いいね!を押すと最新の
介護ニュースを毎日お届け

高齢者虐待の防止について

高齢者の虐待は一般家庭でも

年間1万5000件以上も虐待の実態が!

厚生労働省が発表している2006年度〜2012年度の養護者による高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数の推移グラフ、最新となる平成24年度では相談・通報件数が23843件、虐待判断件数が15202件となっていることがわかる

日本は高齢化社会として今、介護や福祉の問題に真剣に向き合っています。しかし、そのなかで家庭や介護施設における高齢者の虐待が問題に。家庭内や施設内での高齢者虐待は外部が気付くことが遅れ、発見が遅れてしまう例も少なくありません。

厚労省が発表する資料によると、高齢者虐待は2012年度には約1万5000件。把握できているだけでもこれだけの高齢者が虐待に苦しんでいます。

高齢者虐待を防止するためには、高齢者の暮らしをしっかりと見守る社会体制だけでなく、介護うつなどが原因となって虐待をしてしまう介護者へのケアも不可欠です。高齢者にとっても介護者にとっても不幸な事態にならないよう、地域や行政の介護者に対する支援策が求められています。

高齢者の虐待は「身体的虐待」ばかりではない

高齢者の虐待は、身体的なものばかりではありません。厚生労働省では高齢者虐待を「身体的虐待」「介護・世話の放棄・放任」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」の4つに区分しています。

<高齢者虐待の区分とその例>

内容 具体例
身体的虐待 暴力行為や外部との接触を意図的・継続的に遮断する行為 ・平手打ちをする、殴る、蹴る、やけどなど
・ベッドに縛り付けたり薬を過剰に服用させたりして、身体拘束・抑制する
介護・世話の放棄・放任 意図的であるか結果的であるかを問わず介護や生活の世話を行っている家族がそれを放棄・放任し、生活環境や身体・精神的状態を悪化させていること ・入浴しておらず異臭がする
・水分や食事を充分に与えず脱水症状、栄養失調、長時間の空腹状態にある
・劣悪な住環境のなかで生活させる
・必要な介護、医療サービスを制限したり使わせない
心理的虐待 脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって精神的・情緒的苦痛を与えること
性的虐待 本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要 ・排泄の失敗に対して罰として下半身を裸にして放置する
・キス、性器への接触、セックスの強要
経済的虐待 本人の合意なしに財産や金銭を利用し、本人の希望する金銭の使用を理由無く制限すること ・日常生活に必要な金銭を渡さない/使わせない
・本人の自宅等を無断で売却する
・年金や預貯金を本人の意思・利益に反して使用する

とかく虐待と聞くと身体的虐待をイメージしがちですが、本人の意志に反して財産を勝手に使ったり、毎日暴言を投げかけるという行為も虐待のひとつ。心身にダメージを与え、人としての尊厳を傷つける行為は、すべからく虐待と言えるのです。

実際、厚生労働省が発表している資料によると、虐待を受けていた高齢者約1万5000人がどのような虐待を受けていたのかをまとめた資料によると、身体的虐待が最も多く65パーセント。次いで心理的虐待、経済的虐待を受けていた人もそれぞれ40.4パーセント、23.5パーセントもいるという実態が分かってきます。

誰でも虐待をしてしまう可能性がある

厚生労働省が発表している高齢者虐待の種別グラフ、身体的虐待:65.0%、介護等放棄:23.4%、心理的虐待:40.4%、性的虐待:5.0%、経済的虐待:23.5%となっている、非虐待高齢者からみた虐待者の続柄を記した円グラフ、息子が41.6%と最も多く夫:18.3%・娘16.1%・息子の配偶者5.9%と続く

厚労省の区分を見てみると、誰しも介護ストレス等からこうした虐待と見なされる行為をしてしまう可能性があるということを痛感させられます。高齢者虐待の特徴として、虐待をしている人に「虐待をしている」という自覚あるとは限らないことがあります。虐待が疑われるケースの10パーセントほどは、高齢者の命に危険がある状態ともいわれており、自覚のなさが虐待を助長することにも繋がりかねません。

