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「賢人論。」第30回(中編)渡邉美樹さん「所得に応じて負担割合を決めたり貧しい人には全額負担したりと、介護保険料を最適配分するためのメニューを提示する必要がある」

経営者時代に老人ホームをまわったときの入居者とのふれあいがきっかけとなって政治家を目指したと語った渡邉美樹氏。介護を必要としている人に対して「どこでも老人ホームにする、誰でもケアする人になれる」といった“規制緩和”を進めていきたいと語った氏は、国の財政はもとより、それよりもっと危惧することがあるという。中編となる今回は、長年経営の世界を、2013年からは政治の世界を見てきた氏ならではの視点で、日本の未来について語ってもらった。

取材・文/猪俣ゆみ子(編集部) 撮影/公家勇人

もはや、国の財政は限界。GDPの倍近くの借金を抱えていることは、普通に考えたらありえない

みんなの介護 前編「「あんたがいたから決めたのに。私たちの人生、これから大丈夫なの?」と入居者様に言われたときは、言葉にできなかった」では規制緩和についてお話いただきましたが、やはり反対する意見もあるのではないかと思います。渡邉さんご自身としては、規制緩和が進まない理由はどういったところにあると思いますか?

渡邉 全体最適の考え方を、もっと国民が意識するべきだと思います。

みんなの介護 全体最適とは、国民全体にとって最も有益であることを優先させるように考えていくということでしょうか?

渡邉 そういうことです。例えば、何か問題が起こったら、極端にそれだけを取り上げて、「こんなことが起きないためには、こんなルールを作りましょう」といったことを繰り返している。

みんなの介護 そうやって、徐々に規制が作られていってしまう、ということですね。

渡邉 最低限のルールは必要だけれど、過剰なルールを作っていくことで、結局はみんなを不幸にしていくわけです。でも実際には、小さなことをテレビで繰り返し放送することによって視聴率が上がるわけです。視聴者の見る目だって、その放送に集中してしまう。

もしかすると、規制を緩和したら1000人のうち1人は何かしらの問題を起こすかもしれません。そのひとつの問題によって規制が作られるとします。そのためだけに、入居を待っている何十万人という方たちをどうするか、という問題から目を背けるわけにはいかないでしょう。

みんなの介護 情報の受け手として、我々ができることは?

渡邉 先ほど言った全体最適の意識を国民が持つことが必要だと思います。この全体最適の考え方で日本の未来を考えるならば、介護保険制度においても“今まであちこち手直ししたけれど、もう限界です”と言ってもいい状況だと思います。

今後どれだけ介護保険料を集められて、国が負担できるのはいくらなのか、明確にするべきでしょう。国の負担額が明らかになったら、最適分配するためのメニューを国民に提示する。所得に応じて負担の割合を決める。本当に貧しい人には国が全額負担する。でも、介護保険制度がどれくらい破綻しかけているのか、といったことを国は提示していません。いざ負担が重くなることがわかると、大多数の国民が反対するでしょう。

みんなの介護 制度が本当に破綻してしまうと、多くの人の生活が成り立たなくなる恐れがあります。

渡邉 要支援1、2の人向けの生活支援サービスにおいても、全体最適の考え方でいけば、お金に余裕のある人は、制度の持続性といった長期的な視点で考えたら、ご自分でお支払いいただいたほうがいいわけです。もちろん、食事が作れない、買い物に行けないといった本当に必要としている、困っている人は助けなければいけません。

もはや、国の財政は限界のところまで来ています。GDPの倍近くの借金を抱えていることは、普通に考えたらありえないことです。

今は、国会全体が国民の大きな“業”になってしまっている。ものすごく大きな“業”の塊。正直、恐ろしいとさえ思っています ▶