が増えた場合は話が変わってくるのですが…)。

ただしこの在宅生活を送るには、先に述べたキーパーソンとしての役割を家族にきちんと果たしていただくことが前提条件となります。介護サービス事業者は、あらかじめケアプランで決めたこと以外のサービスは行えません。もし行うべきことに変更点があれば、きちんと本人ないしはキーパーソンを含めて話し合い、ケアプランの変更を行う必要があります。そのほかにも、いろいろと連絡を取ることはありますので、そのときにきちんと対応ができなかったり、決定権がないために適切な支援を提供できないことも少なくありません。そもそも連絡がつかないキーパーソンの場合ですと、必要に応じたサービスの実施が難しくなります。

また、キーパーソンの言動が不安定な場合も、思いきったサービスの導入はできなくなることがあります。「言った」「言わない」「頼んでないのに勝手にサービスを入れられた」などのトラブルになると困るからです。もしそれができないようであれば、ある程度の時期が来たら在宅ではなく施設に移られることをお勧めしています。

介護保険のみで暮らせるかどうかはキーパーソン次第

浮いた時間でコミュニケーションを取ることも

介護はいつまで続くかわからずストレスもたまりますので、介護保険を利用してプロにお任せすることを心からお勧めします。ただし、すべてを事業所に丸投げしてほったらかしというのはできませんので、キーパーソンの方だけにはしっかりとした対応をお願いします。

介護保険サービスが充実した昨今、家族介護は最小限にとどめてサービスを利用し、その分話し相手になるなどで良い家族関係を築いていただけたらと思います。

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