いいね!を押すと最新の
介護ニュースを毎日お届け
みんなの介護ニュース
ニッポンの介護学

第232回 ケアハウスの経営は「特定施設」と「一般型」で明暗がくっきり!?黒字化を目指すには“規模の拡大”がカギに!?

「特定施設」と「一般型」施設では、入居者の数に違いが!?

ケアハウスの黒字と赤字の違いはどこからくるものなのでしょうか。また、どのようにすれば、赤字から脱却して黒字に転換することができるのでしょうか。

介護報酬制度における特定施設入居者生活介護の指定を受けているケアハウスを、「特定施設」、受けていないケアハウスを「一般型」としたとき、独立行政法人福祉医療機構が黒字施設と赤字施設の調査。それによると、存在数は一般型のほうがはるかに多く、全体912施設のうち77.5%が一般型とでした。

ケアハウスの定員規模別割合

その一般型は、定員が31人以上の施設が49.5%とおおむね半数を占めていることが判明。一方の特定施設では、62.9%と、約6割を、大人数の施設となっていた。特定施設のほうが、定員規模が大きいところが多いことがわかります。

やはり定員規模が大きい方が安定傾向にある

これまでの記事(第207回、第217回)でも何度かお伝えしているとおり、一般型、特定施設ともに、定員規模が大きくなるほど赤字割合が減少していることが共通点として挙げられます。効率的な人員配置により経営が安定する傾向がある模様。そして、それは特定施設の方が、その傾向はより顕著です。

赤字割合は、定員20人以下の施設では、一般型が43.4%、特定施設が40.9%になっているのに対して、定員51名以上の施設では、一般型が30.1%、特定施設が11.9%にまで赤字の割合が下がっています。入居者10人あたり従事者数に注目してみますと、一般型も特定施設も、定員規模が大きくなるにつれて、赤字割合が減少していきます。

経営安定化の要因は、人件費が抑制されていることだと考えられ、規模の拡大によって、人員配置に関してのスケールメリットが働くのです。それらが、収支に与える影響を少しでも下げることができるようになり、そのため、事業規模の拡大は、経営安定化のためにも、検討していく必要があることがわかります。

 

2015年度 ケアハウスの経営状況【一般型】定員規模別

 
  単位 20人以下 21人以上
30人以下
31人以上
50人以下
51人
以上
平均入所定員数

入所利用率

1日平均入所者数


定員1人当り
サービス活動収益


入所者数1人1日当り
サービス活動収益

 







