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中嶋よしふみ流 介護マネー道場 お金で失敗したくない人のための老後リスク回避術

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第6回 世帯年収410万円、貯金250万円の横山さん(59歳・仮名)からの介護に非協力な兄との介護分担についての相談

介護離婚か介護破産!?妻から“熟年離婚”をつきつけられる前にアドバイスをください

文/中嶋よしふみ 構成/編集部

相談者・横山さん(仮名)の家計事情

世帯年収:410万円

本人(59歳)362万円 会社員
妻(55歳)58万円 パート

資産

現在の貯蓄額 250万円

相談内容

親の介護にはほぼ無関心の兄が1人います。父親(数年前に他界)が入院したときも、ほとんどお見舞いに来ませんでした。

兄は首都圏に住んでいて、結婚して子どももいる、いたって普通の60代です。帰省はもともと少なめで、実家には寄り付かないほうでした。

一周忌で顔を合わせたときは「おふくろの面倒は見ないから」と言う始末で、今は疎遠になっています。(連絡をしても出ない。)親戚も、なんだかんだ言って冷たいです。

正直言って、親の介護にかかるお金を出さないのなら、介護を引き受けてほしいと思ってしまいます。でも自分の兄は介護もお金も出さないパターン。仕方がないので、自分がときどき実家に通って母親の様子を見ています。兄のことを考えると、割り切れない思いもありますが…。子どもが独立してローンを完済したものの、母親もうちも貯金が多いとは言えず、ほとほと困っています。実家の土地を売却するのも選択肢の一つでしょうか?

まったく何もしない兄のことを考えるだけで、腹立たしい…。(父親が死ぬ前に、家や土地のことをハッキリしておくべきだったが、特になにも話し合っていなかったので今さらですが。)

相談者・斎藤さん(仮名)について

プロフィール

職業 会社員
年齢・性別・兄弟姉妹 59歳・男性・兄が1人
居住地 栃木県
世帯構成 妻(55歳)
世帯年収(ボーナス込み) 410万円
賃貸・持ち家(マンション) 持ち家
1台

1か月の収入

手取り月収(世帯) 29万円

1か月の主な支出

生活費合計 25万円
月々の貯蓄 4万円

貯蓄・投資

普通預金 250万円

相談者の親について

プロフィール

85歳 要介護2
居住地 栃木県・持ち家
預貯金 120万円

1か月の収入

年金収入 12万7,000円

介護施設に入居する場合にかかる費用

老人ホーム入居一時金 0万円
月額利用料 12万3,000円(別途費用を除く)
自己負担額(要介護2・自己負担1割の場合) 1万7,910円/月

ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみです。6回目のご相談は栃木県のお住まいの横山さんご夫妻です。お母様が要介護2の状態で今後の生活の見直しを迫られています。具体的には自宅に引き取って介護をするか、介護施設に入居させて費用を負担するか、という状況です。

自宅介護の場合、年金の範囲内ということで費用負担はあまりなさそうですが、専業主婦である奥様が主に介護をすることになると思われます。一方で、介護施設に入居させるとお母様の年金だけでは賄いきれず、差額の負担が発生するとのことです。

主に金銭面でどちらが良いか迷っているようですが、今回の話でキモとなるのは奥様です。

勝手に決めると介護離婚の危機に…。

自宅で義母を介護となれば夫婦ともに、特に奥様の精神的・体力的な負担は計り知れません。この点について、相談内容にふくまれていませんでしたので、考慮に入れていないか奥様にきちんと相談せずに決めようとしているか、いずれにせよ危なっかしい状況です。

また、介護施設に入ってもらう場合であっても3万4,000円の負担が発生し、横山さんご夫婦の、現在の毎月の貯金額である4万円がほとんど吹き飛ぶ計算です。

横山さんの母親に必要な介護費用

現在の貯金は250万円と、老後を考えれば安心出来る額ではありません。奥様のパート収入は48万円でまだ増やせる余地はあると思いますが、「母親の介護で費用負担があるからもっと働いてほしい」と言われたら、奥様はどう感じるでしょうか。

自宅介護か施設介護か、どちらを選ぶか“金銭的な負担の問題”だとお考えのようですが、実際には、どのような生活をしたいのか、というライフプランの問題、そして奥様の感情の問題でもあります。旦那様が一人で勝手に決めて良い問題ではありません。どちらの選択でも勝手に決めれば離婚問題に発展しかねません。

「介護に非協力的」な兄にも
親の遺産を相続する権利はある

現在、お兄様が介護に全く協力的ではない、お母様とも仲が悪く弟である旦那様を頼ってくる状況とのことですが、それでも相続では子供の権利は等しく認められます。「寄与分」といって、介護で負担した費用や労力が認められる場合もありますが、それもどこまで認められるかは現時点では結論は出せません。

