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ニッポンの介護学

第252回 介護離職の増加は止まらない!?現状の介護休暇制度では、「介護離職ゼロ」は疲労が続く介護者の支援にはつながらない!?

アベノミクスが掲げる「介護離職ゼロ」は実現の方向に向かっているのか!?

介護離職とは、職についている方が、親族や身内の介護のために、会社を辞めたり、転職したりすることをそう呼びます。現場の最前線から離れてしまうため、企業にとっても大きなダメージですし、国全体としても国力の大きな損失となります。

政府は、こうしたことを防ぐために、「介護離職ゼロ」を目標に掲げ、GDP600兆円を目指すと意気込みました。ですが、GDP600兆円を目指すために介護離職ゼロを掲げてみたのですが、実際のところは、介護離職の増加は止まっていないようです。介護と、仕事…。いったいどうすれば両立できるのでしょうか。今回は介護離職についてです。

介護離職ゼロの目標は素通りし、実際は逆に増えている!?

介護離職ゼロを政府が掲げている反面、企業などの現場の声はそれと異なっているようです。政府ではなく、民間企業の東京商工リサーチが行ったアンケートがあります。それによると、「介護離職は増えると思う」と答えた企業は7割にのぼり、介護離職ゼロを掲げる政府との間に温度差があることがうかがえます。アベノミクスの介護離職ゼロは、一般企業にとってうまくまわってないのでは、という現状があります。では、介護離職を防ぐ手立てはあるのでしょうか。アンケートから、それを読み解いていきましょう。

実際に企業の現場では、介護離職はどのぐらい発生しているのでしょうか。「過去1年間(2015年11月〜2016年10月)に介護を理由とした離職者が発生しましたか?」というアンケートによると、回答した全企業7,391件のうち、「ある」と答えた企業が約1割にあたる724社で、介護離職が実際に起こっていました。「ない」と答えた企業は5,612社で75.93%。実際は、介護離職かどうか把握していない離職もあると思われますが、約1割の企業が介護離職があったと答えています。

過去1年間(2015年11月〜2016年10月)に介護を理由とした離職者が発生しましたか?
  ある(9.80%)
  ない(75.93%)
  不明(14.27%)
9.8%14.3%75.9%
 
出所:東京商工リサーチ
 

企業の資本金別にみたデータもあります。それによると、資本金が1億円以上の大企業で、「ある」は244社(11.3%)、「ない」は1,150社(53.5%)でした。1億円未満の中小企業では、「ある」は480社(9.1%)、「ない」が4,462社(85.0%)。中小企業と比較すると、資本の大きな企業ほど介護離職の発生した割合が高く、介護離職者が多いという結果になりました。その一因には、大企業のほうが従業員の平均年齢が高いからとも言われています。

そして、「将来的に介護離職は増えると思うか」というアンケートでも、5,272社、実に71.33%の企業が「増えると思う」と回答しています。次いで、「変わらないと思う」が1,866社で25.25%を占めます。非常に多くの企業が、介護離職ゼロについて悲観的な考えをしていることがわかりました。

将来的に介護離職が増えると思うか
  未回答(2.45%)
  増えると思う(71.33%)
  変わらないと思う(25.25%)
  減ると思う(0.96%)
25.3%71.3%
 
出所:東京商工リサーチ
 

また、こちらも資本金別でみたアンケートがあるのですが、資本金1億円以上で「増えると思う」と回答した企業が77.3%の1,661社だったのに対して、1億円未満の中小企業では、3,611社68.8%となり、大企業のほうが、中小企業よりも将来的に介護離職が増えると考えているということがわかりました。

 

実に7割もの企業で、介護離職はゼロどころか増えると予想されているのが現状。ここに、政治と現場のあいだで、温度差があると言えるでしょう。政府が介護離職ゼロを掲げている一方で、現場の手応えとして“増える”と実感されているのです。

なぜ、介護離職が増えるのか!?その背景は?

介護離職が「増えると思う」と答えた企業に対してのその理由をたずねた追加アンケートの結果もあります。「増えると思う」と回答した5,272社で、「従業員の高齢化にともない、家族も高齢化しているため」と答えたのが、全体の8割、4,318社(81.9%)を占めました。つづいて、「現在の介護休業、介護休暇制度だけでは、働きながらの介護に限界があるため」と答えたのが、3,060社(58.0%)。その次に「公的な介護サービス縮小による従業員の介護負担増」と答えたのが、1,821社(34.5%)となりました。

その他にも、「独身、未婚者が多い」「核家族化と共働きの増加で介護を担当できるものがいない」「一人っ子が多いため、兄弟でサポートすることができない」などなど、核家族化や少子化などが影響して、介護離職の原因となるだろうと予想されていることがわかりました。

資本金が1億円以上の大企業では年齢の高い従業員も多いため、介護に直面する従業員の数も多いことが、大企業と中小企業の差ではないだろうかと思われます。しかしそれだけではなく、介護離職にはさまざまな外部要因が影響を及ぼしていることがわかります。まだまだ制度としていたらない点が多く、介護離職を真に実現するためには、制度改革が必要であることがわかります。

介護離職を防ぐためにできる、具体的なことは!?

