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「介護対談」第23回(後編)三田村薫さん「」

「介護対談」第23回(後編)ノンフィクション作家の中村淳彦さんと三田村薫さんの対談 三田村薫
1973年大阪府生まれ。2003年に介護支援専門員の資格を取得して介護業界へ。現場で働くうちに介護スタッフ間のコミュニケーションの難しさを感じ、コーチングの重要性を痛感。コーチング研修講師を経て、「コーチングで日本中の介護・医療に関わる方々の充実・充足を図る」を掲げ、2013年コミュニケーションオフィス『3Sun Create』を設立。現在は、年間200回以上のセミナーを開催し、“人気介護士”養成コーチとして精力的に活動している。著書に「介護リーダーが困ったとき読む本 (DOBOOKS)」。
中村淳彦 中村淳彦
ノンフィクション作家。代表作である「名前のない女たち」(宝島社新書) は劇場映画化される。執筆活動を続けるかたわら、2008年にお泊りデイサービスを運営する事業所を開設するも、2015年3月に譲渡。代表をつとめた法人を解散させる。当時の経験をもとにした「崩壊する介護現場」(ベスト新書)「ルポ 中年童貞」(幻冬舎新書)など介護業界を題材とした著書も多い。貧困層の実態に迫った最新刊「貧困とセックス」(イースト新書)は、鈴木大介氏との共著。

取材・文/中村淳彦 撮影/編集部

リーダーはやる気のない職員に対して、どうアプローチするのかを考えなければ(三田村)

三田村さんの著書「介護リーダーが困ったとき読む本」に現場リーダーが壁にぶつかる様々な場面が書いてある。やっぱり、やる気がない人、迷惑なほどモチベーション低い人、指示待ちスタッフの対処法がありますね。

中村中村
三田村三田村

コミュニケーションなので事例によって対応は違ってくる。やる気のない人はとりあえず仕事が好きじゃない。リーダーはその職員に対して、どうアプローチするのかを考えなければなりません。

やる気のない人を変えるのは難しい。前編でも話したけど、その結果はその人が培ってきた人格だから。迷惑がられても平気ってレベルは相当重症ですよ。

中村中村
三田村三田村

私が経験したケースを話すと、あるAさんのことを私はずっと毛嫌いしていたけど、それではダメだと思って趣味の話を聞いた。その人の場合は大型バイクが好きだったので、仕事の話ではなく、バイクの話をすると会話になるわけです。

毛嫌いして距離を置くのでは、なにも進展しない。立場が上のリーダーが譲歩してコミュニケーションをとるってことですね。

中村中村
三田村三田村

お給料がでたとき、今度どこか行くんですか?とか聞いたんですよ。すると、ここに行くとか、このパーツを買うとか向こうから話してくる。お給料が出るたびに聞き続けて、趣味のバイクを続けるためにはお金が必要ってなって、半年くらいしてやっと仕事にリンクしました。そこからだんだんと仕事に前向きになりましたね。

えー。そこまでやるのは、もはや介護じゃないですか。利用者の介護だけではなく、職員の介護までやるのはキツイですよ。

中村中村
三田村三田村

現状を変えるためにリーダーには、そこまでやるように言いますよ。もちろん。中村さんと私のベースの考え方が違うな。わかった。今、介護っておっしゃいましたけど、中村さんはそこまでやる必要ないってこと? 

そういう人は相手にしてきたけど、途中で諦めた。大人の社会人の介護は、マジでキツイ。ここまでヒドイのは、事業所ではなく、親とか義務教育を受けた市区町村のせいじゃないかって。親とか義務教育がやることを、どうして介護事業所が押しつけられるの?って疑問に思ったね。

中村中村
三田村三田村

ははは。市区町村のせいってすごいですね。わかるけど、それを言っちゃったら現場が変わらない。ずっとそのままか、悪化の一途。目的は現状から良くすることだから、採用して入職してしまった以上、そこまでやるしかない。もう、仕方ないこと。

まあ、人員基準もあるし、辞められたら困るわけだからね。でも30歳、40歳になってやる気がなくて、挙げ句にみんなが迷惑して、事業所はその人が働く気を起こすために時間とか研修費をかけるとか、いくらなんでもおかしいなと。 

中村中村

一人で抱え込まずに、情報を共有することで、自分自身の重荷を少なくする(中村)

三田村三田村

いつも研修で言うのは、この事例はこうだけど、この人の場合は違うかもしれないってこと。人があってのコミュニケーションだから完全な個別対応で正解はない。だからAの場合ではBですよ、とは言えないんですよね。 

人手不足で続々と失業者が送り込まれている現状で、介護業界で働くならそこまでやらないと、よくならないってことですね。すごくレベルが低い話だけど、リーダーは我慢、忍耐、温かい心ってことか。 

中村中村
三田村三田村

それが出来たらリーダーも成長するじゃないですか。介護の仕事を通じて、職員それぞれが成長できればいい。なんの職業でも一緒ですよ。

いやいや。個人的な意見だけど、高校とか大学卒業して社会経験も積んだ大人の社会人を相手に成長、成長って違和感あるよ。出版業界では成長なんて言葉は聞いたことないよ。他の世界だったら普通に働くまでに介護が必要な状態だったら、無理、辞めれば?で終わっちゃうよね。

中村中村
三田村三田村

まあ、中村さんは一般的ではないですよ。性善説みたいな感覚が一切ないし、どうしてそうなっちゃったの?

介護にかかわったときは、驚いたよね。なにも知らないでかかわって福祉とか介護って堅いイメージがあって、普通の常識人だらけと思っていた。蓋をあけたらとんでもなくて、マジで驚愕した。眠れないくらい驚いたかな。

中村中村
三田村三田村

ははは。そんな考えで入ったらビックリするでしょうね。やっぱり一人で考えてすんなり業務が進むみたいな世界じゃなくて、業務が終わらないって人もたくさんいる。時間内で終わらせることが課題であれば、今やっていることを全部書きだします。

一人でやる仕事じゃないから分配しないとね。パンクする人、精神を破綻させる人って真面目で責任感が強くて、人に任せないって決まっている。

中村中村
三田村三田村

そうそう。書きだした業務から他のスタッフでもできることをピックアップする。任せられることを決める。それから、やらなくていいことを決めてもらう。今やっていることに足すことのほうが楽なんだけど、そうでなくて人に任せることを提案するんです。

些細なアプローチを揺さぶりかけることで、人の心を動かす ▶