千円



16.9

94.6

16.0


1,898




5,480
29.4

94.7

27.8


1,732




4,999
47.7

94.8

45.2


1,623




4,677
75.0

93.2

69.9


1,371




4,023
1施設あたりの従事者数

入所者10人当たり
従事者数


 
3.7

2.29
5.3

1.92
7.7

1.69
9.0

1.29
サービス活動収益

サービス活動費用

サービス活動増減差額

経常増減差額



万円
3,207.2

3,184.5

227

334
5,095.1

4,980.7

1,145

1,193
7,737.8

7,529.2

2,086

2,404
10,285.8

10,007.1

2,787

4,133
人件費率

サービス活動収益対
サービス活動増減差額比率

45.6


0.7
39.5


2.2
37.9


2.7
34.2


2.7
赤字割合 % 43.4 34.3 28.9 30.1
出典:福祉医療機構
 

2015年度 ケアハウスの経営状況【特定施設】定員規模別

 
  単位 20人以下 21人以上
30人以下
31人
以上
50人
以下
51人以上
平均入所定員数

入所利用率

1日平均入所者数

うち介護サービスを受けた入所者の割合

平均要介護度

定員1人当り
サービス活動収益

入所者数1人1日当り
サービス活動収益






%







18.5

95.1

17.6

95.2


2.27

3,853



11,074

 
29.1

95.1

27.7

83.9


2.07

3,398



9,757
47.6

95.2

45.3

70.0


1.94

3,099



8,899
72.5

95.5

69.3

69.8


1.98

3,175



9,082
1施設当りの従事者数

入所者10人当たり
従事者数

11.9

6.75
16.1

5.85
22.4

4.94
31.2

4.51
サービス活動収益

サービス活動費用

サービス活動増減差額

経常増減差額


千円
71,458

69,871

1,587

729
98,856

91,672

7,184

6,419
147,476

140,585

6,892

6,089
230,210

207,895

22,134

20,567
人件費率


サービス活動収益対
サービス活動増減差額比率


64.4


2.2
58.9


7.3
57.5


4.7
52.1


9.7
赤字割合 40.9 33.3 34.5 11.9
出典:福祉医療機構

サービス活動増減差額比率と呼ばれる、サービス活動収益対サービス活動増減差額比率(プラスが多いほど、経営が安定するとされる指標)は、一般型において2.4%と昨年度よりも1.0%から1.4ポイント増加され、サービス活動増減差額が1,477千円となり、昨年度の651千円から826千円も増加したことが、図から読み取れます。

この増加は、サービス活動費用の減少によるもので、サービス活動費用は62,674千円から60,942千円へと減り、減少幅は1,732千円と大きなもので、サービス活動収益も63,325千円から62,419千円へと、906千円減少しました。赤字割合は44.4%から33.8%へと、一般型において10.6ポイント減少したことが分かります。

一方の特定施設のサービス活動増減差額比率は、前年度の7.6%から6.0%へと、1.6ポイント減少しています。サービス活動増減差額が、11,986千円から9,560千円へと、2,426千円も減少したことによるもので、赤字割合は、22.5%ぁら30.2%へと7.7ポイント上昇しています。

これらサービス活動収益の減少には、介護報酬の改定が関係しています。サービス活動収益における介護保険関係収益の割合が、58.1%と、6割近く、介護報酬の改定がサービス活動収益に与えたインパクトは大きかったのではないでしょうか。サービス活動費用は、介護職員処遇改善加算の影響もあり、人件費が増加。しかし、水道光熱費や給食費など各種経費の減少もあり、全体では減少に至りました。

これらからわかることは、一般型と特定施設において、黒字と赤字がはっきりとわかれているということです。財政健全化している施設と、財務状況が悪化している施設に明確な線引きがあり、違いは事業規模も関係していそうです。収益における介護保険収入の割合が高いことからも、先年の介護報酬改定が大きな影響を及ぼしていることも、表外で読み取れるだと思います。

特定施設における要介護度分布

ちなみに上記の図は、「特定施設における要介護度分布」であり、入所者の約8割が要介護1以上とされています。前年度との比較では、僅かながらも入所者の要介護度が増えていることが窺えます。

福祉医療機構の調査からわかること

機構の調査からわかることは、規模が大きくなるほど、経営の安定化につながるということです。事業規模を拡大するということは、施設の大きさの問題もあり、困難かもしれません。ですが、事業を多角化するなどしてスケールしていくことによって、より経営の安定化がはかれます。機構は融資を行っているケアハウスを調査し、そのような結論を導き出しました。これは特筆に値すべきものでしょう。効率よく人員を配置し、人件費を抑制することで、利益の向上をはかることができます。

また、定員が多いほど従業員の数やそれにかけられる予算なども大きくなるため、ICTなどの導入でより効率的な仕事が可能となります。労働人口が減っていく人口減少社会の中で、人手不足はさらに深刻になるものと考えられ、良い労働力を確保するためにも、働きやすい環境の整備はもちろん必要だと考えられます。

それだけでなく、一定以上の賃金を与えることも重要なこととなってくるでしょう。介護士の給与が低いことは前々から大きな問題となっており、同時に赤字の事業所が増えてしまっては意味がなく、人件費は抑制され続けています。人件費の問題は、今後もケアハウス運営に際して、大きな問題となってくることでしょう。

しかし、まだまだ介護の現場には、人力でやらなくていいことをわざわざ人の手でやるなどの非効率な業務が蔓延しており、さらに効率化できる余地が残っています。生産性を向上し、それぞれの職員のスキルアップをはかる必要の上でICTを導入し、事務作業の負担等を軽減していくことも生じるでしょう。人の手でやる温かみがあるのは、介護作業そのものだけで、その他の業務にわずらわされることないよう、職員が介護だけに専念できれば、人件費の抑制になるだけでなく、効率よく人材を使えて、ケアハウスの事業所にとっても、利益を出すことができるようになるはずです。