介護離職を防ぐため、国と企業には具体的にどんなことができるのでしょうか。自由回答で得られたアンケートもあります。それによると、

  • 介護は育児以上に長期になるが、育児に比べて休業期間が93日と短く、最低でも育児と同等の1年、半年の延長を認めるべき
  • 介護離職防止支援助成金を調べる
  • テレワークを導入しインターネットを活用してリモートで働いてもらう
  • 企業と介護施設の連携
  • 一人で介護と仕事の両立ができるよう、給与も労働時間も、正社員の半分で働けるような勤務体系が普及すると良い
  • 大切なのは人口増加による活力のある社会づくりだと思う

などなど、いろいろな意見がなされていました。こうした意見を目にすると、国や企業にはできることはまだまだありそうだとわかります。

正社員としてフルタイムで働きつつ介護を行っていくことは、現実的には大変高いハードルと考えられ、とくに「働き方改革」と合わせて、時短勤務やテレワークの推進などは、いまできる大きな効果をもたらしてくれそうな施策です。そのため、現状の労働法・労基法の範囲内で、柔軟な働き方を認めていくことも重要なのではないでしょうか。

一方で、とくに少ない人数で現場をまわしている中小企業では、休職者、時短勤務者のサポートは難しく、知恵を使う必要があります。まずは人的資源に余裕のある大企業から、働き方を変えていく必要があるでしょう。

介護離職を防ぐために、いまできること

高齢化が進行し、企業にとっても介護離職は避けて通れない課題となりました。働き手の不足も相まって、自社の取り組みが不十分だと考える企業も多く、介護離職への対応は緊急性を帯びています。

現在、介護離職を防ぐために行われている施策としては、「就業規則に介護休職マニュアルの整備」「介護に関する悩みの相談窓口」などの、啓蒙活動などが中心となっています。しかしこれだけでは、金銭的なフォローアップや休暇取得後のキャリアパスが途切れないような仕組みづくりはできていません。

また、人材面の不足も顕著です。中小企業は常に人材不足で、介護休業者のフォローが困難だという事情もあります。介護離職防止支援助成金の認知もまだまだ低く、関係省庁や自治体は周知にさらに力を入れる必要があるのは間違いなさそうです。ますます社会的な問題に発展していきそうな介護離職。今後の国・企業の取り組みから目が離せません。

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匿名
匿名 さん

みんなのコメント

  • 匿名 さん

大企業はいざ知らず、零細オーナー企業は介護離職推奨になりそうだけど。

知り合いの会社なんか、実親が亡くなってその休暇申請で「5日間」は多過ぎだって言ったそうだから。「実親が亡くなっても喪主じゃなければ3日が妥当」とか言ったそうで。
そういう会社に勤めていたら、どう考えても介護休暇とかとれなさそうだよ。
なんかさ、中小零細企業からも「法人格」である限りはちゃんと就業規則を作らせて労基に提出させることを法律で義務化してほしいと思うよ。
で、労基が監査するようにしてほしいわ。

2017/04/21 13:06 違反報告
  • 匿名 さん

ケアハラスメントやパワハラ、マタハラなど、子供のいじめの延長線上にあるような事。
精神的未熟者が、このような不当行為に及ぶケースがあまりにも多い事が主な要因。
介護離職に限らずに、この様な企業等のいじめで離職を余儀なくされてしまう事が諸悪の根幹です。

2017/04/21 00:29 違反報告
  • 匿名 さん

きちんと法制化をしたうえで、半ば強制的にも企業等に家族介護が必要な社員の保護を、企業等に課す法律で縛ればよい。
こうでもしないと、自浄作用で促すような甘い法制化では対応対処が出来ない。
また、人事考課に影響するや、不当な減給及び解雇などの、不法行為には厳しく罰せられる法律も企業等に課す必要がある。