高齢者虐待の要因は、「希薄な近隣関係」「介護者の社会からの孤立」「老老介護・単身介護の増加」「介護者のニーズに合わない介護施策」などの社会環境や、「介護疲れ」「生活苦」、虐待社の「長期にわたる介護ストレス」「介護に関する知識不足」、高齢者の「認知症による言動の混乱」「身体自立度の低さ」など多岐にわたります。

家庭内において高齢者虐待をしている虐待者の内訳を見てみると、41.6パーセントが息子、18.3パーセントが夫、16.1パーセントが娘となっており、実の息子から虐待を受けるケースが多いという点も注目したいところです。

未婚男女の増加や子供と住居を別にする世帯の増加に伴い、介護の担い手が息子や夫、つまり男性介護者であることも珍しくありません。これまで仕事に注力してきた男性が慣れない家事や介護をすることは、仕事のように自分の思い通りにことが進まないことからストレスも大きく、虐待に繋がっているのではないかとの見方もあり、男性介護者への支援策も求められていると言えそうです。

どうして虐待が起こるのか?

先ほども、高齢者虐待には社会的要因や人間関係、高齢者や虐待者の状況等様々な要因が考えられるという点について触れてきました。例えば2006年に行われた「東京都高齢者虐待事例情報調査」を見てみると、虐待されている高齢者のうち、実に約70パーセントの人に認知症症状が認められ、認知症と虐待には深い関係があることが見て取れます。

虐待事例における認知症の状況
認知症あり、介護必要(46.5%)
認知症あるが、ほぼ自立(10.6%)
認知症の疑いあり(12.8%)
認知症なし(25.3%)
不明(4.8%)
itemcount
認知症あり、介護必要46.5
認知症あるが、ほぼ自立10.6
認知症の疑いあり12.8
認知症なし25.3
不明4.8

認知症高齢者への虐待は、介護者に対する適切なサポート体制が整っていないという社会的要因、認知症高齢者本人の言動の混乱からくる介護者への介護負担の増大などが虐待を引き起こしている例と言えるのではないでしょうか?

具体的な虐待事例

虐待の発生には様々な影響を与える要因があるなかで、先に挙げた「身体的虐待」「心理的虐待」「経済的虐待」「介護・世話の放棄・放任」、それぞれの虐待についてどのようなケースがあるのかを考えてみましょう。

例えば、家族間における介護で、介護をする方にストレスが溜まっていたりすると、つい高齢者を怒鳴ってしまうこともあり得ます。歳をとれば、同じことを繰り返し話したり、必要以上に心配性になって、その心配事ばかりを口にするのは当たり前の事ですが、それを毎日のように話される家族にとっては精神的ストレスが積もる事例のひとつです。

このようなシチュエーションを想像すると、高齢者が話していても無視してしまう事は珍しくないのではないでしょうか?しかし実は、このような状況は、「心理的虐待」に当てはまります。

高齢者の預貯金を子どもが預かるというケースもあります。時が経つにつれ、そのお金がまるで自分のもののように感じるようになり、生活苦やストレスを発散したいという想いから、ちょっとだけ使ってしまおうという気にもなってしまうかもしれません。しかし、高齢者自身がそれを了承しておらず、高齢者自身が希望する金銭の使用を制限してしまっていれば、これは「経済的虐待」に該当します。

また、認知症症状が重くなる家族を何年も介護する生活が続き、誰にも介護を頼れない状況に追い込まれてしまったとき、徘徊を防止したいという想いからベッドに家族を拘束してしまえばそれは「身体的虐待」となります。

「介護・世話の放棄・放任」についても、意図的であってもそうでなくとも虐待をしている可能性があることを忘れてはいけません。おねしょがひどいからと言って水分をあまり飲ませないでいる生活が続き、高齢者がひどい脱水症状に陥ってしまうこともあり得ます。この場合は「おねしょがひどい→水を飲ませない」という対策ではなく他の方法を考えなければいけません。

高齢者に「性的虐待」はあり得ない…とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、よくあるケースとしては高齢者本人の目の前で、近所の人に『うちのおばあちゃんはおねしょがひどくて…』と話し、精神的苦痛を与えることも、日常的に続けば立派な「性的虐待」となるのです。