そして、事業規模の拡大によるスケールメリットの享受と、まだまだできることは数多くあり、一般型、特定施設を問わず、ケアハウスそのものの黒字化のためにも、さまざまな施策が考えられます。

ケアハウスの経営においても、介護ニーズにこたえて、より地域に根付いた経営が求められる時代に

福祉医療機構の調査によると、データによって平成27年度決算において、この年に行われた介護報酬改定の影響が見て取れました。これは一般型、特定施設を問わず影響を受け、介護報酬はマイナスとなり、人手不足が問題となっている中、ケアハウスの経営は苦しいものがあります。

ですが、安定経営を目指すことはできます。入所利用率の向上により、サービス活動収益を確保するほか、規模の拡大をはかってスケールメリットを受けるなど、ひとつの手段となるでしょう。

経営の安定化と同時に、なんのためにケアハウスがあるのか、存在意義を再確認することも重要であり、地域のニーズに対応して、セーフティネットとしての機能を拡充していくことも大事でしょう。介護サービスだけではなく、高齢者の生活にまつわる困りごとや生活課題を解決し、いろいろな困難を抱える人たちを生活面や精神面で支えていく存在として、地域により根付いた運営が求められます。

また、他機関との連携も求められるでしょう。ケアハウスは地域で高齢者を支える重要な仕組みであり、重要であるからこそ、ビジネスとして成立するように、一刻も早く黒字化して、安定経営を目指すべきではないでしょうか。

  • 匿名で投稿
  • ニックネームで投稿投稿後、ログイン画面
匿名
匿名 さん

みんなのコメント

  • 匿名 さん

「特定施設」は、人員配置や設備、運営基準などの条件を整え、都道府県に申請することで指定が受けられる特定施設の要件があります。
「一般(自立)型」では主に自立した独立生活に対する不安のある高齢者を、「介護(特定施設)型」では主に軽度から重度の要介護状態の高齢者を受け入れています。
「一般型」のケアハウスでは、介護が必要なときには訪問介護や通所介護などの在宅サービスを利用し、自立状態でないと見なされた際には施設からの退去を求められることもあるのに対して、「介護型」のケアハウスでは、重度の要介護状態になっても住み続けることが可能です。

この事から、「一般型」は主に自立している人がメインですのでビジネスとしては薄利多売。
「介護型」は、主に介護が必要な人が対象ですので、ビジネスとしては付加価値が付きます。
こういう観点から、基準の見直しが必要と考えられます。
バランスを取るのであれば、「一般型」の利用者数を増やせる基準が必要。
自立型なので、それらも加味した人員配置基準も併せて必要という事になる。
簡単に言うと、人員は少なめで受け入れ人数を増やせば、利益が出る様になる。
但し、自立度をどれだけ加味、出来るかが焦点となります。
ビジネス上の問題点と、介護という観点での基準とのバランスを取るのが如何に難しいかをあらためて痛感させられるようです。

2017/03/21 00:12 違反報告
  • 匿名 さん

ケアハウスは老人福祉法に基づき設立された福祉施設の一つです。これは、身寄りがなく、一人もしくは夫婦で日常生活を送ることが困難と判断し、生活に不安を感じた人が入所できるという意味を持っています。

老人福祉法の第20条の6に、ケアハウス別名軽費老人ホームは、低価格の料金で、老人を入所させて食事や日常生活に必要な便宜を給与することを目的とする意味があります。よって、有料老人ホームよりは比較的に低料金で利用することができるのです。料金の設定については、前年の世帯収入を確認し、34万円以上の収入がある方は入所できない条件になっているのです。

軽費老人ホームには、A型、B型、そしてケアハウスC型の3種類があります。まず、A型は食事が提供されるサービスがあります。そのため、自炊できない方が該当します。次にB型は食事が提供されず、自炊ができるが、家庭環境などの諸事情により、従来の住まいで生活が困難な方が該当します。最後にケアハウスC型ですが、これは要介護認定をうけて介護サービスを利用し、食事を提供してもらう方が該当するのです。

このように、ケアハウスにはしっかりと法律に基づいた意味があります。この法律に従い施設を設立していますが、運営方針は施設ごとに異なります。基本的なベースは一緒ですが、サービス内容が変わってきます。

2017/03/21 00:06 違反報告
  • 匿名 さん

>ビジネスとして介護経営を多角化できる優秀な経営者が生き残るのか。

そうですね。
だけどそれで良いのだろうか?
社会保障がそんなもんで良いのだろうか?