また「遺留分(いりゅうぶん)」といって、法定相続人(この場合は兄弟の2人)には最低限の権利が認められています。例えば“介護で世話になったからすべての財産を弟に”といった内容の遺言書があっても、お兄さんが遺言書の内容を受け入れない限りは無効です。この場合、法定相続分が子ども2人で半々、そして遺留分はその半分ですから、相続財産のうち4分の1はお兄さんに権利が認められることになります。

兄と弟の遺留分

相続=相続税の問題、と勘違いしている人はいますが、相続で税金が発生するケースは1割もありません。問題は、相続財産の分け方です。“相続で争う”と聞くとお金持ちがケンカしているようなイメージですが、実際には数百万円でもトラブルに発展します。

お母様の財産を減らしてしまいましょう。

現在、相続財産となりうるのはお母様が保有する実家のみのようですので、売却して分け合うか、一方が相続してもう一方にお金を払うという形になると思われます。売却をする場合、土地の評価額は1000万円程度になりそうということですから(実際には建物の取り壊し費用の分だけ取り分は減ると思われます)、今のうちに売却して、お母様自身の介護費用の負担にあてて相続財産を減らしてしまうのが一番です。横山様の負担でお母様を介護し続けた場合でも、寄与分が不透明な以上はお母様自身の資産を優先して使ってもらった方が良いでしょう。

「じゃあ介護は全部責任を持つからと売却代金を全額贈与でもらってしまえば良いのでは?」と思われるかもしれません。これについてもケースバイケースですが、後々認められない場合もあるようです。

まず、相続開始1年以内の贈与は遺留分に含まれます。つまり、亡くなる寸前に贈与で受け取っても意味がない可能性がある、ということです。じゃあ、さっさと売却してお金を受け取ってしまえば、と思われるかもしれませんが、それも認められない場合があります。

さらに、お兄様への相続財産を減らす目的で贈与が行われた場合は、相続開始の1年以上前でも遺留分に含まれてしまう可能性があります。

「民法」第1030条

贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

※相続や相続税については専門知識が必要になりますので、軽々しく判断はせずに相続を得意とする税理士や弁護士、税務署等に相談されることをお勧めします。

遺留分やこれらの法律は旦那様にとってはフザケンナというルールになりますが、介護施設への入居と自宅介護とでどちらの場合でも、実家を売却して介護費用にあてることは自身の負担を減らすため、そして将来の相続のため、必ず実行すべきです。

介護の家計の悩みに回答,最大のリスクを避けるためには奥様も働き続けること

介護離婚か介護破産か?

では結局、施設での介護と自宅での介護、どちらが良いのでしょうか。これについては何とも言えないところではありますが、奥様とお母様の双方に言いにくい話をしっかり出来るかということになります。

施設に入居となる場合、老後資金を考えれば介護負担の有無にかかわらず、お子様2人がすでに独立している以上は奥様のパート収入は増やした方が良いことは間違いありません。年間100万円稼ぐには、栃木県の最低賃金775円で計算しても1年で1290時間、月に107時間程度。健康状態等に問題がなければ無理のない労働時間です。現在の2倍も働くことになりますが、老後に慌てて働き始めるよりよっぽどマシかと思います。

自宅介護の場合、すでに書いたように奥様が果たして納得されるかという問題もあります。もし旦那様が奥様から「義父を介護して欲しい」と言われたらどうでしょうか。すんなり受け入れられるでしょうか。おそらく「勘弁してくれ」となると思いますが、奥様も同じことを感じる可能性はあります。当然、奥様だけですべての負担を背負いきれるとは限りませんので、旦那様は仕事をしながら自宅でも介護となります。介護者が自宅に一人でもいれば家族全員が疲弊しかねません。

お母様に対しては「実家を売って介護費用にあてて欲しい」という話もしにくいとは思いますが、自身と奥様の生活を守るためには必要なことです。

お金がかかるからと安易に自宅介護を選べば奥様も旦那様も疲弊して介護離婚となりかねません。旦那様には逃げる選択肢はないと思いますが、奥様には実の母ではない以上、逃げる選択肢はあるわけです。

介護の家計の悩みに回答,最大のリスクを避けるためには奥様も働き続けること

介護施設に入居させた場合でも奥様の収入はそのままで実家の売却もしなければ、老後資金が不足して金銭的に破綻しかねません。

「なんで俺ばっかりが負担しないといけないのか」と腹が立つ状況はわかりますが、自宅介護で介護離婚、介護施設への入居で介護破産、どちらもありうる非常に危険な状況です。現状では介護施設の入居が良いように見えますが、実家の売却が出来なければ苦しい状況になることは確実です。

以上、参考にしていただければと思います。

 

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「中嶋よしふみの介護マネー道場」とは、ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏が、主に介護費用に関するお悩みを持った相談者にアドバイスを送る企画です。家計のプロの目線から、親の介護費用や子どもの教育費、自分の老後資金などを効率的に捻出する方法、貯蓄を増やすコツを指南してもらいます。

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