ページトップへもどる

介護うつが高齢者虐待につながる恐れ

介護うつは社会的に大きな問題に

在宅介護でトラブルになりやすい介護うつについて

ご家族の介護をされている方のなかには、資金的に有料老人ホームなど民間が運営する施設への入所は難しく、安価に利用できる特別養護老人ホームへの入居を希望するものの、待機者が多くなかなか入所ができないという方も多いかもしれません。

また、普段はデイサービスやデイケアサービスを利用しているなかで、ショートステイを利用すれば介護負担軽減されると分かっていても、費用面などの問題などからよほどのときにしか利用することができないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

介護は家族の介護であっても悩みや問題は多く、精神的・心理的な労苦から「介護うつ」に陥る人も多く、社会的にも大きな社会問題として認知されはじめています。

誰にとっても身近な“介護うつ”とその現状

厚生労働省が発表している「性別にみた同居の主な介護者の悩みやストレスの有無の構成割合についての調査結果、あると回答したのは総数で69.4%・ないと答えたのは27.7%・不詳が2.9%、あると答えた女性は72.4%・男性は62.7%で女性の方が介護で悩みやストレスを抱えやすいということがわかる

“うつ”は日本人の10人に1人が発症するともいわれているとてもポピュラーな病気でありながら、きちんとケアをしないと自ら命を絶つこともある怖い病気です。

家族の介護を自宅で行うことは、常に介護を必要とする家族を優先し自分自身を犠牲にした暮らしとなることが多いことから、2005年に厚労省が行った調査では介護者の4人に1人が介護うつ状態にあるという驚くべき実態も報告されています。

現に、同居する家族を介護する介護者に日常生活においてストレスがあるかないかを問う設問に対し、ストレスが「ある」を回答した人は全体の約7割となっています。

さらに、主な介護者の悩みやストレスの原因として最も多いのが「家族の病気や介護」であり、介護がいかに精神的に大きな労苦を与えるのかが見て取れます。

厚生労働省が発表している「性別にみた同居の主な介護者の悩みやストレスの原因の割合」についての調査結果、家族の病気や介護が最も多く女性で78.3%・男性で72.6%となっている

介護うつの現状について

子育てと違って終わりの見えない介護だからこそ、介護による負担は大きいもの。自宅で家族の介護をしていると様々な介護にまつわる苦労が生じてきます。

厚生労働省が発表している資料によると、介護で苦労した内容として最も多いのが「排泄介助」。次いで「入浴介助」や「食事」が上がっており、在宅介護に従事している方は頷ける内容なのではないでしょうか?

順位 内容 割合
1 排泄 排泄時の付き添いやおむつの交換 62.5%
2 入浴 入浴時の付き添いや身体の洗浄 58.3%
3 食事 食事の準備や介助 49.1%
4 移乗 車椅子からベッド、便器、浴槽、いすへの移乗の際の介助 48.3%
5 起居 寝返りやベッド、いすからの立ち上がりの介助 47.7%
6 移動 屋内を歩いて移動する際の介助 37.8%
7 認知症ケア 認知症の症状への対処 28.9%
8 見守り 徘徊の防止や夜間の転倒防止の見守り 28.2%
9 外出 買い物などの付き添い 19.4%
10 リハビリ訓練 歩行訓練などの付き添い 16.1%

こうしたストレスを抱えながらも、自宅で24時間介護のために高齢者に付き添っていると、自分自身の時間を持つことも難しくなり、精神的ストレスを誰かに相談する機会も自然と減ってしまいます。「気分が落ち込むことが多くなった」「食欲がない」「喜びや楽しみを感じられない」というような症状が見られはじめたら、もしかしたら介護うつかもしれません。

周囲にも気付かれにくい“介護うつ”

「介護をしている人が、介護うつになってしまっている」と、すぐに誰かが気がつけるような環境の場合、介護をする人の介護うつが深刻化することはあまりありません。なぜなら介護をする人の周りには、常に誰かがいて、介護に関しても日ごろから協力してくれる体制が整っているはずだからです。