逆を言えば多角化が出来ないと淘汰を通り越して自滅する。
需要と供給を通り越して、需要はあっても供給出来ないって事に繋がるよね。
本業一本では成り行かないのであれば。

制度の在り方が問われる状態じゃないの?
それじゃあ失策だよ。

2017/03/20 23:08 違反報告

ビジネスとして介護経営を多角化できる優秀な経営者が生き残るのか。

2017/03/20 21:38 違反報告
  • 匿名 さん

社会福祉法人の優遇制度は、もう止めた方がよい。
優遇税制や補助金を優先的に受けれるなどの廃止。
同じ土俵に立たなければなりません。
健全な介護市場で無いといけませんね。

2017/03/19 00:15 違反報告
  • 匿名 さん

>「放課後デイ」なども、障害児者の施設ですが、同じ傾向にある。
増加し過ぎて、サービスの質や管理体制が整わずに、指定取り消しや、利用者の奪い合いで廃業などの問題が噴出。

そうだと思います。
社会保障制度の問題点の為、現場の其の場凌ぎの結果ではないでしょうか?
事業開始時より年々報酬が削減される。
社会福祉法人は免税の為それ程体力は奪われないが、有限・株式はしっかりと課税される為基本報酬の減額が大きく響いて行く。

これはケアハウスの限らず全てのサービスに言える事だと思う。
その結果、介護報酬の基本額で考えられている基本賃金が上げる事ができない事業所が増えて介護職員の離職に繋がっている。
その為、全体的な介護職員不足の為ギリギリの賃金アップを迫られ、事業所は安定できる経営か自転車操業へ強いられている。
社会保障制度内では、未だデフレがまかり通っている状態。
ケアハウスだけではない。
介護事業所全てが大事業所でないと生き残れないレールに敷き直されてしまった。
事業所がサバイバルな状態で、まともな介護なんて提供はしきれないのではないかな?

制度の失敗を事業所のせいにされている感が年々強く感じる。

特養、有料の空きベッドの報道も最近され始めた。
問題は箱はあっても、人員基準を満たす人材がいない為に空き部屋ができ始めた事。
つい最近まで、介護離職ゼロを目指して特養増設のニュースが出ていたのに・・・。

業界で矛盾を感じていた人は問題点を感じ、叫んでいた事。

問題は、特養が足りないのではなくて介護報酬が低すぎて介護職員がまともに雇用できない制度に問題がある事。
それを、処遇改善だの、キャリアアップだのと言って誤魔化している事。

マスコミも気付き始めたのでは? 何が本当に問題なのかを?

早く政治的にでも問題解決に動かなければ、取り返しのつかないレベルまで落ちてしまう様に感じる。
それでも関連省庁は、責任転換の誤魔化しをするかもしれないが・・・。

一度標準レベル以下に落ちたら、標準にクウォリティーを戻すのに時間を要する。
いくら、キャリアアップだの歌ってもそれ以上にクウォリティーは下がってしまう。
そんな中、地域包括ケアだの、在宅看取りだの出来ないと状況になってしまうのでは?

荒れ果てた畑には、広さはあっても思う様な収穫量は期待できないものなのに。

今の介護保険制度は、時間をかけてその畑を荒廃させている。
荒れ果てた畑で、多くの収穫を得ようと皮算用している様にしか見えない。
多くの収穫を得ようとするなら、畑には栄養を巻かないと、土壌改良をしないと結果は得られないのでは?

土壌を荒廃させては、この先が見えている様に感じる。

改めて言うが、介護離職の問題が解決していない中、特養増床を謳った中、箱物の空きがで始めたよね。

2017/03/18 00:43 違反報告
  • 匿名 さん

「放課後デイ」なども、障害児者の施設ですが、同じ傾向にある。
増加し過ぎて、サービスの質や管理体制が整わずに、指定取り消しや、利用者の奪い合いで廃業などの問題が噴出。

2017/03/16 01:52 違反報告
関連記事

ケアハウスの経営は「特定施設」と「一般型」で明暗がくっきり!?黒字化を目指すには“規模の拡大”がカギに!? の関連記事