2017/04/21 00:19 違反報告
  • 匿名 さん

10年前 転職で大小の企業を片っ端から受けたが 
断り文句のように人事担当者からは 
家族構成兄弟の有無両親の健康状態など 
いまなら問題になる内容を面接で聞かれ 
結局 御両親の介護が始まって休まれるのは困るし、小さい子供のいるも直ぐ休まれるから困る と言い出すパターンで不採用。

じゃあ 採用できる年齢層なんて 
新卒か介護終わったひとしかないんじゃないだろう?と憤りを覚えた。

実際 介護が始まると 
現在もそのただなかにあるものとしていえることです、 
フルタイム勤務では 時間休システムのある職場でも
施設 病院対応ができなくなり、さりとて 急に休むことも迷惑をかけることになり 難しく退職する羽目になった。
その後就業できた、パートも付き添いで休めば 承認欠勤扱いにされ
無給状態で半年 、
契約は自動更新されたが 役職者が二人で自宅訪問され 
暗に自主退職を 即されて 継続不可能になった。
制度を知らない管理職が野放し、
こんな状態で 重い要介護者を 自宅介護などと
強引に 施設や病院から退去させようとすれば 
介護による離職 
介護職の負担増による離職 ますます増えていくと思います。
みらいに 光明が見えない施作としか思えません

2017/04/20 17:24 違反報告
  • 匿名 さん

介護離職の人の要介護者の多くが「認知症」の家族のためであれば、それはもう施設や病院の協力失くしては介護離職は止まらないと思う。

どちらも「他の利用者(患者)に迷惑になるので退所(退院)してほしい」と言われれば、結局、家族の誰かが介護離職せざるを得なくなるのではないかと思う。

そして同居していれば生活支援が受けられないとなれば、尚更介護離職することになるのでは?

それに年金減額だからまた退所者も増えると思うしね。
2割になって支払困難を理由に特養を退所した高齢者は2015年の段階で1600人だそうですから。
この1600人の家族がその後、どうなっているかの追跡調査をぜひって思いますね。

2017/04/20 16:24 違反報告
  • 匿名 さん

親の介護のために介護職員が離職しようとする。理由は急に休んだりするとみんなに迷惑をかけるから。確かに、人員基準的に急に休まれても代替えの人員が確保できない場合もあって困るし、突然休日出勤をお願いされる方も困る。でも、介護の大変さはみんなわかっているから協力的。どうしても無理なら、連れてきて施設で過ごしてもらってもいいよとも言ってる。ボランティアとして、同年代の方のお話し相手でもしてもらえばいいからと。実際連れてきた職員はいないけど、いままで何人ものスタッフが同様の経験をしていて、結局誰ひとり辞めず、今でも働いている。育児も同じ。結局、職場や職員の理解があるか、協力がもらえるかがすべてだと思う。育児も介護もお互い様。自分が困っている時に助けてもらえたら、その分を同じように困っている人に返す。制度をどれだけ作っても、周囲に迷惑をかけることを考えてやめていく人は減らないんじゃないかな。テレワークが出来る仕事は限られているしね。

2017/04/20 12:12 違反報告
  • 匿名 さん

これから家族の介護と向き合うにあたって、最も大切なのは「相談できる人」の存在です。
ですが、必ずしも周囲に家族の在宅介護経験がある人がいるとも限りません。
そういった方は、高齢者相談窓口や地域包括支援センターを利用しましょう。

2017/04/20 11:20 違反報告
  • 匿名 さん

どうでもいいけど「介護離職」この言い方ややこしいから分けて欲しい。
親族を家で介護するために仕事を離職しなきゃいけない → 介護による離職
嫌気がさした等の理由から介護の仕事を離職する → 介護職からの離職
こんな感じでさ。

2017/04/20 09:35 違反報告
  • 匿名 さん

最長93日間でしょ。
これで解決できる介護は無い。
これは介護の準備期間と捉えた方がよい。
本当の所は、企業も休暇を取られると業績に影響が出ます。
働きながら、介護が行えるシステムの構築が望まれています。
これを、知恵を絞り総動員で行う案件になります。
介護休暇は、付け焼刃の策で当面緊急的な措置と考えるべき。
10年以上も介護を余儀なくされるケースも多々あるので、こういう長期間介護を続けれるような事を想定しながら策を考えるべきです。

2017/04/19 18:53 違反報告

 国は在宅介護を推進し、企業側はいつまでも休まれると困る。小さな企業は休暇自体が取れないかもしれないし、大きな企業だと出世から大きく離れ、戻ってきたとしてもポジションはない。これでは辞職するの一択しかないです。

 全ては見通しの甘い国と、理解のない企業の作り出したものです。

2017/04/19 17:32 違反報告
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