こうしたケースと違って怖いのが、介護をする側が介護うつを発症している事を、誰も気が付かない場合です。在宅介護を担う人の中には、社会との接点がほとんどなく、1人で介護を担っていたり、家族の協力が得られなかったりするなどの理由から介護うつを発症している人が多いだけに、一点集中的に介護の負担がのしかかっている方が少なくありません。

社会からの孤立、自宅内での介護など様々な要因から、介護うつ患者数を正確に把握することは難しいなか、虐待の現状を見ると、深刻な状況に陥っている介護者が多いのではないかと考えられています。

介護うつにならない工夫を

介護うつにならないための工夫・ヒントについての解説

肉体的にも精神的にも、1人で担うことが難しい介護。だからこそ、家族がいるなら、よく話し合い、できるだけ介護は分担するように協力しあうことが大切です。介護者と一緒に住んでいるか住んでいないかといったことは関係ありません。

自分のことを「ストレスには強いほうだ」と思っていても、精神的なストレスを全く受けないということはあり得ません。むしろ誰かに頼ることが苦手な場合も多く、そうした場合は突然、介護うつ状態になってしまうことも珍しくないのです。

介護うつを予防するためには、介護にかかる負担を軽減しようと仕事を辞めるという選択肢を選ぶ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、介護離職は経済的負担の増大、社会との繋がりの減少など様々なデメリットが多いのも事実。自分自身の時間や世界を持つことは、介護に伴うストレスを上手に発散するためにも大切なことです。

近年、「認知症カフェ」や「介護者の集い」などを自治体や地域のボランティア団体などが主催しているケースも増えつつありますから、こうした活動に勇気を出して参加してみるのも、介護うつを予防するためのひとつの対策。

身近に相談できる人がいない方でも、地域包括支援センターなどに相談し、専門家のサポートを受けましょう。そして自分の時間を作り、リフレッシュするように心がけていく事が大切です。

ページトップへもどる

高齢者虐待を防止するには

高齢者虐待防止法とは

高齢者の虐待が問題視され、それを受けて平成18年に、「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行されました。国、地方公共団体、国民、保険・福祉・医療関係者に、高齢者虐待防止のための責務を与えました。

虐待の認識がない

高齢者虐待防止のための大きな問題点が、虐待を受けている高齢者、および虐待を行っている介護者双方共に、虐待の認識がない場合があるという事です。

被虐待高齢者の虐待についての自覚・虐待者の虐待についての自覚それぞれをグラフ化、被虐待高齢者は45%が「自覚がある」と回答、虐待者の54%は「自覚がない」と回答している

厚労省の調査によると、高齢者本人に虐待の自覚がない高齢者が全体の約3割を占めており、虐待をしている虐待者自身の半数以上が虐待をしていると言う自覚がない驚きの事実が浮かび上がってきています。

厚生労働省が発表している高齢者から虐待についての意思表示があったかを示す円グラフ、半数の50%が「話す、または何らかのサインがある」と回答、12%は「隠そうとする」と回答、30%は「何の反応もない」と回答、7%は「わからない」と回答、1%が無回答

また、高齢者から虐待をされていると言う意思表示がないケースも半数以上にのぼっていることからも分かる通り、虐待が周囲に気付かれにくい状況にあることも忘れてはいけません。

介護関係者や介護施設に家族を預けている方、行政関係者は、こうした事実をしっかりと認識しながら高齢者側にその認識がなくても、虐待の疑いがある場合は、なんらかの防止策・対策を図る事が求められます。

また、介護をする側に関しては、この法律の存在と詳細をきちんと理解し、日ごろから常に虐待に注意して介護を行う事、そして介護負担を抱え込みすぎず、ストレスを別の場所で上手に発散する事が、高齢者虐待の防止を考える上で重要となってきているのではないでしょうか?

ページトップへもどる
No.1に選ばれました!楽天リサーチ調べ

全国の老人ホーム・介護施設を探す

物件数No.1 空室情報をリアルタイム更新

有料老人ホーム・介護施設の最新の空き状況から一発検索
老人ホームの種類費用、人気の介護施設のランキング
資料請求・見学・相談、全て無料!エリア・路線の相場情報も公開!